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三.
「なにをしている」
乾いた声が響いた。
――あのときと、同じだ。
氷の刃のように。
けれど滾る炎のように。
ひどく、乾く。
「陛下」
礼をとろうと膝を屈めようとしたが、思いがけなくそれは制された。
ふわりとやわらかいものが肩を覆った。先ほど落とした肌掛けだった。
「よい。身体に障る」
「……恐縮にございます」
「それよりもなにをしていた」
落ち葉を――
踏んでいたと、言えばどう返されるだろうか。
子どものように無心になって。
なんと言うだろう。
わたしを、わたしを……
「わたしを憎んでいるか」
真冬の夜空のような瞳が、わたしを捉えた。
あのひととは、正反対だ――。春の陽のような、あのひととは。
はらり、と葉が落ちる。
「――愚かなのは、わたしです」
また、葉が落ちた。
構成上、もうしばらく一話一話を短く掲載する予定です。申し訳ありません。
また、モノローグの描写ももう少し続きます。