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「……はぁ、いいです。やり方教えてください」
とはいえ、初めての創成ですから、ちょっとだけワクワクしますけどね。
仕方がないといった感じを出しつつも、口角が上がりワクワクを隠しきれていない。
期待してると、ポンと本を手渡された。
訳が分からず、師匠をマジマジみます。
「はい、これ。15ページ目ね」
「はい?」
「俺の錬金術を見てたんならなんとかなるレベルだから、頑張れー。じゃ、俺は用事あるから」
本を押し付けて、さっさと家を出ていってしまった。
「ちょっ、え、ええぇぇえ!!」
ポツンと残された私は呆然とした。なんだろう、捨て猫の気持ちが分かった気がする。
バタンと閉められた家のドアを何時までも見てしまった。
てっきり手とり足とり1から10まで全部教えてくれると思ってたのに、本1冊渡されて終わった。
「……えぇ、どうすればいいのよ。コレ、そもそも何なのよ」
嘆いてばかりいられない、手渡された本を見てみる。
やけに薄いけど、とりあえず言われたページをめくる。
「レシピ……。具体的に何をどうすればいいのか何も分からない」
不安な気持ち、緊張。色々と足りないけれど、師匠が出来ると言ったからには出来る。そう信じてみることにする。
「素材は……この箱の中にありますね」
ペラペラとページをめくる。とりあえず目を通そうと思った。分からずとも、認識している事は大きいと常、師匠は言っていたからだ。
本をパラパラ捲っている時にヒラリと一枚の紙が床に落ちる。
拾いあげれば、それは『収納』のレシピであった。
「複雑……殆ど分からないわ」
自分には出来ない。そう理解できる。でも、何故か目を離せかった。