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プロローグ 3

1時間後....

前沢さんがダダをコネて、やれ子守唄を歌えだの、歌詞が間違ってるだの、ビブラートが下手くそで寝れないだの。

注文が多くて寝かしつけるのに1時間もかかってしまいました。


「すみません!お待たせしました...。セシリーさん、お客さんは来ましt....ってえええ?!?!?!」


前沢さんを寝かせて戻ってきた僕は、信じられない光景を目の当たりにしています。

何と、あれだけ売れ残っていた商品がほぼ売り切れているではないですか。


「毎度ありがとうございます!『すご~いお茶』が1ケース、『どんな上司もこれ一本、今日は定時で上がります薬』が10瓶ですね!10万ピックルのお買い上げで、サービスとして私の唾液をプレゼントです!またのご来店をお待ちしております!」

「はい!!また来ます!!また来ます!!!」


.........。

これはどういうことでしょうか。

どうやらこのお店に新しいサービスが追加されたようです。

それで飛ぶように売れるこの町の性癖はどうなってるんだ一体。


「あの、セシリーさん。お店番をして頂いて、しかもこんなに売り上げを伸ばしていただけたのは大変有り難いのですが...」

「あっ!おかえりなさい、根暗さん!見て下さい!!あんなにあった在庫がもう無くなりそうですよ!!」

「はい...ありがとうございます。...ただ、10万ピックルでセシリーさんの唾液プレゼントキャンペーンまでお願いしたつもりは....というかあんまり変なサービス作らないでください....」

「えへへ。ちょっと興が乗っちゃいました」

「ちょっと興が乗ったらなんで唾液プレゼントサービスを思いつくんですか!!というかそれで売れるこの町がなんかもうやだっ!!!」


テヘペロッと舌を出すセシリーさん。かわいい。

もうなんか商品も売れたし、セシリーさん可愛いからどうでもよくなってきたかもしれない...。


「あの、セシリーさんはいつまでこの町に居るんですか?」

「ん~そうですね。明日にはもう出ようと思います。ちょうど探してた人材も見つけたので」

「え、見つかったんですか??そんな人この町に居たなんて信じられないです。というかその人材がセシリーさんの唾液目当てに買い物してたとかあんまり考えたくない...」

「いや、お客さんには居なかったですよ?」

「え?あ、そうなんですね、ちょっと安心しました....じゃあ、そろそろ店じまいの準備しますね。セシリーさん、ありがとうございました。さっきの売り上げからセシリーさんの分の給料を計算するので、ちょっと待っててください」

「あ、いえ、給料はいらないです。代わりにお願いがあるのですが」

「え?いらないんですか?それは助かりますが....お願いってなんでしょうか?」


セシリーさんが僕を見つめ、少し言いずらそうにもじもじしています。

どうしましょう。先ほどあんな光景を見たばかりなのに、ドキドキしてきました。

まぁセシリーさんほどかわいい人に自分なんて到底似合わないので、いらない期待はしないでおきます。

きっとすごいイケメンに声かけられてるでしょうし...その中にはセシリーさんにも負けず劣らずの特殊性癖持ちが....


「あの、頭の中で色々考えているのはいいですが、全部読めてますからね?い...一応言っておきますが、私はイケメンにナンパされたこともありませんし、スゴイ特殊性癖持ちでもありませんから....。」


い、いや、さっきのあれを見た後じゃどう考えても言い訳できないでしょう....。


「唾液プレゼントは私が考えたんじゃありません!町の人から催促されたんです!それに、()()()()()()()()()()()をその...の...飲んだのも、私にそういう性癖があるからじゃありません!!」

「そ、そうなんですねー」

「あれは私が探している人材を見つけるために必要だったからやったんです!」


人材を見つけるのに人の吐しゃ物まで飲まないといけない世の中なのでしょうか...。

どこの世界も人材不足は深刻そうです...。


「ご、ごほんっ。あの、それでお願いなんですが...」

「あっ、すみません。そうでしたね。お願いって何でしょうか」

「あの、驚きませんか?通報とかしないでくださいね?」

「いやそれは聞いてみないと分かりません」

「あの...えーっと....その...ですね....私がここに最初に来た時、根暗さんの汗付き水を飲ませて頂いたときにピンッと来たんです。」

「やっぱり特殊性癖持ちじゃないですか」

「ち....違いますっ!そ...それでなんですが....えっと...根暗さんにはですね...是非とも...時期魔王候補の一人として私と魔王城まで来てほしいなーなんて....」


え?聞き間違いでしょうか?

この人今魔王がなんちゃらって言いましたか?


「はい。その、今まで黙っててすみません。実は私こういう者でして....」


そういってセシリーさんは僕に一枚の名刺を渡してきました。

そこに書かれていた内容は....


========================================

魔王軍 人事部


8面ボス担当部長 セシリー


xxx-xxxx-xxxx xxxxxxxx@xxxx.xxx.xx

========================================


「えっえっえっ........えええええええええええええええええええええええ?!?!?!?!?!」


「というわけで、根暗 ネクロマンサーさん。明日から私と魔王城に来てもらえると嬉しいです。」



「ぼ..ぼぼ...ぼぼぼ...僕にはっ...僕にはそんな魔王なんて...っ!!!!むっ..むりだ!!!!」

「いえ!!あなたには魔王の素質を感じました!あなたの汗に誓って約束します!」

「僕の汗に誓って魔王の素質なんか約束しないでください!!!そ...そんな...よりにもよって魔王とか...!!なんでそんな.....」

「...だめでしょうか.....?」

「い...いや...ダメかと言われたら...ダ...メです..かね....。ちなみに魔王ってなにするんですか...?」

「そうですね...。例えば、週に一回各面のボスの方と会談などをして、ステージ構成の見直しやそのステージで雇われているモンスターの方の志気を上げて頂いたりします。」

「はぁ...」

「あとは魔王様ですので、王国などにフッと現れて頂き『この国の姫は我が頂いた!!返してほしくば我の城まで来るがいい!!!ガハハハハハハ!!!』などの口上を述べて頂くのも重要なお仕事になります。」

「は..はぁ...」

「最後に、この世界の制服。そう。世界征服をして頂きます。これは代々続く魔王軍の宿命でもあります。」

「...............」

「いかがでしょうか?もちろん魔王様には、それはそれは素晴らしい報酬が約束されています。世界征服が出来た暁にはこの世界を魔王様の好きにできるんですよ!」


どうしよう。どう頑張っても魔王になりたいと思えません。

というか、魔王になったところで仕事内容はどれも根暗には無理なものばかりです。


「セシリーさん。とても有難い誘いなのですが...どう考えても僕には出来そうにありません。お店番をお願いしたのにセシリーさんのお願いを聞けないのは虫がいい話だと自分でもわかっているのですが...」

「根暗さん。大丈夫です。魔王様はみんな最初はそう言うんです。」


え、魔王様ってみんなそう言うんだ...。


「一回魔王城に行ってみませんか?一回行って、もし本当にダメそうだったらまたこのお店に送還いたします。私の最後のワガママだと思って...お願いできませんか...?」


セシリーさんが上目遣いで僕を見てきます。

卑怯だ。

ま、まぁセシリーさんかわいいし、ちょっとした旅行がてら魔王城見学して、いい感じのところで断ろう....


「わ、わかりました。では、一回だけですよ...?」

「っっ!!ありがとうございます!!では、私と手を繋いでください。」

「?わ、わかりました。」


セシリーさんに促されるまま手と手を繋ぐ。なぜか恋人繋ぎです。


「じゃあ行きますよ!最初はちょっと酔っちゃうかもしれませんが、我慢をお願いします!」

「えっ、も、もう行くんですか??それに酔うってどういう....?!?!?!」


次の瞬間、足元に大きなマジックサークルが現れ......


「テレポート!!」


セシリーさんが呪文を唱えた瞬間、視界がぐにゃりと曲がり、まるで船酔いした時のような感覚に襲われました。

思わず目を塞ぎ、セシリーさんの手をぎゅっと握ります。

しばらくして、セシリーさんから声がかけられました。


「根暗さん。つきましたよ。目を開けて下さい。」


恐る恐る目を開きます。

すると.......


「「「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」


「時期魔王様候補がご到着されたぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」」


パチパチパチパチ...パチパチパチパチ....

鳴りやまない拍手が僕の耳を(つんざ)きます。


「セシリーさん」


「はい?どうされましたか?根暗さん」


「やっぱり僕、こう思うんです。」




根暗な僕には魔王なんて絶対に出来ない

はじめまして。

防音と申します。

読んでいただきありがとうございます。


こちらの作品は処女作です。

できれば失踪せず趣味としてダラダラ連載出来たらなと考えてます....。


────────────


「セシリーさん、ところでこの小説、地の文が全て話し言葉なのですが....」

「あら、根暗さんも気付いてたんですか?」

「気付いてたもの何も、僕の考えてることがそのまま全部出ちゃっててかなり恥ずかしいんですが....」

「まぁまぁ、趣味で始めたものだそうですし、多少大目に見てあげませんか?そもそも地の文を話し言葉で書くのはNGとか、書き終わった後に知ったみたいですし....」

「でもそれで被害被るの、僕なんですが!...はぁ...次話以降もずっと思考垂れ流しになっちゃうのかな.....」

「大丈夫です。きっと何事もなかったかのように書き言葉になってるハズ...です。」

「ふ、不安だなぁ....」

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