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5話 屋敷にご招待



念のために鑑定しておこう。


神剣:氷刀雪丸Lv5

刀に斬られたものを問答無用で凍らす。


PS この刀にはちゃんとした鞘があるから確認しと

いてね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


このPSってやつ絶対神様だ。

本当に面倒見の良い神様だ。ありがとうございます。


それで鑑定してわかったことは、雪丸には鞘があるってことと、斬ったものを凍らせるということだ。


でもさっきの戦闘で僕は氷の斬撃を飛ばした。

考え得ることは僕が無意識にかに座の力をつかってしまったということだ。

この力は僕にとって好ましいものだがまだまだ謎も多いし、使いこなせていない。


でもこれならエレンに見せても大丈夫そうだ。




僕はエレンに鞘に納められた雪丸を出す。


鞘も刀と同じ色合いで軽く金の装飾がされている。


エレンは少し緊張しているのがわかる。


エレンが鞘から刀を抜いた。

「………本当に美しいな。この剣の魅力に飲まれてしまいそうだ」


「これは、すごいですね。やはり聖剣などの類なのでしょうか?」


エレンもサーシャも食い入るように見ている。

サーシャは剣士だからなのだろうかエレンよりもその傾向が強い。


「…そ、そうなのかもしれないね」


やばい、引きつった感じになってしまった。

まぁ、神剣だなんて言えないもんな。


「う〜ん。ホントーか〜」

僕の言動がわかりやすかったのかエレンが意地悪そうな顔をして覗き込んでくる。

僕が慌てていると横やりが飛んできた。

「エレン様、ご自重ください。それにはしたないです」


「ああ、わかったよ」

サーシャが冷静に諌める。


サーシャは察してくれたのか深くは聞かなかった。


そして少しの間二人と雑談した。


少しの時間がたってエレンは外の景色を見た。


「そろそろ着くようだぞ」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



門の前に着いたようだ。

僕たちが乗る馬車の前には城壁があり、だいたい30メートルくらいだ。


つくづく思うが、まるでタイムスリップしたようだな。

でも、向こうにはモンスターなんていなかったけどな。


感傷に浸っていると、門の前に居た門番らしき人がこちらにやってきた。


「帰宅途中にモンスターと出くわしてしまってな、残念ながら死者もいる。早急に通してくれ」


エレンは門番の人が言おうとしていたことを遮って言った。


「それは誠ですか。わかりました、すぐにお通しします」


門番の人は慌てて戻り、門を開いてくれた。


僕たちはその門をくぐり街に入った。


「クイーン・ハート領といって私たちが治めている街は、海が近く、貿易に力を入れていていろんなものを輸入しているから大抵のものは手に入る。それに、海の幸がまた美味しい。領民達も皆、楽しく過ごせていると思う」


エレンが僕に説明してくれた。

とても楽しく話すのでこの街のことが本当に大好きなんだなと分かる。


話しているうちに屋敷に着いた。


その屋敷はとても大きく、まるで中世に出てくるお城のようだった。


「東京ドーム何個分だ、これ」


「何を惚けている、早く行くぞ。父上に会わなくてわ」


「ご当主様は、広間におられます。兵士達から事情を聞いた門番がいろいろと説明してくれました」


かなり年を重ねた執事がそう言い僕たち三人を案内してくれた。


扉を開けると、とても豪華な服を着たとても学がある顔立ちをしている男性がいた。

見た目は細っそりしているが、やつれているわけではなく中肉中背といった普通の人のようだが、目鼻立ちは整っていてやっぱりエレンの父なんだなって納得できた。

とても優しそうな人だ。


そしてエレンを見るなりすごい勢いで抱きついていた。


「エレン……エレン、生きていてよかった。サーシャがいるから大抵のことは安心していられたが、今回は生きた心地がしなかったよ」


「父上、い、痛いです」

最初は痛そうだった顔も父親の顔を見て少し微笑んでいた。


「……ご心配をおかけしました。それで母上はどこにおられるのですか」


「報告を聞いてから寝込んでしまってね」


「母上の心配性も相変わらずですね。後で顔を出してきます」


二人は楽しそうに話していた。

この二人の会話を僕とサーシャは温かく見守っていた。


「エレン、この子が君を助けてくれたのかい?」


「そうなんですよ、父上。ユウトはとても強かったです」


「そうかい、君が男性に興味を持つのは珍しい。はじめましてユウト殿。私はアウグスト・ウィル・ハートと言う。先程は恥ずかしいところを見せてしまったね。娘を助けてくれてありがとう。心から感謝する」


アウグストは深々と頭を下げた。


「ご当主様。そんな平民に頭を下げては」


サーシャはとても困った表情で吐露する。


「今私は当主としてではなく一人の親として恩人に礼を言っているのだ」


そう言われてサーシャは口を噤んでしまう。


「ひっ人として困っている人を助けるのは当然です」


僕の声は少し緊張のせいか震えていた。


こんなに凄そうな人に頭を下げているの見て正直びっくりだ。

この人は分け隔てなく人と平等に接する人なんだとわかった。


「いいや、その当然のことが出来る君は素晴らしいよ」


「お褒め頂き光栄です」


今度は噛まずにちゃんと言えた。


「お礼をしないとね。何がいい」


「父上、ユウトはわざわざ田舎から何か理由があってこの街を目指していたはずです。それに助かるものを贈っては?」


エレンが横から割り込みそう言った。


「それはいい考えだ。君はどうしてこの街に?」


「冒険者になるために来ました」


神様からもらった知識でこの世界に冒険者があることは知っている。


「そうだなぁ。では当面の資金を上げよう。お礼も兼ねているから白金貨10枚と、冒険者ギルドで待遇が良くなるように書状を書こう」


白金貨がどれだけの価値があるかはわからないけど絶対ヤバい額だと決まっている。


「こんなにもらっていいんですか。流石にもらいすぎでは?」


「だからお礼だと言っただろう。それに冒険者になるんなら資金が多いに越したことはない、これからどんどん使っていくだろう。宿屋に武器、防具、ポーションあげたらきりが無い」


最悪全部自足できるような気がするけど。

アウグストさんの気持ちありがたくもらっておこう。


「まだあるよ。あれを持ってきてくれ」


アウグストさんが執事のような方に一つの箱を持って来させた。

彼がその箱を開け、中に入っていたのは蓋に何か刻まれた懐中時計だった。


「これは、我が家の家紋が入った懐中時計だ。この懐中時計を持っていると言うことは我々ハート家が君の身元の保証と後ろ盾になったことを意味する。遠慮なく使ってくれ」


そんな、お金より大事そうなものまでくれるのか。


「僕はとってお金だけでも見に余るのに、それより高価なものまでいただくなんて」


「娘を助けてくれたんだからこのくらいはしないと、それにその娘が強いと太鼓判を押すほどだ、何かと問題に直面するだろう。そのための保険として持っていてくれ」


これも神様の加護か何かなのか、とてもよくしてもらっている。

でも、人助けをしてこんなに見返りのようなものをもらって気が引ける。

けれども、この世界の貴族としては恩人にそれなりのお礼をするのが常識なのだろう。

アウグストさんの面子を立てるためにもここはもらっておくべきか。

郷に入っては郷に従えと言うしな。


「本当は泊まっていってほしいところだが、君は遠慮深いようだ。これ以上行けば押し付けになってしまう。まだ日は高い、手紙を認めたら登録しにいってくるといい、馬車で送ろう」


「何から何までありがとうございます」


「お礼を言うのはこっちの方さ。娘を助けてくれてありがとう」


それから握手を交わして、アウグストさんは手紙を書くといって席を外した。


それからエレンとの雑談や出された紅茶やお菓子を食べている間に手紙を書いてくれた。


「では、また会える日を楽しみにしているよう」


「また、近いうちに会えるさ。その時はよろしくな」


「次会った時勝負をしましょう。私の方が強いと認めさせます」


二人は笑顔で送ってくれたのにサーシャだけは、不機嫌だった。

サーシャって僕に恨みでもあるのかな。

何かあると突っかかってくるし。


まぁそれでも楽しかったな。



アウグストさんは手紙を僕に持たせて冒険者ギルドまで従者の人が馬車で送ってくれた。





















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