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女神のちょっとした過去

今回は、シグが騎士になる前の話です!

シグが部屋に入るとテトはすでに布団の中だった。


「まだ起きてたのね」


シグはテトが起きているのに気付いたようだった。


「寝れるかよ。ただでさえ同じ部屋で寝るのに、隣であんな話しされたらな」


「最初はびっくりしたわよ。まさかいじめられてるとわね」

___ 躊躇(ちゅうちょ)なしに言ったな。


「ああ、そうだよ。いじめられてんだよ」


少し強気で言った。


「でも、貴方(あなた)みたいな魔法を持ってる人は私みたいな人しか合わないのかもね」


「まさか、ミネおばさんにバレているとは思わなかったけど。それで、弱みか?」


テトはシグを(にら)んだ。


「いや〜、10年近く居たら気がつくでしょ。でも、私だって、騎士になる前はこの勝利の力のせいで人が寄り付かなかったことだってあったのよ」


テトは疑問に思った。


「なんで勝利の力持ってたら、普通近づくはずじゃないのか?」


「いや、逆に勝利の力だから、私以外は負けるって思っていたのよ。その誤解は5年も続いたわ」


「5年も…」


テトが学校に行けたのは、2年前だった。そしていじめられるのも、学校に行ってからだった。


「でも、5年後に誤解が解けたんだろ?」


「そう。なぜ誤解が解けたかはあるデモがあってから」

そしてシグは語っていった。



___それは私が騎士になる前の話し

デモの内容は食糧不足の改善だったわ。

農業はそれなりに発展していたけれど、農業をする土地が兵士の育成などの施設に変えられたりして土地が少なかったのよ。

それに農民たちが反発して、数人が処刑覚悟でデモを起こしたのよ。

すると国王は、処刑すると信頼性がなくなると思っていたから処刑はしなかったわ。だけど、ある条件を出したの。

それは、


「国民の3分の2以上の署名があれば考えてやろう」


と言ったのよ。 残念ながら農民は3分の1しかいない。かろうじて、兵士以外の国民合わせても半分しかいないのよ。到底その条件は不可能だった。

そして、農民は兵士にも声掛けたけど、全然説得できなかったわ。

挙げ句の果てに私に白羽の矢が立ったのよ。でも、その説得があまりにも酷すぎたわ。


「ねぇ、これから仲良くするからさ、手伝ってよ。勝てるんでしょ?」


すぐ、説得がうまくいかない理由がわかったわ。あとで聞いた話しだと兵士にも同じようなことを言っていたらしいのよ。


「私達の食糧のおかげでこんな生活ができるのよ。署名ぐらい書きなさい」

すると兵士が起こり、


「俺たちの助けが要らないって言うんだな?囮にもさせるぞ」


すると農民はシクシク戻ってきたらしいのよ。

そういうのが気に食わなかったから協力はしたくなかったわ。でも、農民がいないと国が廃れるから一応考えたわ。

そして思いついたのよ。いい手段が。


それは教育だったわ。農民を1から教育したのよ。

さすがに、あの上から目線しかできない農民は参加しなかったし、させる気もなかったけど。

参加させたのは20代ぐらいの若い人たちを中心としたわ。

教えたのは、言語力、兵士の仕組み、農業の効率や、人間のあり方、礼儀作法などだわ。

不安だったのは、その頃の私の容姿は変わらず18歳ぐらいだったから少し抵抗があらわれるかもしれないことだった。でも話はちゃんと聞いてくれた、そして1週間経った頃には意欲的に通ってくるぐらいにもなった。

1ヶ月学んだだけで若い農民たちは教えたほとんどを憶えたわ。そして、1週間でどうすればいいのかを考えて、実行したわ。


まずは、演説をしたわ。私が教えた言語力を駆使して話していたわ。すると、兵士以外の国民の支持はほとんど得られたわ。


次に兵士の説得よりも先に、国王に出向いたのよ。意外と話のわかる国王でね。話だけは聞かせてもらうと入れたらしいのよ。そして、いまの兵士の状況や、今後のあり方について話したら、案の定国王が納得したのよ。そして、少しだけど、農業の土地が増えたわ。

その後だんだん景気が良くなって、デモがなくなったわ。


若い農民の人達は私に

「勝利を与えてくれてありがとう」

と言ってくれたわ。その時は嬉しかった。


その数ヶ月後、私は国王から直々に兵士になるように言われたのよ。断る理由がなかったからなったけど。

私は兵士の中でも騎士になったわ。そこの騎士達は皆私の勝利の力を気にせず、とても優しく接してくれた。


そして私は友達ができたのよ。


そしてシグの話は終わった。



「でも、シグは、そんな力があったから、農民から寄ってきたんじゃないの?ボクは何も力もないし、知識もない」


シグは少し悩んだ。


「いや、テトには力がある。いつか必要とされる日が来るはず」


と少し励ました。


「ごめん、もうこんな時間だ」


シグが時計を見ると夜中の2時だった。


「いや、今日は学校ないし心配いらないよ」


「それならいいか。おやすみテト」


「おやすみ」


2人とも布団に入り、目を閉じた。


「いまの私にはテトが必要なんだけどね」


と小声で呟いた。


次回はテトがシグに道案内をする話です!

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