女神と少年と師匠と鎧騎士と国王
「作戦ってどうするんだ」
テトのオーラに入っているカリアは言った。カリアは鎧を着ているのでぎゅうぎゅう詰めで押し込まれた状態だといろいろ痛むので早く終わらせて抜け題したいと思っていた。
「呼んで悪いんだけど、作戦ってなにも考えてないんだ」
「え!」とカリアは驚き頭をテトに向けた。顔を向けるときに肩の鎧がシグに当たった。
「痛いじゃない。ちょっと邪魔!」
イライラしたシグが肩をぶつけ返す。
「仕方がないだろ。テトの範囲が狭いんだから!」
それからがみがみ言い争いをする。
「ストップ!」
言い争いしているところにテトが水を差した。
「まず、考えよう」
「わかってるわよ。それぐらい!でもどうするの?」
「もうあの手は使えそうにないからな」
「「「ん~」」」
と頭を抱え込む3人、数分してカリアが作を思いついた。
「テト、国王に見えないように後ろを少し開けてくれないか?」
テトがオーラの壁を少し空けるとカリアはだんだん風になっていった。
「俺が後ろから奇襲するからテトはそのナイフをオーラで包み国王に向かって投げてくれ」
するとテトの前にナイフが落ちた。それをテトがオーラで包む。
「よし、いくぞ」
カリアは風になって消えていった。そしてテトも準備万端だった。
「私は?」
シグは質問したもののカリアは風になってもういなかった。
「自由行動でいいんじゃない?」
そういって作戦は開始された。
(まだか、まだか)
国王はだんだん期待が減って怒りが増していった。そのせいかオーラから出てきたカリアには気付かなかった。
カリアは気付かれないよう最小限の風力で近づく。
(いけるか)
カリアは微量な魔力でテトのオーラ当たりで風の音を出させた。
国王は見事にその罠にはまり意識が音に集中する。
(来た)
タイミングを見計らいカリアは風の剣を国王に振りかぶる。
剣が国王の首元に差し掛かる寸前、国王は背後に感じた微量な風を感知しギリギリのところで避けた。
「危ない、危ない」
予想外の攻撃に国王は楽しんでいた。
「テトいまだ」
カリアが叫んだ途端テトのオーラが消えテトがナイフを国王に向かって投げる。国王はすぐにナイフに漂っているオーラに気付き避けた。
「くそ!外した」
テトは外したことを悔しがっていたがカリアには作戦どうりだった。
避けられたナイフをカリアは取った。もちろんオーラが纏ってあるのでカリアの姿は元に戻る。
「くらえ」
タイミングもよし、避けられないと思ったカリアは力を振り絞り刺しに掛かる。だが避けられないと踏んだ国王はカリアをわき腹からを蹴り飛ばした。
「ぐはっ!」
背中から壁にぶつかり一瞬息が止まる。
蹴り飛ばされたことによりナイフがシグのところに飛んできた。ナイフに気付いたシグはすぐさま手に取り国王に向かう。
「もらったー」
国王はアリアを蹴ったことにより片足に重心が偏る。それを狙いシグはすぐさま刺しに掛かる。だが国王は剣を床に突き刺し、剣を軸に腕で1回転した。避けられたことによりシグに大きい隙ができてしまった。国王は1回転した反動を使いシグの頭目掛けて蹴りに掛かる。
シグは当たると思った瞬間国王は自分から蹴るのをやめすぐに距離を取った。
何が起きたのかシグはわからなかったが国王がいた場所をみると特殊な剣が刺さっていた。そして入り口から全身を鎧で覆っている騎士が1人立っていた。そしてゆっくりと剣を回収しに向かう。
騎士が剣に向かいながらテトの近くによった。
「私のことはしぐっちにいわないでね」
とテトにしか聞こえない声量でお願いし、テトはうなずいて返した。
(苦戦しているようね)
鎧騎士は剣を回収し国王をみた。
(先代達とは比べ物にならないわね)
鎧騎士はみてすぐに実力を察した。
「なかなか強そうなのが来たな」
国王も実力を察する。だが実力では鎧騎士よりも少し国王が上だった。
「さて・・・・・」
国王と鎧騎士が睨み合う。両者が踏み込み迫る。鎧騎士が上から国王が下から剣を繰り出す。剣が交わった瞬間国王は受け流して魔法を放とうとする。それに鎧騎士は気付き、すぐに避ける。その際に鎧騎士はテトのほうをみた。
テトはすぐに理解してシグからナイフを取り鎧騎士に投げた。投げられたナイフは鎧騎士の足元まで飛んでいった。すぐ迫る国王の攻撃を受け流した鎧騎士はテトの投げたナイフを蹴り飛ばした。国王はすぐに首を曲げて回避したものの右頬に切り傷ができてそこから少し血が流れた。
「やるな・・・」
国王はニヤリと笑い楽しんでいるようだった。次に国王は剣に炎を纏わす。
「これをかわせるかな」
国王が構えた瞬間、鎧騎士は嫌な予感がししゃがむ。するとしゃがんだ上で炎の斬撃が通過する。かわせたものの完全にはかわせず額から上の鎧が溶けた。
すると溶けた顔の鎧から長い茶髪が垂れる。
「ほう、女か」
感心しているようだった。だが性別がばれても鎧騎士は頭の鎧を外さなかった。そして鎧騎士は剣を構えなおした。
テトとシグとカリアは鎧騎士に近づく。
「手伝うよ」
「私も手伝う」
「みているだけじゃ、な」
それぞれ鎧騎士に声をかけ、鎧騎士の横にならんだ。そして4人はそれぞれ臨戦態勢を取った。
「ゆくぞ!」
国王はすぐさまシグを狙って切りかかる。だがそれは鎧騎士によって防がれた。その際カリアは風になって国王の背後に回る。テトはオーラをぶつけるために手を国王に向ける。シグは鎧騎士の左脇から国王を狙う。囲まれた国王は手を下に向け魔法を放とうとする。
「衝撃よ」
そう唱えると国王の下から魔法陣が浮かび上がる。その瞬間鎧騎士は右手で剣を持ち魔法陣を切った。
それに気付いた国王は驚いたが次の手を考えた。そしてテトをみるとテトの手首をつかみ背後に向かって投げた。
投げ飛ばされたテトはカリアを巻き込み椅子にぶつかった。
「痛っ、大丈夫ですか師匠」
「ああ、何とか大丈夫だ」
国王がテトを投げ飛ばした瞬間シグの剣を避けて後ろにとびテトとカリア、シグと鎧騎士の間に飛ぶ。
「少しきついか。そろそろ」
国王は魔法を唱えると自分の下に魔法陣を呼び出した。数秒ほど出現し消えると、国王の体が一回り大きくなった気がした。
次は違う魔法を唱えると剣にいくつかの魔法陣が展開される。準備が終わると国王は軽く深呼吸をする。そして鎧騎士を睨んだ瞬間、一瞬で鎧騎士の前にでた。
「ちっ、身体強化もできるのか?!」
国王は鎧騎士の腹を貫こうとするが鎧騎士は間一髪で防ぐことができた。やっと国王を認識したテトはすぐに行動に移そうとするがもうそこには国王の姿はなくシグの後ろに立っていた。
「な!?」
後ろを振り向こうとしたが遅く脇腹寸前に刃が迫っている。
(まずい!)
死を感じたが、間一髪で鎧騎士が剣でガードした。だが衝撃までは防ぎきれずガードした剣に当たり飛ばされた。
「ぐはっ!防いでもこの威力・・か・・・・」
シグは壁に背中からぶつかり気絶した。
テトは目の前の光景に口が開きっぱなしだった。だが国王がテトを睨んだとたんテトにものすごいほどの恐怖が襲った。咄嗟に自分を守ろうと自分の体全体にオーラを纏った。幸いその行動によって見えなかった国王の攻撃を防ぐことができた。
「ちっ」
と国王が舌打ちをした。少し安心したのがつかの間、国王が思いっきり地面に剣を突き刺した。すると、テトの下の床が崩れ落ちた。
「うわぁぁぁぁぁ」
下の階まで思ったテトだが下をみると一階まで崩れ落ちていた。
落ちていく光景がスローに見えていた。それをみていると死が近づいている気がしていた。
「テト!」
そこでカリアが風になってテトに近づいていた。テトはオーラを解除した瞬間、カリアの上から国王が迫ってくるのが見えた。
「まずい!」
テトはすぐにオーラを放とうとするが間違えたらカリアに当たり風が戻ってしまう。だが解除してしまったので体に纏うまでには少し時間が掛かってしまう。剣は防げたとしても落ちた衝撃は防げなくなる。
「仕方がない」
テトは頭に手を当てて限界突破しようとした。だが一度使ってしまったため次はどうなるかわからなかった。
腦にオーラを流し込んだ瞬間、意識が失いそうになったがなんとか気をとどめることができた。
「ぐっ!」
テトは上と下に手を伸ばしオーラ放った。そのオーラはカリアと国王の間にそしてもう一つは下のほう階の崩壊部分に壁を作った。するとカリアはもとに戻ってしまったもののテトのオーラのおかげで着地にダメージはなくテトもダメージはなかった。一方国王はいきなり壁が出現して戸惑った。
「おっとまずい」
すぐに触れてはいけないと気づき。剣を投げて足場を作った。そして剣ごと上に上がろうとしたがオーラがまとわりついて抜けなかった。
「この剣は使い物にならんか」
そしてすぐに国王はシグと鎧騎士のいる階に戻った。
「シグっちは気絶してしまったか」
鎧騎士はシグの様子を確認した後、上がってきた国王をみた。
「ほんとに勝てそうにないな~」
といって鎧騎士は鎧をすべて外した。
「勝てそうにないのに鎧を取るか」
王は鎧騎士の行動を鼻で笑った。
「この鎧動きにくいのよ」
愚痴をこぼしながらアリアは剣を取った。
「その姿、見たことあると思っていたが、封印されていた騎士か」
国王は目を見開いていたが口は笑っていた。
「知ってたか。でも驚いたよ~、まさか魔法なんて私達の時代見なかったからな~」
アリアは改めてこの世界のことをみて敬意を示していた。
「過去最強の騎士に褒められて光栄なことだ」
「ま、あなたの時代も今日で終わるけどね」
アリアは膝を曲げて臨戦態勢に入る。そして思いっきり国王に突っ込んでいった。
「速い!」
鎧を着ていた時よりもスピードが倍以上増していた。予想以上の変わりように国王は驚いたが剣で弾き返す。すると、アリアは手を銃のような形に握った。
「まさか!」
国王の動揺をみてアリアはにやりと笑う。
「魔法に似たようなものは私の時代にもあったのよ?ただそれを魔法とわかるまでね」
カリアは剣の刃をみた。するとそこには文字が書かれてあり、それは魔法の詠唱だった。
「詠唱完了」
国王は即座に危険を察知し防御魔法を展開した。
「これが経験の差よ」
カリアはすぐに防御魔法の外の国王の足に指を向けた。
「雷光」
アリアが魔法を唱えた途端、指から一筋の光が国王の右足の脹脛を貫通した。
「ぐっ!」
国王は片足をついた。アリアはその隙を逃さず国王を切ろうとした。
「私をなめるなよ!」
国王は叫ぶと手の平をアリアに向けた。
「は!」
国王はその手のひらに力を籠めると魔法陣が展開され、アリアを吹き飛ばした。
「そんな魔法もあるのか」
アリアは壁まで飛ばされ背中と頭を打ち倒れた。
「はぁ、はぁ」
国王は片足を引きずりながら椅子へ近づき、ゆっくりと腰を落とした。
その瞬間、アリアは笑みを浮かべた。
「「勝った」」
国王の椅子から黒いオーラが溢れてくる。
「しまっ」
それをみた国王は椅子から離れようとするがもう黒いオーラに手足は固定されていた。
「やっと掛かってくれましたね」
階段を上がってきたカリアとおんぶされているテトが姿を現した。
「いつから・・・・いつから仕掛けていた!」
国王が問うとテトは笑みを浮かべた。
「あなたに投げられた時ですよ。そのあとあなたはシグの攻撃を対処するためにボクから目を離したおかげで仕掛けることができました」
テトの解に国王は思い出すと笑った。
「はっはっは、完敗だな」
国王は負けを認めた。そしてそのあとシグが起きた。
「あれ?」
シグは目の前の光景をみて目が点になっていた。
「なんで国王が捕まって、そしてなんでアリアがいるの?」
シグはアリアをみるとすぐに泣きそうになっていた。だがアリアがそれを止めた。
「それは後、さてこれをどうするか」
アリアの視線の先には捕まった国王がいる。対処には困った。
「それなら私に策があるわ」
そういってシグは国王の内ポケットから鍵を取り、手錠を外した。
「ふぅ~、よし、戻った」
シグは戻ったといったものの外見や魔力にはなにも変わりはなかった。そしてシグは手錠を国王に付けた。
「これでもう魔法は使えないわ。それとある程度の身体能力も落ちる」
「この手錠ごときで私を封じ込めると?」
国王は余裕の表情を見せていた。
「私の加護で作った駄作と違ってこれは私の魔力をそのままつぎ込んでるから私が許可するまで外れないわよ?」
と笑った。こっそり国王は外そうとしたが力が全く入らなかった。
「そしてあなたは死ぬまで牢屋にいてもらう」
それがシグの処罰だった。普通なら処刑となりそうだが、シグは処刑が嫌いなため終身刑になった。テトたちの否定はなく決定事項となった。




