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異世界でもぼっちになったので元の世界に帰ります。  作者: ゆーりぃ
2章〜帰還方法探索 編〜
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101話〜スイーパーのユキル〜

 


「すみません、ちょっといいですか?」


「んァ?」


 怪しいと思った赤髪の男に声を掛ける。やはり隙はなく、目線の向け方ひとつとっても手練だというのがわかった。


(ノルン、俺は会話に集中するから。分析は頼んだ!)


 "了解です、マスター。お任せ下さい"


 さて、手筈は整えた。何から聞こうか……


「アンタ……あの時活躍してた下地だっけか?」


「俺の事、知ってる?じゃあ貴方はスイーパーなのか?」


「あァ……俺はスイーパーのユキルッてんだ。そんで?」


「?」


「わざわざ声、掛けにきたってこたァ……不審者にでも見えたかァ?」


 あれま。バレてる。


「ぶっちゃけるとそうですね。あまりにも隙がない感じだったんで。スイーパーか怪しい奴かの二択ってとこでしたよ」


「そいつァ悪かったなァ。なーに、護衛対象が近くにいるんならそれも当然だわなァ。()()()()()()()()


 ということは……ユキルも護衛……?

 身内の味方であるならいいんだが……正直気味が悪い。偽装してるって可能性があるのもそうなのだが、()()()()()()()()


 隠すということが自然、という認識なら自動的に隠すようにスキルが働いても不思議は無い。

 さらにそれに関してはノルンの存在が証明になる。少し特殊ではあるものの、スキル自体が意志を持ったのだ。スキルが能力者本人の意思で自動的に動くことも有り得そう。


 ……そうなるとこの世界での『能力』と『スキル』って本人の認識次第でやっぱり変化するって事か。


 固定概念、では無く本人の意思で移ろうもの。

 厄介であると同時に面白い発見でもある。


 話が逸れたが、要は何かを『隠している』様には俺には見えない。いや俺が見抜けないと言ったところ。


 ノルンから見てどうだったか、後で聞くとしますかね。違う視点から物事を見ている人がいるってのは助かる。


「一応近くで護衛する事になってましてね。今は……」


「アレだろ?」


 ユキルが指を指していた。うん、そうですね。あそこの子供達と猫に囲まれた、楽しそうなとこに居ますね。


「咄嗟の時はどうするつもりなんだかなァ。戦うにもガキ共と猫共が邪魔だろうによォ」


「意見には同意しますけども……まぁ一人、守りに特化してる人も居るんで。その人が守ってる間に俺が介入しますよ」


「この距離からかァ?少し離れてるんだぜ?」


「ちょっとばかり、スピードには自信があるので」


 嘘じゃない。『ヘイスト』は今の所、最大限の効果をかけても結構動けるようになった。肉体の強化も大事だが、負荷が掛かりにくい動き方も重要なのだ。結構練習したけどね。


「ヘェ……そうなのか。俺もギリギリ届くかも知れねぇけどな」


 手練だけあって、間に合うらしい。目算で大体100mあるかないかってとこなんだけど。この距離がギリギリ間に合うのか……スピードはかなりのものと見た。


「まァなんかあったら駆けつけてやるよ。そん時はよろしく頼むわ。とりあえず下地が居んなら俺は別のとこに行くわ。じゃーなァ!」


 そう言って後ろ手にヒラヒラと手を振りながら離れていくユキル。その間もやはり隙はなく、もし敵だったとしても簡単には仕掛けられそうも無かった。



 ……とりあえず終わった。かなり気を張ったな……


 "お疲れ様です、マスター"

 "厄介なのに声掛けたわね、刻矢"


 二人から同時に声を掛けられる。こういう時は……


(まぁ、何か怪しかったのは事実だろ?どうよ、スクルドから見てどうだった?)


 スクルドとの会話を優先。そうするようにノルンとは決めているからだ。


 "なんと言うか、隙がないってよりは掴みどころがないわね……わたしが聞いてた限りだけど、あの男は自分の『目的』を『お姫様の護衛』とは言わなかったわね"


 スクルドがそう答える。すり合わせのためにも覚えておこうか……


(ん、そっか。ありがと、助かったよ)


 "ま、それは良いけど。一応あっちに戻っておきなさい。その方がいいでしょう?"


(ああ、そうする)


 そこでスクルドとの念話は終わった。今度はノルンだ。


 "やっぱり侮れませんね。スクルドはやはり鋭い。確かに指を指しただけで、特定の人物を指しているわけではなかった。スイーパーであれば、『姫の護衛』くらい言ってもおかしくは無いはず。でも確かめようがない。だから掴み所がない、と言った所でしょうか"


(ホントに流石の女神様だよ。よく考えてるってとこか……それで、ノルンはどう思う?)


 "わたしの目線で見ると、話し方、言い回しからしてスイーパーであるとは言えないかと。『間に合うかどうか』において間に合わせる、では無く『ギリギリ届く』と言いました。この言葉の言い回しはどちらかと言うと攻撃する側の言い回しに聞こえます。そしてもう一つ――"


(もう一つ、なんでしょう?)


 "咄嗟の時は〜の件、なんて言ってたか覚えてますか?"


(……戦うにしても周りが邪魔だって所か?)


 "そうです!その件!『戦う』が前提なんですよ。今回は護衛なんですよ?『いかにして護衛対象を安全な場所まで逃がすか』が第一だと思いませんか?正直言って、『逃がす』の選択肢自体がないのが疑問です。『戦う』は一番最後の手段。それが最初に出てきていたので、違和感を感じています"


(……分かった。二人の意見を参考にして動くよ、ありがとう)


 "はい。これからお戻りになるのでしょう?もう少し分析してみますので、夜にでも相談しましょうか"


(分かった。じゃあ夜にまたよろしく)


 念話が終了。

 さて本来の場所に戻ろう。時間もあと少しで終わりだ、このあとはクレープ屋へのエスコートが控えている。

 それでも、油断はしないようにしないとな。







閲覧してくださってる皆さん、いつもありがとうございます!


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