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かつてゲームの大魔王  作者: 一崎
弑虐の王はかく語りき
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という任務である

 一週間の時が経過した。

 ネリーチームの面々は、それぞれが己に課した修行の内容をクリアしてきたようだ。


 全員が納得のいく結果が出たのだろう。

 不安そうな表情の者は誰一人として存在しない。


 集合したネリーチームを見渡して、満足気に祭子が頷きを送る。


「随分と良い顔つきになったじゃないか、と祭子様は仰っております」


 祭子は相変わらず、ベッドに寝そべり、口パクで会話を試みているようだ。


「で、いよいよ第二ドーム奪還作戦が始まるのね?」

「いいや、と祭子様は仰っております」

「どうしてかしら」


 ネリーの問いに、祭子は答えない。欠伸を漏らして、枕に顔を密着させる。

 頼りにならない祭子の代わりに、執事型の機人(オート)が答えをくれる。


「まだ貴方たちの仕上がり具合が把握できていませんので」


 それはそうであった。


 ミロンでさえ、仲間たちがどれ程強くなったのか把握できていない。

 ちなみに、ミロンはまだ武器を手に入れていなかった。夢の中での修行の後、ギルドへハルバードとスティレットの作成を依頼したのだが、まだ完成しないようだ。


 ミロンたちにはギルドから褒美が確約されている。その権利を行使して、ミロンは武器を作って貰っているのだ。


 現在は第三ドームが全力を注いで、ミロンの武器を仕上げている。明日には完成するようだ。


 夢の中で、ミロンはもう一人のミロンと話し合い、武器の細々とした性能を決めていった。


 もう一人のミロンは大いに盛り上がり、武器にどのようなギミックを搭載するかをミロンに語って聞かせた。

 もう一人のミロンは、そういうのが好きなようだ。しかし、もう一人のミロンが夢想した武器の仕掛けは、その大半が実現不可能と切って捨てられた。


 もう一人のミロンは、その夢を叶えるのが技術屋の仕事だろうと憤慨したが、それが無茶な注文だとミロンにはわかっていたので、誰にも言っていない。


『せめて、刃の部分をボタン一つで射出する機能は必須だって!』


 と、もう一人のミロンはこの調子で、ずっと苦情をミロンに告げてくる。


 強度の問題で却下されたというのに、もう一人のミロンが黙る気配はない。


「で、ぼくらの完成具合はどうやって判断して貰うの?」


 もう一人のミロンの訴えを無視して、ミロンは祭子に問うた。執事型の機人(オート)が唇を開く。


「皆様には、特別調査任務を受けて頂きます」

「特別調査任務だと?」


 執事型の機人(オート)の言葉に反応したのは、ツェツィーリヤであった。彼はジトリとした目線を祭子に向けた。


「特別調査任務は、星長の仕事だろうが。お前、また楽しようとしてんな?」

「誤解だ。ボクは諸君ならできると信じているのだよ」

「おい、目を合わせろ」


 目を合わせず、祭子が呟く。


「別にいいじゃん」


 このままでは祭子が不貞寝してしまう。ミロンはそれを悟り、咄嗟にエレノアへと話を渡すことにした。彼女は良い意味でも悪い意味でも空気が読めない。

 今の流れを壊してくれるだろう。


「で、エレノア。特別調査任務って何?」

「えっと。何でしたっけ。えー、特別な、調査任務っすよ! ファイトです、ミロンさん」

「知らないんだね?」

「や、忘れただけっす」

「……」

「そうっすよ! 知らないんす。馬鹿ですいません。ううぅ」


 エレノアがその場で正座をして、涙目になった。ミロンは慌ててエレノアの頭を撫でながら、今度はネリーへと問い掛ける。


「突然現れた地域を調査する任務のことよ」

「突然現れた地域?」

「ええ。この世界では、突然新しい地域が発生するの。兄様が知っている場所であれば、ガラス平原ね」


 突然発生する地域。

 よく意味がわからないが、ガラス平原と同種ならば危険性がある。


「お菓子でできた、足のついている本が動き回る図書館なんかも出現したな」


 ツェツィーリヤが思い出したように言う。


「そういうよくわからないのが、今回も現れたということ?」

「そういうことでしょうね」


 執事型の機人(オート)へと視線を向けると、依頼の内容について語り始めた。


「今回の特殊地域は果樹園です。無数の木々に、様々な味の人形がなっているようです。味は帽子によって異なるとか」


 実にファンシーな場所である。

 心なしか、ネリーの瞳がウキウキしているようにミロンの目には見えた。


「ネリーチームは、そこで各々の実力を示してきて。ボクは寝ておくよ」

「おい」

「だってー。第二ドーム奪還作戦のメインはボクだよ? あんまり働いたら過労死しちゃう。ま、『創り者』は死ねないけどね。くくく、ボク面白」


 微妙な部分が花火と似ている。


「それに、ボクが出向いちゃったら、援軍が来た時に失礼になっちゃうしさ」

「援軍?」

「そりゃね。ボクときみたちだけで第二ドームへは行かないよ。ちゃんと、戦闘できるメンバーに応援を依頼したよ。楽したいし」


 で、誰が来るんだ、とツェツィーリヤが恐る恐る訊いた。何故、怖がっているのだろうと、ミロンは疑問する。


「まあ、こういう時に来るのは、大体決まってるよね……」

「ノーネームか?」

「せいかーい。ボクと同じ、六星長のノーネームちゃんでしたー」


 ミロンとアリア以外の全員が額に汗を浮かべた。どうやら、そのノーネームという人物は、かなりの危険人物のようだ。

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