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「とりあえず、言われた通りに中和剤を作りましょうか」
恐る恐る、錬金釜にポチャポチャと素材を入れてみる。
特に何も起こらない。
「な、なにか足りないのかな……」
まずヒントが少なすぎます。
「師匠も同じ人間です。なにか記録とか残ってないか調べてみましょう。普段は入るなって言いますけど、このままでは何もできませんからね、仕方ないですよね」
アトリエ内に器具はあれど、素材や資料は殆ど置いてない。
部屋を見渡してもそれらしいものは何も無いので探すことにします。
「これだけ広ければなにかあるでしょう」
レンガ造りの家を探検する事に。
「自分の家を探検って変なの」
どれだけ住んで居たか。なにも知らないし、知らされていなかったのだと痛感する。