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夏休み魔王討伐 1話
「違うんだ……僕は……魔王退治なんてやりたくなかったんだああああ!!」
「うんうん、泣かないで~イメン姉さんがついてるわ」
プリマジェール魔法学園のヨウチシャ部から筆記試験で初等部に飛び級したばかりの僕は昨日まで実技は開花しておらず。
夏休み前だから浮かれていた。
「魔王討伐前に夏休みが終わる!」
「ここにドングリをまいて、目印にして毎年夏休みに討伐にいけばエーヤン?」
「なるほど……」
「さっきまで泣いてたのに切り替えはやっ」
かくかくしかじか、昨日は魔王討伐に向かう勇者ユーモが能力開花時に居合わせて彼の勇者たる加護を意図せず継承してしまった。
『過ぎたことは気にしない!君が魔王を倒すんだよ!』
といい勇者ユーモは静養中だ。
「なんでアンタはついてきてくれるんだ?」
「友達が件並み彼氏出来てて、私だけ彼氏いなくてさ。なんかドラマチックな冒険ファンタジーみたいなヒロインになりたかったから」
動機が不純だが文句は言うまい。