表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かつてゲームの大魔王  作者: 一崎
崩壊の序章
41/113

補充と帰宅

 ミロンは戦っていた。

 魔道書から魔法を引き出し、それを前方へと我武者羅に放ち続ける。爆音と破砕音が執拗なまでに奏でられる。


 魔力には限りがある。本来ならば連発は悪手なのだが、今回ばかりは勝手が違う。


「待て待て待てー!」

「やはり、楽しいね」


 現在、ミロンたちは追撃戦へと移行していた。逃げる残り者を背後から一方的に攻撃しているのである。


 逃げる残り者を一体でも多く倒す為、ミロンたちは全力を出していた。


「ようし、最後の一体!」


 ミャウの安全靴が残り者の顔面を踏みつける。その数秒後、残り者の顔面が炎上した。

 もがく残り者へと、トドメのクーマの足が突き立った。


「はあああぁぁ」


 ミロンは安堵により、盛大な溜息を吐いた。その様子を見て、ミャウとクーマが笑う。


「ダメだよ、ミロンくん。戦闘後すぐに気を抜いちゃあ。残り者は動くことが少しでもできれば襲いかかってくる」

「だよだよー。油断した瞬間、返り討ちに合う『創り者』は多いよ」


 ギクリ、とミロンは表情を強張らせた。たしかに、あり得そうなことであった。ミロンは肝に銘じておくことにした。


「じゃあ、報告に帰ろうか」



 ミロンが報告書を書くことはしない。今回の任務はあくまでマーガロイア兄妹が主体だったからだ。


 魔法使いとサポーター。


 一般的には神々の死体(ホラーチャーム)持ちの補助として見られる役職だが、彼らは決して弱くはない。

 寧ろ、強い。


「で、で、で? おにーさん。私っちから魔道書買うつもりになった?」

「ああ、そういうお話だったね。うん、良いよ。買う」

「ほえー」


 ミャウはその瞳キラキラと輝かせた。褐色の肌とよく似合う。

 ミロンは暫くその美しさに見惚れていたが、クーマの咳払いで正気に戻る。相手は幼女である。


「よく買う気になったね。おにーさん、もしかしてチョロい?」

「買わないぞ」

「ああーん! もう意地悪ー」


 ミャウはミロンに飛びついてくると、彼の胸に頬擦りを始めた。女性に免疫のないミロンは、幾ら相手が幼女とはいえ、頬を赤くする。


「ミロンくん。ロリコンは……解体だよ」


 クーマの脅しは本気である。

 シスコンであった。


「ち、ちち違いますよ! ぼくはただ純粋にミャウの魔印を評価したんです! よくわからないけど、凄かった」


 ミロンは紅光を放ちつつある左目を抑えつつ、そう言った。どうしてか、目が疼く。

 まるで、こちらに何かを告げてきているかのようであった。残り者がいる訳ではないというのは、何となく感覚で理解できる。


「と、ぼくの目が言ってる」

「ミロンくん。きみ、ロリコンな上に頭みでおかしいのかい?」


 クーマは言葉とは裏腹に、本気で心配してくれているようであった。


 嬉しくない。


「まあまあまあ、理由は何でもよいよ。私っちの魔印を買ってくれたら、もうそれで」

「うん。じゃあ、魔道書とチョーカーみたいなのくれる?」

「魔道書はページだけ補充する?」

「そんなことできるの?」


 ミロンの問いに、ミャウがクーマの足からバインダーを取り出した。


「これを使えば良いよ。便利だよ。ページの補充も簡単だし」

「なるほど。ミャウは頭良いね」


 ミロンはデザインの良いバインダーを探す。正直、ミロンは今の如何にも魔道書ですよ、という魔道書のデザインが気に入っていた。

 使っていて、実に悪くない気分がする。


 しかし、機能性で言うと、明らかにバインダーの方が良さそうであった。ページ毎に購入できれば、使用魔法も選べるし、何よりもお財布にも優しい。

 もうツェツィーリヤが泣くこともなくなる、ことはないにしろ少なるだろう。


「これかな」


 できるだけ今の魔道書に近しい、古い印象を与えてくるバインダーを選んだ。

 バインダーと本ではまったく異なるが、一番気に入ったのがこれだ。


「うんうん。良い趣味してるよ、おにーさん」


 後は、『操作(スポールト・ザカース)』用のアクセサリーだけである。

 いや、無論失った分のページも購入せねばならないのだが。先に買うべきはアクセサリーである。


 そこまで悩むこともなく、ミロンは無難なデザインのチョーカーと腕輪を購入した。


(無難しか選ばないからダサいって、よくアリスに言われたっけ)


 過去を振り返り、ミロンは僅かに表情を濁らせた。首を左右に振り、努めて忘れようとする。

 ミロンはページの補充を軽くしてから、マーガロイア兄妹と別れた。


 現在の拠点はツェツィーリヤ家。

 ミロンは帰路に着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ