少年と偉人たち
テトの前には30人もの偉人たちがご自慢の武器を持って待ち構えている。テトはどのように攻めればいいのかわからなかった。
「ふむ。どうしたらいいのやら」
先に声を発したのは2代前の国王だった。この国では32代目の国王だ。伝承によると32代目国王は20人の一斉放射の魔法を一つの魔法で消し飛ばしたということが記されている。だがこの国王が最強という訳ではなく伝承をすべて照らし合わせるとこの国王が基準の強さである。
「では、私が行きましょう」
国王達の前に1人の騎士が立った。声から察して女性のような感じだが装備が全身まで西洋風な鎧で包まれているのでわからなかった。持っている剣は長剣でとても切れ味がよさそうだった。女騎士は剣をみると少し笑ったような気がした。
「お前がこの国を脅かす輩か」
雰囲気が一瞬で変わりテトを睨むようにして鎧が動く。鎧越しにもその威圧は凄まじいものだった。
「国を脅かしているのはこの国自身だ」
テトは本当のことを言うと国王達は笑っていた。そして怒りがこみ上げたのか女騎士は屈み、テトに向かって突撃していった。その速さはとても速く目で捉えるのがやっとだった。
「ほう?魔法なしでここまでとは」
歴代国王達はその光景をみて感心する。だがテトはやっとの思いで黒いオーラで抵抗する。黒いオーラを弾丸状にして放つがすべて交わして目と鼻の先まで近づくと思いっきり振り下ろす。テトは咄嗟に腕にオーラを集中して防いだ。そして剣が弾かれると同時に頭に向かってオーラを放つ。
「くっ・・・・」
防がれたことに少し驚きすぐさま女騎士はオーラを首を曲げて交わそうとするが完全に交わしきれずに頭の鎧に当たった。すると頭の鎧の前面を覆う部分が取れた。
「この鎧、動きにくい」
そして女騎士が使えなくなった頭の鎧を外しその顔が明らかになった。茶髪で長髪の美しい女性、その顔はテトがみたことがある顔だった。教科書ではなく、夢で見た顔。
「なんで・・・生きてる?」
その顔はショートヘアから変わっているものの夢でみたアリアにそっくりだった。その顔に驚愕したテトを見逃さずアリアにそっくりな人が剣を繰り出す。
剣を振っているさいに声をかけてきた。
「私を知ってるの?」
余裕の表情で切りかかってくる。
「知ってますよ。アリア、貴方はシグと一緒の騎士団ですよね?」
シグの名前が出た途端少し剣の動きが鈍る。だがまだ切りかかってきた。
「なんでシグっちを知っているのよ。それにまだ生きているの?」
「ええ、シグはボクと一緒に行動していましたが、罠にはまって今離れ離れなのです」
まだ信じられないのか切り続けてくる。
「信じられないわ。証拠を出しなさい」
証拠はないものの夢でみたことを話した。
「貴方は突然の戦争で仲間を失いました。先にアルバを、次に鎧を外した貴方の背中に弓が刺さり、その影響でサクマと・・・」
言い切る前にアリアはテトの口に人差し指をかざし止めた。そして剣を止めてテトを見つめる。
「それ以上言わないで。わかったわ、信じる。だから」
そういってアリアはテトを押して尻餅をつかせた。そしてテトに告げた。
「事情はこれが終わったら聞くわ。今は休んでなさい」
アリアは後ろを向き、国王達をみた。
「これは少し骨が折れそうかも」
アリアは偉人たちすべてを相手する気だった。
「あんたには無茶だ!」
テトは止めようとするが止まる様子は全くなかった。
「聞いた限り私が背中を射られたことしか知らないんでしょ?あれはただの判断ミスと状況が悪かっただけ。魔法なんぞしったことじゃない。逆に上等よ!」
そしてアリアは偉人たちに向かって走っていった。
「裏切りか?!」
裏切りに気付いた32代目国王がアリアの下に魔方陣を出現させる。
「炎よ!」
魔方陣から炎が出る寸前「遅い」とアリアは言って魔法陣を切り捨てて走りぬけた。それをみた国王達が驚くが32代目はすぐに腕から魔法陣を出し一斉放射を消し飛ばした魔法を出そうとする。
「雑魚」
そう吐き捨てて、発動前に32代目を壁まで蹴り飛ばす。そして32代目は気絶した。
「思ったより弱いわね」
その光景にテトは絶句した。まさかここまで強いとは思ってはいなかった。
「くそっ」
1人の国王がアリアに向かって魔法を撃つが交わされる。それに便乗し魔法を撃てる偉人たちが一斉にアリアに向かって放ったが、それも交わされた。
「なんだと・・・」
そしてアリアはどんどん偉人たちを切り倒していく。途中背中に向けて氷の矢が放たれるが「二度も同じ手は食わん」といってなぎ払った。30分もしない内に残る偉人はアリアも合わせて3人になった。
「すみません。国王様」
といってアリアの当時の国王を切り捨てる。そして最後に蹴り飛ばした32代目国王の首も飛ばした。
「さて、終わった」
全員終わるころには神父はもう逃げていた。そしてこのフロアにはテトとアリアの2人だけになった。
「殺すんだな」
そういうとアリアは笑って答えた。
「私達はこの時代には必要ないからね」
その答えにテトはあることを聞いた。
「あんたも死ぬのか?」
アリアの顔がきょとんとしてる不思議に思っているようだった。
「私はまだ死なないわよ。シグの顔も見たいし。あんな終わり方はいやだからね。それで、何でシグっちと行動してたかすべて教えなさい」
急にアリアの目が真剣になった。その威圧に蹴落とされテトはいままであったこの国のことやシグと一緒にしたこと、夢のことをすべて話した。
「そう。そんなことが。よかったは貴方のほうに着いて。時間をとらせてごめんだけど私は少し別の場所に行くことにするわ。シグっちをお願いね」
アリアは少し俯いてテトと別れていった。
次回はアリアのお話です




