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幸せに潜む影

お、王様!!




エリーは心の中で叫んだ。




エリーは痛む腕を出来る限り動かし、王に敬礼の姿勢をとろうとした。


「そのままで結構ですよ。只でさえ貴女は怪我をしているというのに」


王はそういいながらエリーのベッドの隣の椅子に腰掛けた。


「申し訳ありません国王陛下。お茶の用意もろくに出来ず・・・」


エリーはせめてもと王に頭を下げて謝った。



すると、意外な答えが返ってきた。


「いえ、私が迎えに行けばよかったのです。しかし貴女が来るまでの急用が入ってしまい、行くことができなかったのです。どうか、許してください」


王も頭を下げて、なんと謝ったのだ。


「え!?なんで貴方が謝るのですか?悪いのは私と、矢を放ったスパイです。どうか心配なさらないで。」


エリーはあわてて言った。


王は顔を上げたものの、浮かない様子でエリーに話した。



「実は・・・その、結婚式は、延期できないんです。

 結婚式に招こうとしていた客人にもう招待状を出してしまい、今更変えることはこの国の信頼を失うことになるに値すると大臣に言われたのです。」


「まあ、なら結婚式を延期しないでやりましょう。私、それまでにはなんとかしますから。」


王が打ち明けてくれたおかげでなぜか気が軽くなったエリーは、笑いながらそう言った。



「なぜだか分からないけれど私、あなたに打ち明けてもらえて気が楽になりましたし、別に骨折したわけじゃありませんから、早く治りますよきっと。」



エリーの自信に満ちた声音ですこし笑った王に、エリーはそっと囁いた。



「あの、国王陛下、御願いがあるのです・・・」


「なんですか?どうぞ、遠慮なく申してください!」


エリーは、少し赤くなって微笑みながら、王の耳元に何かを囁いた。


「そ、それでいいのですか?」


「はい・・・あの、天気がよければ。子供の頃からの夢で・・・いいでしょうか?」


頬を赤く染めて恥ずかしそうに笑うエリーに、王はエリーの手をとって答えた。





「いいですよ、それが貴女の、最初の望みとあらば」






それから王とエリーは三時間近く結婚式の詳細について話し続け、ようやくエリーにも結婚式に実感が沸いてきた。




「ありがとう、国王陛下。私、だんだん結婚式が楽しみになってまいりましたわ。」


エリーは、もう薄暗くなってきた空に気づいて御礼を言った。


王はエリーの手にキスをすると、椅子から立ち上がって微笑んだ。


「いつまでも国王陛下ではいけませんよ。ヨーアンとお呼びください。では、またいつか。」


「また今度お会いしましょう、さようなら・・・・・ヨーアン・・・」


エリーは王の名前を呼ぶ寸前、少しだけ頬を染めながら別れを告げた。







その日の夜、やっとミーフェがエリーの元へやって来た。


「ごめんねエリー!私お見舞い行こうとと思ったんだけど、なんか護衛軍の指導活動かなんかにあたっちゃってさ。午後までかかっちゃったのよね」


ミーフェはそういうや否やエリーのベッドの向かいのソファにドサッと倒れこんだ。


「ミーフェお疲れ。体は大丈夫?」


エリーは久しぶりにミーフェに会えて、嬉しさでいっぱいだった。


「まあまあね。それよりも心配すべきはあなたでしょ。体はどう?」


「うん、今のところは痛むだけ。大丈夫よ」


「そっか、よかったわ」




それからミーフェはエリーにこの王宮の護衛システムについて語りだした。



この王宮には何百の護衛騎士がいるが、そのなかで本当に「護衛」出来る者は少ないということで、自分が派遣されて、殆どの護衛騎士をしごいた事。


そして、王宮にエリーが来るということで、護衛のシステムを改善し、王族を守れるように最大限の手を尽くす護衛のみを残し、厳しい訓練を行ったことなどだ。





「大変ね、騎士って。でも凄いと思うわ。」


エリーは感嘆してミーフェを見つめた。


ミーフェは自信満々に笑った。


「凄いでしょー。まあ、こんなことできんの私ぐらいよねぇ〜」


「うんうん。ミーフェは凄いわ。流石わたしの専属騎士よね!」


エリーが頷いた。



一方ミーフェは専属騎士と聞いて、俯いた。


「それ・・なんだけど・・・」


「どうしたの?ミーフェ」


エリーは侍女に入れてもらった紅茶を飲みながら、マカロンを口に放り込んで尋ねた。



「私って、エリーの専属騎士として、残れるのかなって、考えてたんだよね。」




ミーフェの思いつめた表情を見た瞬間、エリーは笑い出した。



「あはははは!うふふ・・・ミーフェったらもう。私が王様に頼んであげるわよ、勿論!だってミーフェは、私の最初の親友なのよ?

 何とかしてでも、私と一緒に居てもらうわ♪」


エリーはお腹を押さえて、それでもまだ笑い続けていた。


でも、エリーとミーフェの絆はとても深いものだと二人は知っていて、その上でこんな会話をするのだ。



ミーフェは、微笑を浮かべた。


「・・・・そうだよね。ありがとう、エリー」


エリーは、思い出し笑いを止めて、微笑んだ。









二人の絆はどんなことでも崩れないと知っていたから、自信をもって、「一緒に居る」という言葉が言えた。




それは、ミーフェも、言いたかった。







でも・・・・・





もう、一緒には居られないかもしれない。









特に、エリーの傍には。






エリーの部屋の下の階の部屋で蹲ったミーフェは、そっと、泣いた。











やっとのことで二十話突入!本当に嬉しいです・・・。

しかし、今はなんともいい難き状況です。

エリーと王は結婚話で盛り上がってますが、

作者の私が注目してるのは、ミーフェと、スパイ(まだあまり触れてませんが)です。

皆様にもその点を注目して読んでいただけると、分かりやすいと思います。

なるべく皆様に読みやすいように書いていきますが、なにか読みにくい所や、誤字・脱字などありましたら、お知らせください。

今後も、ヴィアナの花をよろしく御願いします!



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