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「あのぉ、実はぁ、その」
恐る恐ると言った感じで立ち上がりながらモゴモゴしてます。
この人にはお世話になっているし、恩義も感じるが、それはそれ。いけないことはいけないと考えれることは大切だとも思っている。
少女は腰に手を当てて前かがみになる。
口調は怒っているし、仕草も怒っていると感じられる。
「はっきりいってください!」
「はいっ、統括会依頼があります☆」
バギッ、ドガッ、ドッゴーン。
「どーするんですか!いくら、師匠でもそれを蔑ろには出来ないことくらい知ってるでしょう!?いや、全ての依頼に大してですけど。で、期日は!?」
血の気が引いてくる。真っ青な顔で師匠を前後に振る。
魔法の世界で師匠が、偉大な存在な事なのは理解しています。
そして、全ての魔法使いが集う組織『魔法統括会』。
その統括会の依頼が迫っていて仕事が出来ないなんて、なんて恐ろしい。
「2ヶ月後です。すいません。って、俺が師匠だぞ!もっと、こう、俺を立てるとかさぁ」
「では、師匠を立てたら問題は解決できるんですね、師匠は凄い人ですもんね。10人しかいない創成術士のうちの1人ですもんね。では、行ってらっしゃい」
「待て、待て、待て!薄情者!」
諦めて統括会へ行ってコテンパンに怒られてしまえばいい。そう思って玄関を開けて師匠に手を振りました。
それはもう悲壮感漂う表情で泣き付かれ、足にしがみつかれてしまいました。
今すぐ振り払ってもいいのですが、大の大人のこんなにも情ない姿を見てしまっては、怒る気も失せるというもの。
「あーもうっ、じゃあ、すぐ行きましょうよ!手伝いますから!」
プンスカ怒りながら言えば、師匠もいそいそ動き出しました。
錬金術の事なんて何も教えてくれないから、何も分からないし、手助けもしてあげられないけど、それでも出来ることはあります。