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かつてゲームの大魔王  作者: 一崎
弑虐の王はかく語りき
72/113

かくして、彼らは第三ドームに辿り着く

「ここは……何処?」


 ミロン・アケディは瞳をゆっくりと開いた。光が薄っすらと、ミロンの瞳を焦がす。


「おい、ミロン。寝とけよ」


 目覚めたミロンへと、心配気な声を掛けたのは、ツェツィーリヤ・ヘラキャットであった。彼は、相変わらず可愛らしい声で、ミロンを心配する。


「申し訳ございません、我が御主人様。自分が御世話をしたかったのでございますが」


 と、アリアが至極残念そうに呟いた。

 彼女は尋常ではない怪力故、ミロンの介抱をしたくともできなかったのだろう。


「ここは何処?」


「トラックの中よ」


 ミロンの問いに答えたのは、ネリー・ナイトラウ。彼女は淡々とした口調である。

 しかし、その声音とは正反対に、ネリーの手は愛おし気にミロンの髪を撫でていた。


「ん!?」


 慌てて、ミロンは起き上がる。

 顔を真っ赤にして、何をされていたのかを悟る。


 膝枕である。


 ネリーに膝枕をされていたのである。その上、頭を撫でられていた。

 羞恥心やら何やらがごちゃ混ぜになり、ミロンは頭から蒸気を放つ勢いであった。


「ネリーさん。ネリーさん! あたしもミロンさんに触りたいっす」


「駄目よ」


 何故だか、頭上からエレノアの声が聞こえた。見上げても、そこには誰もいない。


「あれ? 幻聴?」


「いるっすよ! 今、トラックの屋根にいるっす!」


「どうして!?」


「警戒の為っすよ」


 警戒、と言われて、ミロンはようやくことの顛末を思い出した。とはいえ、アルルとの戦いの半分以上の記憶はないが。


 アルルにやられて、それから何か声が聞こえたような気がした。ミロンの認識はその程度であった。


「戦いはどうなったの?」


「アルルは兄様? が仕留めたわ。証拠に、心臓もある」


「それは見なくてもいいや」


 けれども、ミロンが仕留めたとはどういうことなのだろうか。彼は負けた記憶しか持っていない。

 ただ、あの声の主に全てを委ねたのだろうことはぼんやりと理解できた。


 ミロンは知っている。

 あの声の主は恐ろしく強いのだと。


「花火さんやクーマ、ミャウは?」


「マーガロイア兄妹は知らない。けど、霧島花火なら……」


 と、ネリーは指で後方を指し示す。もしや、トラックの荷台に乗っているのだろうか、と期待して見るがそこには誰もいない。


「もっと後ろでございます、御主人様」


 アリアに言われて、ミロンは更に後方へと視線を動かす。そこにあったのは、ボロボロの第二ドームであった。


 そして、そのドームでは、未だ紫電が暴れている。


「あれから一日経過したというのに、まだ戦っているようね」


 やはり、花火は規格外であった。

 助けに行きたい。だが、それは無謀であるし、何よりも愚策であった。


 無意味に仲間を危険に晒し、場合によっては花火の足を引っ張る原因になるかもしれない。


「クーマたちは?」


「わかんねえ。ただよ。あいつらは強え。きっと……」


 ツェツィーリヤは沈んだ声音で答える。


 第二ドーム内の『創り者』たちは、かなりの数が脱出に失敗したという。


 第二ドームの出口は大きく分けて三つ。その三つ全てに、強力な『壊れ者』が配備されていたらしい。


 ツェツィーリヤは望遠鏡を使用して、二箇所を確認したようだ。逃走はほぼ諦めかけたが、ミロンたちがアルルという門番を突破したことにより、そちらから逃げた『創り者』は脱出できたという。


 正確には、敵が花火を優先したあまり、三箇所を空にして、その一つを埋める為だけにアルルが派遣されていたのだが、ツェツィーリヤはそのことを知らない。


 敵にとっての脅威は、花火一人だけだったのだ。


「丁度良い。今から各ドームの特性について話すぜ」


「特性?」


 ツェツィーリヤの話に、ミロンは首を傾けながらも、耳を傾けた。


「第二ドームは最前線、でありつつも新人の教育を行う場所だ。仕事は第一ドームへの侵攻」


 一度は奪われた第一ドーム奪還こそが、第二ドームの仕事であったようだ。それは果たされなかったが。


「第三ドームは技術の国だ。機人(オート)の製造を担当している。後、道具類だな」


 それからも、ツェツィーリヤの説明は続いた。とはいえ、大雑把な説明ではあった。


 判明したことは、各ドーム毎に仕事が違う、ということだろうか。どのドームを失っても、これからの『創り者』は大きく戦力を削られることになる。


 第二ドームを失った痛手は、そうそうに癒せないだろう。


「これから行く第三ドームは、『創り者』が保有している全ドーム内で、唯一敵に場所が見つかっている場所だ」


「え? それ、大丈夫なの?」


「ああ。第三ドームを守護する六星長霧島(きりしま)祭子まつりこがいるからな」


 霧島祭子。

 苗字で理解できる。その女性は花火の妹である。


 花火はかつて言っていた。

 花火の試練をクリアした者はいない、と。だが、唯一、妹とだけは引き分けた、と。


 つまり、霧島祭子は花火と拮抗する実力の持ち主なのだ。



「さあ、もうすぐ着くぞ。魔科学のドーム、第三ドームだ」

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