仕事中は眠いの法則
お布団さんは如何様にしてあの包容力と依存性を手にいれられたのだろうか。
小一時間は考えている。
もちろん、仕事中である。
うちのお店は自転車を専門に扱っている。
が、別に自転車を買いにくるお客が途切れない、なんてことは滅多にない。稀なのである。いや、本当は毎日が忙しい方がいいにはいいのだ。
でも、レアなものはレアだし、暇なもんは暇である。
よって、考える。
お布団さんのことを考える。
時間の頃は14時過ぎ。お昼休みから戻ってきて程よい時間が経った頃である。
まあつまるところ、眠いのである。
室内の何とも言えない暖かさに、窓からの日差し、そして、店内でうつらうつらしているという背徳感と罪悪感とスリル。
寝るか。
もう、ここまでのお膳立てしてもらって寝ないとかできないだろう。というか意識保たないだろう。
と、そんなわけで長箒を片手に、ぼくはお掃除をはじめる。
箒を持っていれば、倒れかかって眠りつつ掃除も、体裁もなんとなく保てそうな気がするのである。
無理っぽい気も薄々はしないでもない。
だが断る。
もう眠い。
そして今日も一歩に15秒くらいかけてお掃除と惰眠を貪るぼく。
ぶっちゃけ掃除した方がいいのは雑念だらけのこの頭ン中なのであるが、クリーンになったとしてもまたどうせ汚れるので、別に気にしない。
クリーンになって行くお店の中を、ゆったりと動くぼくの姿はどんな大変なことになっているのか、想像するとカメよりも遅いのだけは分かる。が、他の者には何も言われることがない。
不思議と、ない。
最初のうちは、ああ、見限られたかなあ、と行動を改めるでもなく悩んでいたのだが、最近そうでもないということが分かった。
……なんか、認識されてないらしい。
遅すぎる、のかも知れない。
早すぎて見えないのではなく、遅すぎて認識できない。
「逆クロッ○アップ」状態なのか。
だらだらと一日が過ぎていく。
だらだらと歳ばかりとっていく。
このまま歳をとったら、グダクダ犬がとりあえずメガ進化して、ダランダラン犬にでもなるんだろうか。
まあ、なりたくないとは言わないんだけれども。
言えない時点でダメな予感はしてるが。
まあまあまあ。
紙一重で行こうよ〜。
と、開き直る犬の上は、なんとなく今日も晴れていたりする。