プロローグ 2
はぁ...期待した僕が馬鹿だったみたいです。
そんな上手い話があるはずありません。これは現実、現実です。
どうせ僕は前世で好きな子のリコーダーを舐めるようなド変態です。
ロクな転生じゃないことは分かりきってます。
「お水持ってきました。あとすみません。ここの店主から水だけでも金を取れって言われてまし....て........って大丈夫ですか?!」
やばい、どうしよう。
さっきの人がカウンターの前で倒れてます。
さっきのは冗談でもなんでもなく、マジで死にかけだったようです。
「水持ってきたんでっ..!とりあえず飲んでください...!」
「.....................。」
「あっ..あの....き、聞こえてますか....?しっ...しっかり、しっかりしてください...!!」
「み...みず............を............し...し....ぬ..........」
「っっっっっ!!!」
僕は急いで女の人を仰向けにし、口に水を流し込みました。
「....ぐっ..ごはっ...!がっ..はっ..!げっ!....ごぼぼ...ぼ......」
まずいまずいまずい!!!!
溺れさせてる!!!!
急いで自分が着ていた服を千切ってその人の口に詰め込み、そこに水を染み込ませます。
「すみません!!この布に水を染み込ませるので、そこから吸ってください!」
「ごっ..がはっ.....」
ズズッ....じゅるっ,...じゅるるるる......
ゴクッ..ゴクッ...ゴクッ.....
ものすごい音を立てながら水を吸っているお姉さんを見ていると、なんだか新しい性癖が開拓されそうです。
...何を考えているんだ僕は。
「..っはぁ..!...はぁ..ごほっごほっ...はぁ...げほっ..あ、ありがとう...ございます...」
「い、いえ...あの、大丈夫ですか...?」
「はい...お陰様で何とか.....それにしても..随分とおいしいお水でした....」
「え...?普通の水ですけど....」
きっと死に際だったからだろう、水がいつもより美味しく感じたそうです。
...っと、何故かお姉さんが再び口に布を含み....。
「あ、あの...もご..も、もういひど...みうおふあはい....」
「え...?いやもう布を口に入れる必要はないんじゃ.....」
「.....し....しんあ...う.....」
「わっ、わかりましたから!じゃあもう一回染み込ませますよ...?」
「ふぁ、ふぁい...」
この人は布越しじゃないと水を飲めない体質なのでしょうか?
もう一度布を口に含んだお姉さんに、僕は水を染み込ませてあげます。
ズズッ....じゅるっ,...じゅるるるる......
ゴクッ..ゴクッ...ゴクッ.....
「お....おいひい.....」
「...あ、あの...そんなにおいしいんですか...?」
「ふぁい...ほれはおう、ほふほうのあひえふ...」
「あの、なんて言ってるか分からないので布取って喋ってください...」
「ふ、ふみまへん......すみません、それはもう極上の味でした...!」
「よ、よかったです...」
なんだろう。きっと水不足で相当ヤバイ状況だったんだと思います。
味覚だけじゃなく頭までおかしk....
「頭までおかしくなった、わけじゃないですよ?」
「えっ?」
えっ、えっ?
もしかして意識しないうちに顔に出てしまっていたでしょうか...?
このお姉さんめっちゃエロいなとか、そんなこと考えていたのが途端に恥ずかしk....
「私の事そんな風に思ってたんですか?..............変態」
「えっえっ?!...いやいやまさかそんな..そんなこと思ってないですよっ、そんなそんな...アハハっ」
頬を少し赤く染めたお姉さんが、僕をジトっと睨んできます。
どうしよう。そんな目で見られたら僕の性癖にぶち刺さってしまいます。
というかもしかして、本当に頭の中を読まれてる...?
「もしかしてもなにも、ちゃんと全部読めてます。あなたの性癖にぶち刺さりそうなこともバレバレです」
「?!?!?!?!」
「...すみません。私の能力で、一度相手の体液を体に吸収すると、その人の思考が読めてしまうんです」
「そんなチート能力聞いたことないですよ!!というか、ものすごく恥ずかしいので思考を読むのやめてください....!」
どうやらさっきの布に僕の汗が混じっていて、それを飲んだことで僕の思考が読めるようになってしまったようです。
「はい。とっても美味な体液でした....♡」
「そ..それはよかったです....。と、ところで、なんでお客さんはこんな辺境の田舎町に来たんですか?」
「私の名前はセシリーです。お姉さんでもいいですよ?」
「お、セシリーさん...は、どうしてこの町へ..?正直都心からはものすごく離れてますし、何もないところだと思いますが....」
「それはですね....今人材を探してまして」
「人材ですか?」
「はい。それも、溢れんばかりの才能を持ち、将来この世界を背負って立つほどの大きな器を持った。そんな人材です」
「そんな人材を探しにこんなところまで...セシリーさんも相当苦労してるんですね....でも、そんな人この町に居ませんよ」
「あ、憐みの目を向けないでください...。それに、なにも当てずっぽうでこの町に来た訳じゃないんです」
チリンチリン.....
「うっぷ...さすがに飲み過ぎたか.....おい根暗ぁ!水持ってこい!!」
「は、はい!すみませんセシリーさん。お水持ってきます。」
セシリーさんと会話してたところに、ちょうど前沢さんが帰ってきました。
どうやらお金がないくせにまたお酒を飲んできたみたいです。
こうなるととてもお店を開けてられる状態じゃなくなります。
「うっぷ....ぉ...おお?なんだぁ...?綺麗な姉ちゃんがいるじゃねぇか??」
「前沢さん、その方はお客さんですよ。なんでもこの町に人材募集に来たみたいです。はいこれお水です」
「んぁ..おおっ...ゴクッ....」
「プァッ!...人材だぁ??この町まで人材募集たぁ世も末だな!ガハハハハハハ!!!」
「あの..根暗...さん?、この人は....?」
「僕の名前は根暗ネクロマンサーです。この人はデモゴルゴン前沢さん。このお店の店長です」
「根暗さんに前沢さん...とっても変わった名前ですね....」
「あ、やっぱり変わった名前なんですね....」
前々から変な名前だと思っていましたが、この町の人は大体そんな名前なのでそういうものだと思っていました。
やっぱり変な名前だったんだ....。
「な、なぁ...あんた、見れば見るほど別嬪さんじゃねぇか..?どうだ、俺と今から遊びに行かねぇかよ?..うっぷ...おらぁあんたにならちょっとくらい奢ってやっても...う..うっ..え...おぇぇぇぇぇぇ」
「ぎゃああああああああああああああ!!!!前沢さん!!吐くのはダメです!!シャレになりません!!!」
最悪です。前沢さんがカウンターに向けてまき散らし始めました。
僕は咄嗟に近くにあったバケツで前沢さんのステキな液体を受け止めます。
「おっ..おぇ...う....はぁ..はぁ....」
「前沢さん、流石に飲み過ぎじゃないですか?」
「うっせぇ!てめぇは黙って掃除すればいいんだよっ...!」
はぁ...この人は全く...。
僕がこの世界に来る前はどうやってお店を切り盛りしていたのでしょうか?
と、そんなことを考えていると、セシリーさんがおもむろにバケツに手を....?!?!?!
「ズ..ズズ...ん..まずい」
「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」」
「...?どうしたんですか?」
「い...いや...どうしたもこうしたも!!なにしてるんですかセシリーさん....?!?!?!」
「う..うええ...やばい.....今の見てたらまた吐き気が....」
「ちょっ!!セシリーさんバケツ!!!前沢さんに!!」
前沢さんのステキな液体をバケツで受け止めるセシリーさん。
そのまま受け止めた液体をグビグビ飲んでいます。
なんとも言えない光景です。というか、出来れば絶対見たくない光景です。
僕もなんだか吐き気がしてきました....。
「ふぅ...やっぱりマズいですね...」
「いや、そりゃそうでしょう....」
「おい根暗...おりゃもうダメそう..だ.....」
バタリ。
前沢さんがあまりのショックで倒れてしまいました。
仕方が無いので部屋まで背負って寝かせてあげないと...。
「セシリーさん、すみません。前沢さんを一度部屋に寝かせに行くので、少しの間お店番を頼めないでしょうか?おそらく誰も来ないと思うので....」
「わかりました。私は構いませんよ」
「すみません。ありがとうございます。」




