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第二十五話:おおっぴらに動くことを暗躍とは呼ばない。

「誰だ!?」

 チサトが声のした方から私を庇うように腕を伸ばし、そちらを見る。

 ミユキさんが、やはり私を庇うようにそのすぐ横に出てくる。


 なんかどこぞの刑事ドラマみたいな感じだなぁ。

 その辺は流石にこういったことを長年仕事にしているだけはある…。

 私もそんな雰囲気に気圧されながらも、声のした方を見る。


 するとそこには、私と同じ年恰好の小柄な少女がしゃがんでこちらを見下ろしていた。

 なぜしゃがんでいるのに見下ろす形になるかといえば、彼女が床ではなく柵の上でそうしているからだ。

 つまり彼女は二階から落ちるか落ちないかの瀬戸際で絶妙なバランスを保っていることになる。


 服装は長袖の黒のシフォンブラウスに黒い長袖のタイトなズボン。そして靴は厚底のブーツ。

 髪型はいわゆるマッシュルームっぽい感じ。髪の色も黒。

 黒!?コクウちゃんよりも黒いけど?

 魔法少女界隈は白統一か黒統一で服装縛りでもしてるんか?

 と言うかこの時期に長袖長ズボンはちょっと暑苦しい感じがするけども。


 しかし何より私の目を引くのはメガネだ。

 実はここにきて初のメガネ属性である。

 感動した。


 と観察しているとニコに小脇を突かれた。

 真面目にやれと言うことらしい。

 確かにこれだけ人がいるからか、妙な安心感があるけれども、狙われているのは私なのだ。


「ニヒヒ。私は、黄泉の妃の情報収集なんかをやってる加賀美マコト。よろしく!」

 妙な笑い方で無邪気な笑顔を作りながら、言う。

 なんでもいいが、私と同い年くらいでそういう作りっぽいキャラは結構イタい…。

 と言う気もするが、小柄なせいか、それともファッションから何から世界観が統一されているせいか、最低限の体裁は保たれているのが不思議だ。

 一般的には、ああ言う作りっぽいキャラは、ミサキちゃんくらいの年齢が限界ギリギリな感じがするんだけどな。


「いたっ。」

 ここでまたニコから小突かれる。

 真面目だなぁニコは…。


「情報収集って…こんなにおおっぴらに出てきたら意味ないだろ。」

 クロハが思わずといった様子でつっこむ。

 いつもなら否定しているところだが、今回ばかりは私も賛成である。

 面がわれていない状態ならばある程度無茶もできるかもしれないが、今関係者に一斉に顔を知られてしまっては、今後の活動が危うくならないか?

「まぁそうかな。でも私は実際に対面して初めてわかることがあると思うのよね。」

「アホやな。」

「どうもー。まぁ今日は挨拶だけって思ってたし、この辺で帰るわ…。」

 サトミさんのドスの効いた呆れ声も、全く意に介さないようだ。


「ここまでして、無事で帰れると?」

 今度は後方で声が聞こえた。

 見るとシノブたちが顔を出している。

 音を聞きつけたのか、気配でわかったのか、流石にこれだけの騒ぎなら彼らが気づかないことはないか…。

 一応優秀だったらしいしな…。


「管原シノブね?まさかあなたが戻ってこれるとは思わなかったけど…。今は関係ないか。…どちらにせよ<飛脚の足>は目的地に向かう術であって、追跡には向かない。」

「よく知ってるな。」

「まぁね。一応情報収集担当させてもらってますんでね…。」

「幻獣の各種属の術は機密なはずなんだがな。」

「まぁまぁ。いやしかし、これで全員ね?十二人とは、また随分と大所帯だけど…顔を見れてよかったわ…。じゃ!よっと!」


 彼女はそこまで言うと、突如柵を蹴り、二階から地面へと飛び降りる。

「な!?」

 私は驚愕の声を上げるが、他の魔法少女慣れというか戦闘慣れというかしている面々は、それよりも先に彼女の行き先を追うべく目線を下の階に移す。


 のだが。

「どたどたウルセェ!」

 何やら聞き覚えのある声が下層階から聞こえる。

 そう、かのコラおじである。


「あ、す、すみません…?」

 チサトなどは、バッチリ目が合ってしまったようで、謝る。

 状況が把握できていないせいで

 サトミさんやアカネちゃんも同様…。

「またお前らか!」

「もう帰りますので…。」


 と、一触即発の雰囲気だったのだが…。

「昼間なんだから、それくらい勘弁しなさい!」

「だってよかぁちゃん!」

 わぁもう見たー。

 コラおじは、ここまで聞こえるような舌打ちをして部屋に戻っていったようだった。

 ドアの閉まるガチャンと言う音がして、あたりはまた静かになる…。


「に、逃げられた…?」

 チサトが非常に納得行かなそうに、そう呟いた。

〜次回予告〜

カナコ:「まぁた変なの出てきちゃったじゃん。魔法少女界隈っておかしい人しかいないの?」

ミサキ:「それは言い過ぎですけど、まぁ確かに変わっている人は多いかもしれないですね。」

カナコ:「いやでも、マコトとかいってたあの子はなんだかベクトルが違うよなぁ。」

ミサキ:「そうかもしれないですね。今では死霊術師は派遣機構とは全く別の行動理念で動いていますから。」

カナコ:「元々は同じ団体だったの?」

ミサキ:「そうですね。ただ、近現代の道徳観念と彼らの行いが噛み合わなかったために分裂したんです。」

カナコ:「ところで次回は今後の話。『第二十六話:それだったら元からそうすればよかったじゃんってなるじゃん!』をお送りします。」

ミサキ:「お楽しみに!」

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