104話〜嫌な予感〜
日が変わってしまいました……すみません。
護衛は今のところ順調だった。
怪しそうな人物のユキルと接触して以降は、囲むように展開していた能力者三名の気配は消え失せてしまっていた。
もちろん、ノルンが確認した上でだ。俺よりもスキルを使いこなせているノルンが見失ったのだから、俺が躍起になって探しても仕方ないだろう。
いなくなったのはユキルが俺の前から居なくなった辺りからだ。
この事からも、簡単に推測できる。
「一人の動きに合わせて撤退したか、あるいは……」
時間通りに行動しているのか。狙いがあって姿を隠している?
(どちらにせよ、まだ推測だけど……ノルンの分析予測と合わせて考えると……)
あの四人は恐らく、『簒奪者』に関係ある奴らだ。それにしても……
"厄介ですね。あの時のフードを被っていた男といい、さっきのユキルといい……既に二人も只者ではありません"
ノルンの言う通り、フードの男はあの瞬間移動じみた動き。ユキルは既に立ち振る舞いから『一線を越えている』と思われる。
(とりあえず、だ)
どちらにせよ、そろそろ情報の共有をしておいた方がいいだろう。スクルドの出番だ。
『念話リンク』で全員を繋げてもらおう。その方が手っ取り早い。
そう思った時。
"刻矢、さっきからアマテラスとレーヴェが呼んでるわよ。『なんで居ないのー?』って"
(あぁ、気づいてたのね……ちょうどいいや、そのまま繋いでくれる?)
"分かったわ。説明は任せるからよろしく頼んだわよ"
了解っと。
"刻矢ー!聞こえてるー?"
元気いっぱいそうなレーヴェの声が頭に響いた。
"お主、居なくなっていたが……何かあったのかの?"
続いてアマテラス。率直に聞いてくる。
(えっとだな……)
さっきのいなくなった経緯を軽く説明する。周りを四人に囲まれていて、こちらの様子を見られていたこと。
その内の一人に接触し、実際に話してみた感じ、恐らく『簒奪者』ではないかということ。
そしてその話しかけたユキルは、戦ったとして生半可な相手ではないということを。
俺の話を聞いていた間、静かに話を聞いていた二人が話が終わると同時に質問してきた。
"何故、『簒奪者』じゃないかと思ったのじゃ?"
"ただ能力者だってことじゃなんとも言えないよね?"
まぁ当然そうなるよな。至って当然の質問だ。
(完全にそうだとは言えないけど……そうだな、まずは『護衛』なのに何かあった時、『戦う』前提でいた事。これが一つ目。二つ目は『神眼』で見たにもかかわらず、分からない情報があったこと。普通のスイーパーなら隠す必要性は無いから、隠すこと自体がそもそも不自然だ)
"なるほどのぉ。それでどう思う?今日辺りに牙を向いてくる可能性はあるのかの?"
"うーん、何も無ければいいんだけどね。ティアナだって戦うこと自体は乗り気じゃないからさ。でも何かしらありそうってことだけは分かったよ!"
(とりあえず、各自警戒ってことで。天原さんは――)
"分かっておる。防御最優先で展開できるようにしておくのじゃ"
(頼んだ。この後は女性陣が楽しみにしてたクレープ屋に行く予定だからさ。何も無ければいいんだけど)
そう思いながらも俺は。
何かが起こりそうな嫌な予感が収まらなかった。
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