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夜明け前の仕事

作者: Kaito_Takahara
掲載日:2026/04/10

朝5時。

まだ空は暗くて、街もほとんど眠っている。


その中で、ただ一人、もう働いている人がいた。


「今日も寒いな…」


高校生の翔太は、自転車に新聞を積みながらつぶやいた。

みんなが寝ている時間に起きて、街を回る。それが彼の仕事だった。


正直、最初は嫌だった。

友達はみんなゆっくり寝ているのに、自分だけ早起き。眠いし、寒いし、なんでこんなことしてるんだろうって思ってた。


でも——


ある日、配達先の一軒で、ドアが少し開いた。


「おはよう、いつもありがとうね」


出てきたのは、おばあさんだった。

笑顔で、手を振ってくれた。


「いえ…」


翔太はちょっと照れくさくなった。


それから、その家の前を通るたびに思うようになった。

「この新聞、ちゃんと届いてるんだな」って。


ある日、強い雨の日があった。


びしょびしょになりながら配達していると、ふと考えた。


「こんな日でも、待ってる人がいるんだよな」


足は重い。でも、止まらなかった。


全部配り終えたとき、空が少し明るくなっていた。

雲の隙間から、朝日が顔を出していた。


「…ちょっと、悪くないかも」


翔太は笑った。


仕事って、最初は「やらされるもの」かもしれない。

でも誰かの役に立ってるって気づいた瞬間、少しだけ意味が変わる。


それは、お金のためだけじゃない。


自分が、誰かの一日の始まりを作っている——

そんな、見えないつながりの中にあるものだった。

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