105話〜ひと時の休息、女性陣のお楽しみ〜
病気が治ったので本日から更新を再開したいと思います。よろしくお願いします。
嫌な予感を抱えながらも護衛を続け、姫様の公務の全日程が終了した。
公務が終了したということは、俺は女性陣との約束を果たさなくてはならないのだ。
「さぁ、行きましょうか!お待ちかねのクレープ屋に!案内をお願いしますね、刻矢さん?」
「約束でしたしね。案内しますよ」
「よーし、やっと唯先輩とクレープ食べれる……!唯先輩!違う味を選んで分けませんか!?」
「いいよ、そうしよっか。あ、でもそれは――」
「三人でも、構いませんか?その方が三つも味を楽しめますわよ♪」
「もちろん、いいに決まってます!そもそも今日は先輩の奢りですし」
……一応先立つものに余裕はあるけどさ、だからって女の子特有の『甘いものは別腹』を思いっきり実践されそうなんだけど……
十分後。
俺は先日、城に行く際に駆け込んで買い物したクレープ屋に再び訪れていた。
今度は女の子も一緒に。普通の人ならそれを見てどう思うか。
「いらっしゃいませ!」
「先日はどうも……」
「あらあら、今度は彼女連れ?それとも家族かしら?」
「いえ違います」
即座に否定しておこう!勘違いされても困る!
そう思って身振りも加えて否定したのだが……
片側の腕に腕が組まれる。まるで恋人がするかの様な組み方だ。隣は見ていないがやりそうな人は一人しかいない。
「うふふっ、どう見えますか?」
やっぱりだよ。姫様だよ、こういう事すんの。
と思ってたら、逆側の腕も組まれた。え?ちょっと?
「まぁ今日は先輩、役得ですもんねー?こんな可愛い女の子たちに囲まれて一緒にお茶できるんですからね?」
ちょっと?それはいいとしてなんで組むねん。腕組むねん。
「あはは……」
ほらー!天原さんが苦笑いじゃないですかー!
もうなんだっていいから、はよ選んでくださいな……
「あらまぁ、仲がよろしい事で!そんなあなた達にはサービスしちゃおうかしらね!」
「「ありがとうございます!」」
そうしてそのまま連行される俺。普通の男だったら嬉しいんだろうけど、悲しいかな。全く嬉しくない!
日曜日のお父さんでもここまで嫌がらないでしょ!普通。
ここでお役御免となった俺は出店の近くにある椅子とテーブルのところに移動して、休む事にした。
女の子達は出店のお姉さんと甘いもの談義で盛り上がっている。さっきは俺をからかう二人を見て苦笑していた天原さんも今は笑顔である。
「君も大変だね」
するとクレープを焼きながら、店主が話しかけてきた。
「さっきは済まないね。うちの妻がちょっかいかけた様で……」
「気にしてませんよ。特に問題は無いです」
「そうかい?明らかに疲れた顔をしていたよ?特に二人に挟まれた時はね」
そんな顔になってたのか。いや、そうだろうなー。実際、他にも気になってることあったしさ。
「片方の腕に抱きついていた女の子、この前お披露目したお姫様だろう?君は……」
「浮ついた話題はないですよ。恋人でも、ましてや婚約者でもないです。俺はこの前召喚されたばっかりですし」
「え……?でもセントリアで召喚したって噂は無かったはず……」
「アタラキシアです。俺が最初にいたのは」
「そうか……これ以上は聞かないよ。踏み込んで欲しくなさそうだしね」
この人、空気を読むのが上手いというか……
いや、こちらの心理を読むのが上手いのか。
かと言って敵意は感じないけど。どちらかと言うとさっきの俺たちを囲んでいたヤツらの方が気になる。
仕掛けてこなければいいけど。
「よし、できたよ。みんなに伝えてくれるかい?」
「了解です。おーい!出来たってよ!」
「今行きまーす!」
そしてこっちに意気揚々とくる女の子達。
「少し趣向を変えて、色んな種類の味のクレープを小さめに、数を多く作ってみたから、自由に食べてみてね」
「「「わあぁ……」」」
ビュッフェ方式とでも言ったらいいだろうか。色んな種類のクレープが皿の上に並んでいる。
「それじゃ頂きますかね」
「「「いただきます!」」」
各々口にクレープを運ぶ。すると花が咲いたように笑顔になる三人。
「美味しい……」
「フルーツも甘くて美味しいですね!」
「うん、とっても美味しいです!あ、彩美ちゃん、これも美味しいよ?」
まぁ堪能してくれているならそれでいいかな……
こうしてひと時の休息を楽しむ事にした。
だが、嫌な予感がまだ消えない。俺だけでも気をつけておかないと。
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