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「さて、先ずは工房ですね」
リビングは生活感が溢れている。
大きめのテーブル、椅子が4脚。
台所はコの字で、基本なんでも揃っている。
こんな所に錬金術に使えるいい感じの箱はなかった。
1階のリビングを、さらに奥に進むと工房はある。円形の部屋はかなり大きい。リビングの2倍はある。
「初めて来た時は開いた口が塞がりませんでしたね。懐かしい。そういえば、師匠もいつも1つのを作るのに2回ナニカをしていましたね結局解らずじまいになってしまいましたが。まあ、帰ってきたら聞いてみましょう。今ならできる気がします」
人が2人は入りそうな釜。
確かに、液体が少なくなってる。
底にはさっきいれた素材が沈んでいる。
「……こんなにまじかに見たの初めて、かも?」
釜の液体は、形容しがたい色合いでした。
黒のような、紫のような。時々目をみはるような青に変わった。
外見は骨董品その物なのに、内側にはビッシリと私では解読できない文字の様な、記号の様なもので埋め尽くされています。
「うーん、何か頼りになりそうなものがあると思ったのですが……そもそも何でこんなに片付いてるのかしら。いっつも片付けないでものが乱雑に置かれてるのに……」
師匠は整頓はさせてくれたが物を片付けられる事を酷く嫌った。
部屋が汚いのはモヤモヤして嫌でしたが、それで、嫌われたくもなかったですし、お互いの折衷案として、整頓に落ち着いたわけですが。
「……あと、それっぽいのはこの怪しい四角だけですね」
真っ黒で、光も反射しない正方形のナニカ。