女神と生活
今回、テトのいる町の事情が明らかになる。
「神様〜、服だけでもどうにかなりませんか〜。見つかっちゃいますよ〜」
テトは困った顔でシグに言った。なにせシグの服は布1枚だったからだ。
(神父は服を与えなかったのか)
などと思いながら、2人は民家の物陰に隠れていた。
「シグでいいわよ。だってしょうがないじゃない、神父子孫が渡してくれたのは布1枚だったし」
とシグは頰を膨らました。
「でもよく、ボクとのチャンバラで布剥がれませんでしたね」
その言葉にシグが驚いた。
「え?!テトは私を丸裸にするためにチャンバラしたわけ?」
するとテトは顔を赤らめた。
「ちち、違いますよ!」
と全力で否定したのであった。
商店街に出たら布1枚だとバレる危険があると思ったテトは、
「しょうがないですね、服、買ってきますから待っといてください」
と言いながら財布の中身をみて、ガックリしながら買いに行った。
「ごめん、今度なにか奢るわ〜」
シグは手を振って見送った。
数十分後、テトは袋を持ってシグのいるところまで帰ってきた。
「遅かったね、待つのも疲れるよー」
「仕方がないですよ。店の人ボクのこと知ってますし、女物の服買ったらそりゃいろいろ面倒なことが」
そしてテトは、袋をシグの方に向けた。
「はい、これ」
シグが中身を確認すると白のワンピースだった。
「わぁ〜、かわいい〜」
シグはとても喜んでいて、テトは少し嬉しくなった。
「はい、後ろ向いて」
シグは突然いった。それの意味に気付かずテトは、
「え?!なんで?」
といってしまった。今度はシグが赤らめた。
「着替えるからに決まってるでしょ!」
やっと意味に気付いたテトは、即座に後ろを向いた。
そして、シグが着替え終わると、テトはシグと一緒に町のことを説明しながら家へと向かった。
「とすると、国王の側近に、なぜか神父子孫がいるってわけね。そして、その神父子孫がこんな政治を作ったのか」
帰る途中シグは、テトに『勝利の女神』と聞いてなぜ納得したのかを聞いた。
それを説明すべく、テトはまずこの町のことを話した。
シグが言った『こんな政治』とは、簡単にいえば専制政治、『絶対王政』だった。
その政治のせいで、奴隷が何人もいる。そしてそれを補充するために、時折、権力を使い、男の子や、大人の男を急にさらったりするのだ。それに、国の中心部だけが発展した。
テトのいる外側は、小さい店を開いたり、土木作業に行ったりするしか金が手に入らない。
唯一、外側で儲けることができるのはテトが服を買った商店街だった。そこは、果物や、本などがたくさん入荷し、外側のほとんどの人が利用するからだ。
そんな生活に外側の人が不満を持っても、抵抗することができなかった。
なぜなら、中心部と外側をつなぐところに巨大な壁があり、出入りするための門は警備態勢も24時間、そして上や下から侵入しても魔法の壁に守られている。さらに、国王の軍の人たちは剣術や、魔法が外側の人たちよりも二枚も三枚も上手だからだ。それを利用して、悪さをしたりする軍の人もいる。
テトのいる学校は剣術や魔法を教えているが、中心部に対抗するためではない。その学校を卒業したら軍に入ることができるのだ。すると、軍になった人の家族は金が定期的に支給されるのだ。
だが、教師はもちろん中心部の人なので、生徒に教えている軍は英雄などというイメージを持たせていた。それゆえテト以外が、軍になることに不満はない。
テトは不満があるものの、ミネおばさんに親孝行するためには、これしかないのだ。
そんな学校にある噂が広まった。
それは、神父子孫に、神的な力があるといううわさだった。
そして、シグにあったテトは納得したのだ。
「神父の加護は外せないのか」
するとシグは残念そうな顔をした。
「外せない。外す方法はあるけど、それには相手を倒すしかない。殺さなくても加護を持つもの以外の手で気絶させることができれば、外せるわ」
加護は1人しかつけれないらしい。そして、外す方法は困難だった。
『加護を持つ相手を倒せばはずれる』とは言っているが、勝利の加護を持つ相手を倒すことができるのか。その時シグが口を開いた。
「勝てるとしたら、テトの魔法ぐらいだね」
テトも少しは思ったが、テトは外側の人間でまだ魔法も制御できていない。国王の側近にいる神父に到底近づくことができそうにない。
「きっと、数年したら、勝利の加護を倒せる魔法を持った人が出てくるよ」
シグは少し励ましてくれた。
「さて、ここがボクの家だよ」
そして、テトが指差した家は、少しボロい木の柱と石で作られていた。
「ちょっとまってて、ミネおばさんに事情をいわないといけないから」
と言いテトは入っていった。
数分後テトが戻ってきた。ミネおばさんはすんなり受け入れてくれたようだ。
「おじゃましま〜す」
次回、おばさん登場




