第二十四話:運命は世界は私たちを待っている!
「まぁ、現状やと、うちらには伝えられとらんことが多過ぎて、詳しいことが言えへんねや。チサトも、普通に驚いとったしな。」
じゃあなんでチサトに説明させようとしたんだ…。
面倒くさがりな一面が、時折見え隠れしているような気がするのは気のせい?
「じゃあ、合流しますか?」
ミサキちゃんの提案で誰も特に反論せず、部屋を出ることになった。
ケセパサたちを見ると、すでに段ボールの中に収まって満足げなので、おいておくことにした。
「じゃあ、一旦行ってくるから、その箱の中にいてね。」
「パサ!」
うん。
出会った当初心配していたコミュニケーションエラーはなく、いや少なくとも実感できる形では現れておらず、むしろ大概の人間よりも聞き分けが良くてありがたいぐらいである。
いや人間と関わったことないからわからないけれど。多分。
そんなことを言って、これが全く別の意味で伝わっていたら面白いけどな。
それこそどこかの小説みたいな…?
いや、別に面白くはないが?全然正しく伝わっていてくれていいが?
連れ立って玄関までやってくると、アカネちゃんが「お邪魔しましたー!」と挨拶する。
「あぁ…。」
それでやっと私は、ここが自分の部屋であるのを思い出した。
なんだかんだ他の人たちがみんな馴染み過ぎているせいで、そのことをすっかり失念していた。
というかむしろ、なんであんなに他人の家で馴染んでるんだ?
主にアカネちゃん。
ニコはまぁこの先ここで暮らしていくことになってしまっている以上は、むしろ馴染んでいかないとしかたながないという話はあるが。
まぁ戦わなくてはいけない仕事ではあるし、環境に順応する能力が高いということなのだろうか?
おのおのが、最低限の挨拶をしてドアをくぐり、最後に私とニコが部屋を出る。
すると、こちらが声をかけるまでもなく、タイミングよくなのかタイミング悪くなのか、チサトとミユキさん、それにクロハがシノブ家から出てくるところだった。
「あぁ、チサト、話終わったん?」
「まぁ、姉さんは、説明できた?」
「え?」
「え?」
沈黙。
「そのためにそっちの部屋に行ったんじゃないの?」
わぁ、タメ口チサトは何度見ても新鮮だなぁ。
「はぁ、まぁそんなに難しい話じゃないというか、なるべくこちらで対処するので、角谷さんたちには事情を一応説明するだけにとどめたいんですが…。」
「はい。」
そして唐突に敬語に戻る。
そんなに口調グルグルして混乱しないだろうか?
それとも人間って案外それくらいの言葉の使い分けはしているもの?
「死者会の説明は?」
「死霊術師の集団だったっていう話は…。」
「あなたのことを狙っているのはその残党組織、名称は…。」
その時、私たちのすぐ横から、ギシっと言うような何かが軋む音がした。
「『黄泉の妃』と呼ばれているわ。そう、正解。」
そしてチサトが言うよりも先に、誰かが答えた。
女性の声、だがサトミさんでもミサキちゃんでもニコでもアカネちゃんでも、ましてやミユキさんでもない。
その聞きなれない声は、私たちのすぐ横、廊下に設置された柵の上から聞こえていた。
〜次回予告〜
カナコ:「きたよきたよ、一章に新キャラが複数人出てこないと気が済まないこの風潮ね。」
チサト:「角谷さんの発言は時々メタいですよね…。」
カナコ:「いいじゃん、次回予告なんだしさ!」
マコト:「ねーねーそれより私の話しようよ!衝撃の登場シーンだったでしょ!?」
カナコ:「新キャラは黙っとれ!」
マコト:「えー。」
チサト:「と言うか、誰なんですかあなたは…。」
マコト:「な、い、しょ!まぁ次回までのお楽しみってことで!」
カナコ:「いや、このタイミングで出てくるのは組織の、初め強キャラ感出てるのに後々話振り返ると、あんなのに手こずってた時期もあったのになぁって感じになる可哀想なキャラに決まってるでしょうが!」
マコト:「まだ何にも話してないのにそこまで言うの酷くない!?」
チサト:「あぁはいはい、と言うことで次回は『第二十五話:おおっぴらに動くことを暗躍とは呼ばない。』をお送りします。」
カナコ:「お楽しみに。」
マコト:「私の扱い酷くない!?」
幕




