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落日の音  作者: もぃもぃ
3/22

二.



やわらかい笑顔のひとだった。春の陽のように。



*** *** ***



目覚めて二日が経った。

こちらに来るまでの二日間も、わたしはずっと眠り続けていたらしい。

気がつけば見知らぬ土地の城で、見知らぬ者たちに囲まれていた。



肌掛けを纏って、緩やかに庭園に向かって歩を進める。陽が落ちる頃に戻れば良いだろう。それまではまだ幾分か暖かいから。



ぱし、ぱしと、踏むたびに乾いた音の鳴る落ち葉を見つめた。祖国――いや、故国でも――幼い頃、季節になると落ち葉を踏んで毎年遊んだ。いつの頃からか、それはしなくなったけれど。それでも、いつも傍らにいてくれたひとを思いながら季節を眺めた。



いつしか無心で落ち葉を鳴らしていた。

ひゅぅ、と風が鳴る。

落ち葉がからからと舞う。肌掛けが重たそうにさらわれた。


「あっ」

指の間を風が通り抜ける。

落ち葉が、舞う。



からから

からから



風が鳴る。

足下の葉も、すべてさらって。


落ち葉は舞う。


ゆっくりとだれかが肌掛けを拾う。




――思い出は、とまってくれるだろうか。




そこに佇むひとが、あなたであったならば。


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