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かつてゲームの大魔王  作者: 一崎
弑虐の王はかく語りき
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あっさりと、見つかる

 ローブを纏った『創り者』が四人、メイド服を頑なに着ている機人オートが一体。


 ギルド近くの建物の天井に身を隠していた。


 風に煽られて、ローブの上に波が立つ。だが、誰もそれを気にすることなく、息を潜めてギルドを監視していた。


 すると、ターゲットが現れた。


「来た」


 ギルドのメイドである。そのメイドは手に大きく膨らんだ風呂敷を持っている。


 メイドが見えなくなった頃に、ミロンたちは一気に建物から飛び降りた。


「今、ナルーは祭子さんの身体を着けていない。多少騒がしくしても大丈夫!」


 ミロンが一番にギルドへと侵入する。

 仲間たちは後からぞくぞくとギルド内へと侵入した。


 そして、全員が同時に絶句した。


「何?」


 メイドや執事たちが全員、地面に倒れていたのである。まるでスイッチをオフにしたかのように、虚ろな瞳で虚空を貫いている。


「アリア。これは何かわかる?」

「主人によって、動くなと命令されているのかもしれません」


 機人オートなりの死んだフリなのだろうか。


(死んだフリ、か)


 ミロンの頭にはクーマから落ちたミャウの姿が浮かんだ。心が締め付けられるようだった。


「まあ、敵が動かないなら好都合さ。できるだけ早く、敵を見つけ……」


 ミロンが言葉を終える前に、ツェツィーリヤが叫んだ。


「待て! このギルド、捕まってるぞ」

「……おびき出されたようね」


 ツェツィーリヤはギルドのドアを開き、そして、その間の虚空を蹴っていた。

 そこには何もない筈だ。


 虚空の筈だ。


 だというのに、ガンガンと音がする。


 透明の壁でも蹴っているようだ。いや、本当に蹴っているのだ。


「これは……あからさまに『高嶺の荊(ガルム・アルム)』っすね。閉じ込められたみたいっす」


 エレノアは覚悟を決めたかのように、ゴーグルを装着していた。


「でも、ナルーは外に行った筈っすよね」


 エレノアの真剣な声音の台詞に対して、その場にいた全員は首を横に振った。


「さっきのは囮だ。あの風呂敷の中は、多分ナルーじゃねえぞ」


 ギルドにて、待ち伏せされていたのだ。


「とにかく、今は先へ進むしかないわ」

「待て、ネリー。こんままじゃあ、祭子と正面から戦わねえといけねえぞ」


 ツェツィーリヤの言う通りであった。


「ナルーはおそらく、能力を使える回数が決まってる。もしくは制限時間があるかだ」


 ツェツィーリヤの考えは、こうだ。


 二人一組になり、出口を探す。


 もしも見つかれば、今回は脱出する。というものであった。


「捜索の最中に、祭子に見つかったら?」

「全力で交戦だ。なるべく音を立ててな。どうせ、祭子相手に数は関係ねえ」


高嶺の荊(ガルム・アルム)』は最高の盾でありながら、最高の独房ともなる。


 全員で挑んで、全員が壁に閉じ込められれば終わりだ。


「敵は能力を使いこなしちゃいねえ。もしかすると、壁にも穴があるかもしんねえ」


 ナルーの能力が乗り移りである以上、一人では動けない。

 機人オートであるアリアは、のりうつられないだろう。


 故に、またアリアが単独。それ以外がコンビを組むこととなった。


 ミロンはエレノアと組む。


「よろしくっす、ミロンさん。あたしなんかがパートナーで申し訳ないっすけど、末永くお願いするっすよ」

「一瞬だけよ」


 エレノアが嫁入りするようなニュアンスを含んでいたのを察したネリーは、鋭い言葉でエレノアを貫いた。

 ちなみに、アリアはキレて、拳でエレノアの腹を貫こうとしていた。


「リミットは二分だぞ。二分以内に出口を見つけられなかったら、出口はないものとして扱うぜ」


 ツェツィーリヤの号令により、全員が一気に散りじりに駆け出した。


 素早く駆け抜けて、ドアを開く。外に出ようとするが、そこには透明の壁があった。

 壁を砕き、外に出ようとするが壁がある。


 それを数度、連続で繰り返していく。

 だが、結局二分では何も見つけられなかった。


 集合場所には、全員が集まっていた。

 つまり、誰も逃げ道を見つけられなかったということである。


「それにしても、おかしいぜ。折角、俺らを追い詰めたんだ。だったら、ここにいる機人オートを動かして、俺らを狙えば良かったんだ」


 その通りである。だが、敵はそうしなかった。


 何か意味があるのかもしれない。


 その意味を考えるのに時間をかけるのは、余りにも勿体無い。ミロンたちは揃って歩き始める。


 本当ならば、別行動をした方が手っ取り早い。祭子の能力を鑑みるなら、別行動は必須とも言えた。


 けれども、敵のまったく理解できない行動に備える為、敢えて全員で行動を共にしていた。


 不意打ちで閉じ込められないように、ミロンたちは普段以上に警戒を濃くする。


 そうして暫く歩いていると、地下への道を見つけた。そこを道なりに進むと、地下牢が存在した。


 その地下牢には、首のない『創り者』の女性が七人いた。失踪者の数と合致する。


「祭子はいねえな」


 あっさりと失踪者が見つかったことが、妙に不安感を煽ったのだった。

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