出会い降る舞踏会 <中>
『それでは只今より、オーケストラにあわせてダンスを踊ります。みなさん二人一組でペアになってください。』
放送が掛かったと思えば周りの人は皆ペアを組み始めた。
「え、あ、どうしようミーフェ。私ペアなんて作れないわ!男の子の友達なんていないもの!」
エリーは慌ててミーフェに呟いた。
しかし、ミーフェはその言葉をサラリと受け流した。
「大丈夫よ、貴女は。もう決まってるもの。それに私は貴女を守るお役目だからダンスなんてしなくっていいのよっ」
「え―――決まってるって言ったって―――」
エリーが呆然としていると、アノ王様がやってきて、エリーの手を取った。
「私と一緒に踊っていただけますか、姫」
ん?この人王様じゃん・・・ん!?待てよ?王様?王様ー・・・
エリーはウトウト考えた。そして、気づいた。
え!?
お、王サマ!!!よりによって!私昇天しちゃうわ!きゃあぁぁぁ〜!!!
エリーはもはや昇天寸前だ。
王様は、はて?と首を傾げると、まあいっかとばかりにエリーの腕をとり、オーケストラの盛大な曲にあわせて踊り始めた。
そういえば・・・私と王様って一つしか年違わないんだっけ・・・でもこの人と私は大違いだなあ・・・
エリーがフワフワホケホケ考えながら踊っていると、ふとある地点にたどり着いてしまった。
もしかしなくても、王様って・・・・・
私のお、お、叔父さん!!!???
「ギャァァァァ!!!」
エリーは堪えきれず叫んでしまった。
「だ、大丈夫ですか姫!えっと、私足を踏んでしまったですか?」
王はオロオロとたずねた。無理もない。一緒に踊っていた少女が突然発狂したのだから。
「つ、疲れたわ・・・えっと、ミーフェって何処?」
エリーは音楽が一旦止まった途端、すぐさま王様に一礼し、去ってきた直後だった。
王様はキョトンとしたが、ややあって笑顔になった。
『そうか、疲れたのか。では少し休んでおりますよう、姫』
いやー・・・王様って紳士的だな・・・思わず惚れるトコだったわ。
でも、なんでミーフェは私と王様が踊るって知ってたんだろう?
ま、いっか。
エリーは軽く受け流すとミーフェの捜索活動にはいった。
「え〜?ミーフェ何処よ?」
エリーはまた始まった音楽にあわせてスキップしながら目をキョロキョロさせていると、何処か一点に目を留め、ジーっと見つめると、スキップを止めた。
「ミー・・・フェ?」
なんと!!エリーが見つめる先ではミーフェが薄い空色の髪の少年と踊っている!!
ミーフェ・・・最初は舞踏会に行くことさえ、嫌がっていたのに。
「・・・・すごいなあ、あの少年。どうやってあの頑固なミーフェを誘い込んだんだ?」
エリーは好奇心で近くに寄ってみた。
大きな柱の影でコソコソのぞく姿はかなり怪しい人物である。
ミーフェは顔をほんのり紅に染めながら、楽しそうに踊っている。
少年は顔を真っ赤にしてシルクのタキシードを強く引っ張った。
「なんか・・・初々しいな。両方。可愛い・・・」
エリーはクスッと笑った。そして、どこか決心したような眼差しで踵を返した。
一方テラスでは、夫人と踊り終えた公爵が一人夜風に当たっていた。
「お父様、少し、いいですか?」
振り返ると、そこには養女がいた。
公爵は深呼吸して心を落ち着けると、おもむろに口を開いた。
ギャーとか、ああーとかたくさんありますけど、気にしないでください!