恋愛とか人との関係とかなんかそういうの
ぼくは、結構恋愛が好きである。
おかしな表現、なのかもしれない。
「異性」ではなく「恋愛」が好きだなんて。
でも、ぼくの中では結構昔からそういう認識である。
恋愛経験というものを、恋人がいた人数、またはその期間で比べるのだとしたら、ぼくは恋愛経験ゼロに近い。
ラブ力たったの5、ゴミである。
だが、それでもぼくは恋愛が好きなのである。
恋の歌を耳にすれば、胸が本当に痛くなるし、誰かを好きなうちは、その他のすべての悩みがどうでもよくなる。
それは決して叶わぬうちは甘くなんかなく、苦く渋いだけの気持ち。叶えたくとも、段階を踏んだり、気持ちの整理をしたり、たくさんの時間を無駄にした挙句、拒否されるために費やしただけになる熱量。
けど、けれども、それってすごくぼくの中では大切な時間なんだ。最初は声をかけるのだって無理なんだ。
それがだんだんできてきて、一緒に帰ったりしてさ。
遊びに行ったりできるようになって。
その時の高揚感、自分とは思えないほどの純粋なキモチ。
そしてそれは大抵において破れるんだけれど。
叶わないからといって、捨てきれるわけのない熱量を抱え込んで、胸の中は火傷でいっぱいになって。
その痛みを隠すために飲み込む、苦しく苦い夜色の珈琲。
ね、バカみたいだろう?
ぼくは好きになった人とは、手さえ繋いだことはないんだ。
笑っちゃうだろう?
それでも誰かをいずれ好きになるのを、自分でも止めることができない。
こんなオスとしての本能にしかすぎないものに翻弄されて、しかしその本能はぼくの妙な距離感にたたらを踏んでうまくいかない。
あはは。笑っちゃうよね。
笑えるくらい、ぼくは、自由を愛するぼくを縛り付けられる誰かを見つけてしまうことを、望んでいる。
また抱えるかもしれない痛みを、恐れも懲りもせずに、もたれ合える誰かを、探し続けている。
笑っちゃうくらい、ぼくは、ひとりぼっちなのかもしれない。
なんて、首都の端っこで、疲れた目をした犬が一頭、自嘲気味に笑って、丸くなってまた、眠った。