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光と道が辿る運命は



エリーは、父と母とミーフェとの昼食を終え、真直ぐ母の部屋へ急いだ。


ノックをし、夫人の返事を聞き取ると、扉をゆっくりと開けた。


「お母様、少しいいですか?」


夫人はエリーに優しい微笑をみせると、手招きした。






「決まったの?」


夫人の直球な問いかけにエリーはたじろいだ。


「あの・・・はい。決まりました。」


「それで、どうするの?」


エリーはうつむいたあと、母の方を向いて自信に満ちたような、悲しそうな笑顔を浮かべた。


「もうすぐ春が訪れます。ここに初めて来た日から、もう一年間が経とうとしています。」


「・・・ええ。大きくなったわね、エリー」


「はい・・・そうなんです。だからこそ、私はいろいろな環境で、自分がどれだけの・・・生きていくうえでの期待に答えられるか、ぜひ試して見たいんです。でも、いきなり別れるのは寂しいから・・・春までここで、政治のことや王様に関しても含めて、勉強がしたいです。・・・・・・これが、私の決めた道です。いいですか?お母様」


夫人は口を開けてエリーを見つめた。


「私・・・エリーは強い意志を持っているとは思っていたけれど、ここまで考え抜いているとは思いもしなかったわ。」


エリーは、瞬きした。


「それじゃあ、いいんですか?」


母は、瞼を閉じて微笑んだ。


「いいわ、貴女がそのように決めたのであれば、私に反対する権限はございません。ただ・・・」


「ただ?」


エリーはいきなり顔色を変えて夫人の顔を覗き込んだ。


一方夫人は嬉しそうに笑って、エリーの頭を撫でた。


「お父様があなたのお嫁入りを許してくれるかしらねえ?今は、あなたのことすっごく大事にしているから、もしかしたら・・・!」


「えぇぇ!?どうしましょうお母さん!私、お嫁にいけないのですか!?」


驚愕するエリーを見て夫人は思いっきり笑った。


「ふふふふふ・・・!何もそこまで反対したりしませんよ。説得できれば、いい人ですし。政治に関していろいろと教えてもらえたりするわ。」


エリーは心底安堵した。正直言って本当にお嫁に行けなくなったらどうしようとかを必死で考えていたのだった。


「よ、よかった・・・それで、ミーフェは、私の元でこれからも居てくれるんですか?」


夫人が窓の外で日向ぼっこをしているお昼休みの侍女たちを見つめながら、少し、顔を歪めた。


「それがねえ、何とやらなのよ。ミーフェは、王家を守る騎士の一環として、専属騎士になったでしょ?」


「はい、聞いたことがあります」


「でも、管轄で言うと、ミーフェは王に雇われてるんじゃなくて、兄の公爵に雇われてるわけでしょう?だから、エリーがもし王の下へ嫁いだとしても、ミーフェがずっと一緒に居られるかって言われると、定かではないわ。」


エリーは腕を組んで壁に寄り掛かった。


「・・・じゃあ、もし王様がミーフェを雇いなおしたら、ミーフェは確実に一緒に居られるってことですよね?」


「ええ、それなら筋は通るけど・・・」


夫人は娘を同情の目で見た。



しかし、エリーは拳を天井に突き上げて叫んだ。


「だったら私、王様と仲良くなります!」


「え?」


エリーは、夫人をキラキラと輝かしい目で見て言った。


「私が王様と仲良くなって、それで結婚すれば、ミーフェをずっと専属にしてくださいって御願いできるかもしれないもの!どうですか、やってみる価値は大アリでしょう!」


夫人は一瞬ぽかんとして、また微笑んだ。



「本当にあなたは面白い子ね。これからの国家は安泰だと思えてくるぐらいよ。」


エリーは苦笑いした。


「これでうまく行くか分かりません。でも、王家へ嫁ぐ最初の試練ミッションとして、頑張って仲良くなりたいです!」


夫人は、エリーの背中をポンポンと軽く叩いて笑顔でドアのほうに導いた。


「あなたの覚悟は分かったわ。私からも機会があったらお父さんに話しておくから、今日はミーフェと散歩にでも行ってらっしゃい」


「え?でも、午後の授業はないんですか?」


「今日は・・・三時から夫人お茶会があるの。私はジーグルド男爵夫人のところへ行かなくちゃならなくてね。だから、今日は授業はお休みよ。ミーフェと一緒に、残された時間を存分に使いなさい。それにこれからは授業は受けたいときに知りたい分だけ、教えてあげるわ。そのほうが時間も節約できてお得だし。・・・なーんてね、公爵夫人がお得だなんて言っちゃいけないけど・・・いい?エリー」


夫人の長い返事にエリーは喜んだ。


「はいっ!そのほうがいいです。じゃあ私今からミーフェと一緒に果樹園を散歩してきます!ミーフェに、今決めたこと、伝えたいので」


「そうね、ミーフェもあなたも、心の整理が必要だわ。じゃあ、ご夕食でまたね。」


「はい、お母様。」



エリーは、スキップしながら、お昼休みを終えた侍女達に挨拶しながら、ミーフェを探した。


随分更新が遅れてしまい、誠に申し訳ありません!


これからも不定期更新になると思いますが・・・

長い目で見守っていただければ幸いです。

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