10話〜時計の中の女神様(1)〜
あの後。ようこそさんとエイミィの指導の元、基本的な戦闘訓練を受けた。
そしてその戦闘訓練を終えて。俺は自分の武器のことを思い知った。
この鎌、取り回しがすごく悪い!
ウソだろ!?ゲームじゃ、こう……この鎌をクルクル回したり水平に振って円形上に斬撃出したりしてるでしょ!?
かっこいいイメージしかないのに!それをだ!自分で再現できないッ……この悲しさッ……!
そして模擬戦をようこそさんとしたのだが、全く相手にならなかった。悔しい!
まぁ、その、甘く見てましたね。すんません。
そりゃ使ったことの無い道具を最初から使えないのと同じで、上手く使うことが出来なかったよ。
ちなみに振り回せないわけじゃないけど、少し重く感じるのだ。
このことに関して解決法というか、まぁ対策というか。
ようこそさんが言うには『武器系統のスキルで身体能力向上のスキルを取得するのがいいよ!』との事。『ストレングス』っていうスキルがオススメらしい。単純に腕力が上がるようなのだ。あるか分からないけどね。
それを聞いた俺は、早速確認して試してみることにした。ちなみにスキルを取る際に必要なフィグメントはようこそさんが用立てしてくれた。有難い事で……
「早速フィグメントを取り込んで……スキルを確認して……と」
デバイスの表示を空中に表示させる。これもようこそさんに教わった。スマホの画面の大きさにスキルツリーを表示させるとスクロールさせるのが正直めんどかったのだ。
よくゲームで表示してるHUDみたいに今は表示出来ている。これ便利ね。俺個人にだけ見えるようにも出来るんだから凄いよねぇ、デバイスって。
「そう言えば、『神眼』あったっけな……」
あれは強化したりできるんだろうか?一応確認しよう。念の為ね。
スキル『神眼』を見つけたのでもう一度効果の確認も兼ねてアイコンを押してみる。
すると、腕時計が勝手に変形した!
「な、なんだぁ!?」
変形時の発光が収まり、逸らしていた顔を正面に戻すと……
女性が一人、目の前に現れていた。アマテラスとは真逆の洋風の佇まい。腰まで届く金髪が風もないのに揺れている。そして手には変形したクロノサイスを持っていた。
少しして、その女性は眠りから覚めるかのように眼をゆっくりと開いていく。そしてその碧眼と目があった。
『あんたが……わたしの『神眼』の発動者?』
「え……」
突然の質問に戸惑ったが……何とか答える。
「あぁ、はい。使いましたよ、『神眼』を」
『ふぅん……正常に使えるだけの資質はあるのね』
何のことだ?それよりもあなた誰です?ってかどっから出てきましたか!?
「あの、あなたはどちら様でしょう?それで、どこから出てきました?」
敬語になっちゃった。何か服装とか見ると西洋とかの神話とかで出てきそうな格好してるんですが。
『あぁ、名乗ってなかったわね。わたしはスクルド。刻女神のスクルドよ。あんたの時計から出てきたのよ』
「俺の……時計?」
何の変哲もない時計ですけど。特別製でもないよ?
……いやちょっと待て、女神って言ったか!?
「いや神様ってどうして……」
『その前に』
スクルドが俺の質問を遮り、二の句を告げた。その内容が衝撃的だった。
『わたしと、契約しなさい。そうしたら力を貸してあげる。その代わりわたしの目的のために協力してもらうわよ』
そう言われ。
俺は刻女神スクルドに契約を迫られた。