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声の限り【6】

ひさびさの投稿です。









 作戦会議である。最重要犯罪者たちが脱獄し、騒ぎを起こしたことでネット上はかなり盛り上がっているようだ。マスコミもここぞとばかりにたたいてきており、もはや猶予はない状態である……らしい。

 かなり保身が入っているような気がするが、しかし、放置しておくのが危険なのも事実である。

 会議と言っても、取り逃がしたフランクやローレン、シャーリーをねちねちと責めるだけだ。慣れているのかはたまた性格か、この三人はしれっとしたものだが。そもそも、ローレンに至ってははじめは出撃許可が下りなかったはずである。


 一通り彼らが責められたあと、成り行きを見守っていた局長オーガスタス・ウィンザーはゆっくりと口を開いた。


「それで、未だ逃亡中の脱獄者たちの話だ」


 思いっきりそれていた話を軌道修正する。オーガスタスはフランクの方を見た。

「フランク。特殊事例課を率いて事態の収拾に務めよ」

「承りました。つきましては、ローレン・リドリーに武器携帯許可をいただきたいのですが」

 フランク、直球で言った。ここが正念場である。ローレンがいなければ、あの二人の相手は不可能だ。前の襲撃の時は大統領による特例だったため、改めて正式な許可がいるらしい。どんだけ厳重に制限されているのか。クリスティーナには双剣をホイホイ渡してくれるのに。

 そう言えば、その双剣だが、一本取り落して無くしたと思ったのだが、ちゃんと返ってきた。よかった。

「だが、クロックフォードはリドリーの父親だろう。幇助する可能性が……」

「そのクロックフォードを倒すのに、ローレンの力が必要なんですよ」

 強い口調でフランクが言った。クリスティーナたちもうんうんうなずいてみる。加勢になるかわからないけど。

「しかしだな……」

 ためらうお偉いさんたちに、ローレンが自ら口を開いた。


「そちらにとっても都合がよいのでは? もし、私がクロックフォードに与すればその場で二人とも始末すればよい。そちらにとっても悪い話ではないのでは?」


 そうなると、強力な敵が一人増えるだけだ、とはツッコまない。ローレンが敵に回るようなことはありえないし、今はとにかく、丸め込んででもローレンの武器携帯許可をもぎ取る場面だ。

「ローレンは私に次ぐ実力者です。彼女の力がなければ、ライランズとクラックフォードを倒すことはできません」

「だが、ライランズもクロックフォードも、ノーランが捕らえているだろう」

 その指摘にフランクが思わず舌打ちしそうになったのにクリスティーナは気が付いた。絶対にハリソンやローレン、アサギの素行の悪さは彼の教育のせいである。


「どちらもローレンの協力があってのことです。今は事態を収束させることが先決でしょう」


 フランクがこのまま押し切ってしまおうとばかりにぐいぐい行く。

「……まあ、そうだが」

 よし、もう一息。クリスティーナは膝の上で手を握った。局長が判断を下す。

「双方主張はわかった。今はフランクの方に道理があるな。ローレンの武器携帯を許可しよう」

 フランクとローレンがぐっと手を握った。わかりやすいガッツポーズである。美少女であるローレンがこういう仕草をすると微妙な気持ちになる。

「併せて、一時的に特例を許可する。必ず事態を収拾しろ」

「御意に」

 御意にっていう人、初めて見た、とかクリスティーナが思っているうちに会議は終了した。


 会議が終わると、ローレンは早速武器を取りに行った。実に二年ぶりに自分の武器を持つらしい。何度か剣をもっているのを見たが、ローレンの本来の武器は刀である。


「なあ、ローレン。その剣、何? ちょっと曲がってない?」


 尋ねたのはロデリックだ。同じく初めて見るフェイも首をかしげる。

「それ、東亜連合日本の刀ってやつよね?」

「そう。打刀うちがたなと言うやつだね。曲がって見えるのは反りがあるからだよ」

 ローレンが鞘に入れたままの刀で掌をたたく。ロデリックが「ふーん」とうなずき、当然の疑問を発した。

「ローレン、なんでクリスみたいな剣じゃなくて刀にしたんだ?」

 その疑問に、ローレンはにやりと笑い、少しだけ刀を鞘から抜いた。

「こちらの方が、斬ることにたけているからだよ」

「……」

 ロデリックとフェイがあからさまに引いた表情になった。気持ちはわかる。ちなみに、クリスティーナがローレンと戦ったときは、彼女は剣をもっていた。


 確かに、剣と言うのはどちらかと言うと刺すことに特化している。まっすぐだから、斬ることよりも刺すことの方がたやすい。

 だが、ローレンの言う『反り』がある刀は、斬ることに長けている。ローレンの剣術は殺人剣だ。父ヘンリー・クロックフォードから教わったためだろう。クロックフォードはアイリスの民族を斬殺している。すべて、『斬られて』いたそうだ。つまり、クロックフォードの獲物も刀だと言うことである。

「……まあ、あんたがいいならいいけど。でも、刀ってきれいなのね……」

「最近はインテリアにもなってるらしいね」

 ローレンが笑って言った。クリスティーナもめったに見ない、ローレンの完全装備である。クリスティーナはこくりと唾を飲みこむ。


「クリス。一本手合わせしてみないか」


 クリスティーナはコックリうなずいた。


「うん。むしろ、お願いします」


 珍しくクリスティーナが乗り気であることに、声をかけたローレンも驚いたようだ。

「珍しいわね」

「……でも、ちゃんと動きを確認したいから」

 クリスティーナも病み上がりなのである。久々に刀を使うローレンが使い心地を確認したいのと同じだ。クリスティーナも、自分の体の動きを確認しておきたいのである。

「二人とも……止めないけど、無理しないのよ。ってか、駄目だと思ったら、ドクターストップをかけるからね」

 はっとしたように会話に入ってきたのはフェイである。まあ、医師としては当然の言葉だろう。それほどまでに、クリスティーナもローレンも重症だったのである。

「了解。仕合しあうなら訓練場かな。クリス、真剣使っていいわよね? クリスも双剣を使っていいから」

「もちろんです」

 そうでなければ訓練の意味がない。フェイが呆れたようにため息をついた。

 相変わらず情報収集中のアサギと、真偽眼と記憶能力で膨大な監視映像を確認することになったオスカーを残し、クリスティーナ、ローレン、フェイ、ハリソン、ロデリックの五人は訓練場に向かった。

「失礼。ちょっと場所貸してもらえない?」

 ニコッと笑ったローレンはそんな事を言った。管理人らしい男性はローレンの出現にちょっと引いた様子を見せた。気持ちはわかる。


 訓練場の中に入ったクリスティーナはローレンと向き合う。フェイたちは見学だ。ハリソンはい審判役だし、ロデリックはフェイと同じく刀を初めて見るので、好奇心だろう。それにしても、ハリソンは自ら貧乏くじを引きに行っている気がする。

 ローレンが腰で押さえた刀の柄に手をかける。クリスティーナは先に双剣を抜く。ハリソンが手をあげて言う。

「さて、準備はいいな?」

おう!」

 答えたのはローレンだ。クリスティーナはうなずくにとどめる。ハリソンは双方を見て言った。

「では、始め!」

 ハリソンの手が振り下ろされると同時にクリスティーナとローレンが動いた。先に剣を抜いていた関係で、クリスティーナが最初の攻撃を行うが、ローレンは鞘走らせた刀でそのままクリスティーナの剣をいなす。ローレンの刀が振り下ろされ、クリスティーナは真正面からそれを受け止めた。もう一本でローレンを狙うが、うまく身をひねられて逃げられた。

 クリスティーナはどうしても力押しになる。それに対し、ローレンは技術がある。クリスティーナにとってははじめから相性が悪い相手なのだ。だが、ライランズも技術があるタイプの人間だ。ローレン相手に動きを確認しておくなどして戦い方も考えなければ。

 二人は真剣だったのだが、ローレンがかなり戦闘狂の顔をしていたのでクリスティーナが一方的にいたぶられているようにも見えたらしい。


 途中、ローレンの師匠でありアサギの祖父であるマサユキが乱入して来たりしたが、フランクが呼びに来るまでに三戦し、クリスティーナは全敗した。ちょっと自信をなくしたが、手加減をされたら怒っていたと思うので、たぶん、これでいいのだと思うことにした。











ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


どうでもいいですが、私は洋装に刀、という組み合わせが好きです。とかいいつつ、刀剣◯舞はしてないですけど。


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