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出会い降る舞踏会 <上>

『グルニエール公爵、並びにグルニエール公爵夫人、並びにグルニエール公爵ご令嬢のご入場でございます!』


盛大な拍手と共に、公爵と夫人、そしてミーフェに付き添われてエリーが舞踏会会場にやってきた。


エリーは綺麗なマリンブルーのシンプルなドレスに身を包み、豊かな髪は横髪を肩に垂らし、後ろ髪は後頭でまとめられている。


一方ミーフェは白藍のすっきりとしたドレスに、ゆるくカールさせた髪が似合っていた。


エリーはミーフェに囁いた。


「ちょ、ちょっとミーフェ!なんでこんなに人が居るのよ!」


「決まってんじゃない!グルニエール公爵は下級貴族も招いてるからよ。それに今日は公爵の弟君であるヴィアナ王国国王が来るって噂もあるし」


「は!?お父様って王様の兄だったの!?」


「何よ。知らなかったの」


「・・・・うん」


エリーは情けなくなってきた。自分は何処まで政治を知らないのか。



そこから、ミーフェは今の政治の動きについて事細かに説明し始めた。





今の王は政治のことをよく理解し、国のために尽くしている・・・


王の名はヨーアン・エルドナ・グルニエール・スイープ・オブ・ヴィアナ・・・


そして、恥も恥らう青春真っ盛りの16歳。エリーの一つ上らしい・・・などなど。




エリーとミーフェが応接間で立ち往生していると、どこからか夫人がやってきた。


「エリー、ミーフェ。あなた達もステーキ・キドニーパイをいかが?凄く美味しくてよ」


「ありがとう、お母様。頂くわ」


エリーはミーフェを連れてお腹がなるのを抑えながら大広間へ進んだ。




大広間・・・


そこは、夫人の言葉だけでは言い表せれないような、夢の光景が広がっていた。


「凄い・・・凄すぎるわミーフェ。いつも食べてる食事の一年分がここにあるわ!」


只でさえ豪華な貴族の食事が更にパワーアップしている。


こんな量どっからもって来るんだ??


「本当。お腹なっちゃうわね、よーし・・・どっちが多く食べられるか競争よ!」


「ふっ!受けて立つわよ」




ああ、とても公爵の娘とは思えない・・・エリーは自分でもわかった。





そして、エリーがゆでポテトをほおばり、ミーフェがステーキ・キドニー・パイにパクついていると、放送がかかった。



『まもなく、現ヴィアナ王国国王、ヨーアン・エルドナ・グルニエール・スイープ・オブ・ヴィアナ様がご来場されます。』



盛大なファンファーレと共に、沢山の警備隊に囲まれた王が入場してきた。





王様にしては華奢な体つきのその人は、少し肩に掛かっている金髪を揺るがせ、王冠にきらめく宝石を輝かせながらゆっくりと公爵の方へ足を動かす。


公爵も立ち上がり王の下へと歩み寄ると、懐かしむように王を見つめ、礼をした。


「ヴィアナ王国国王様、この度は私の舞踏会にお越しいただき、誠にありがとうございます。」


「・・・・・・・・・・ああ。」


王は静かに声をだした。


「・・・して、そちらに居られるのは?」


王は静かなトルコブルーの瞳をエリーに向けた。




うわー・・・すっごい気品溢れまくりなんですけど!王様ってやっぱりすごいのね・・・


エリーは王の視線にビビった。




「わ、私は公爵の娘、エリー・リーブ・マフィー・グルニエールでございます。この度は国王様にお会いできて誠に嬉しゅうございます。」


「そうですか、貴女がかの・・・エリーさんですか。兄がよく話していましたよ」


「え、お父様が!?」


エリーは驚いて父に向き直った。


公爵は慌ててゴホンと咳をした。


「私は別に・・・ただ養子にやってきたことを話しただけだ!」


「可愛い娘だといってましたよ。リリアンちゃんのようにってね」


エリーは辺りをきょろきょろさせる父をキョトンと見つめた。


「お父様・・・」


「あの、兄は気難しい人ですが優しいので・・・仲良くしてあげてください」


王様はエリーにペコッとお辞儀した。




お、王様がお、お辞儀した!!!





「きゃー!王様!お辞儀しないでください!」


「え?」


エリーは思わず叫んでしまった。

王様の名前・・・長っい!


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