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第十七話:何事もとにかく掃除から!

 近所迷惑を考えてのことか、それとも単純に話の流れか。

 しばらくすると向こうの部屋から声が聞こえてこなくなった。

 ツムギちゃんやクロハがいるおかげで話がヒートアップしなかったのかもしれない。

 ミユキさんもこういう時は流石になだめに回るだろうし…。


 というか、言い合いになるということは、チサトがキレているということか?

 なんだか意外である。公式見解が解釈不一致な時の悲しみに近い。


「おさまりましたね…。」

 ニコが、苦笑いをしつつ呟く。

 一応笑ってはいるけど、なんだかうんざりしているような?

 もしかしたら、喧嘩の時の感情はなんとなくうるさいとかトゲトゲしているとかあるんだろうか?


「さて…と?」

 サトミさんがリビング中央に堆く積まれた、灰の山を見つめ、首を傾げる。

「まずは掃除やな…。」

「あはは………はい。」

 結果として、他の人に掃除を手伝ってもらう結果となっている。

 初めはハクアの浄化魔法、次にサトミさん達…。


 と思い至ったところでハッとしてニコの方を見ると、今度は勝ち誇ったようなドヤ顔をしている。

 さっきはうんざり苦笑い、今度はドヤ顔。まるで百面相である。

 はっきりいって可愛い。


 まさか、明らかに余剰に勝っていたゴム手袋やゴミ袋が役に立つとは…。

 だが、ゴム手袋は人数分あっても、雑巾は2枚だし、そもそも箒も塵取りもない。

 まさか灰を掃除することになるとは思ってもみなかったので、これを外に掃き出すなり、ゴミ袋に詰めるなりする手段がない。

 そもそも、灰って何ゴミなんだ…?


「掃除機とか、箒とかないん?」

「そこにな…いや、ないです。」

「ん?」

 つい定型分で返しそうになるが、相手がサトミさんであることで思い直し、方向修正した。

 サトミさんに怪訝な顔をされたが。

「しかし、この灰の量…結構な穢れもといゴミの量ですよね?ケセランパサランが生活に困らないわけですよ…。」

 ミサキちゃん、そういうことはわかってもいっちゃダメだ。


 確かに、考えてみれば、浄化魔法の使用を知っている人がこの状況をみれば、この部屋が元々どんな状況か想像できてしまうのか…。

 せっかくひた隠していたのに、結局こうなるのか。

 悪いことはできないとは、よくいったものだ。


 いや、これに関しては悪いことなのか?

 ただ自分の不摂生が自分に祟っていただけ…でもないか。あの白黒の反応を見るに。

 と自分の中での言い訳にも失敗し、結局振り出しに戻る。


「箒とか塵取り、百均とかでも売ってますかね…。」

 と、財布に金がないことを思い出して絶望しながら、四人に尋ねてみる。

 最悪お金を下ろすのも辞さない構えだ。

 というかどちらにせよ、今の財布の中身だと、どこに行っても困りそうだし…。


「皿とか板状のものとかで、代わりになるんじゃないん?」

「ダンボールとかありませんか?」

 アカネちゃんとニコが提案する。

 代用…だと?

 あまりにも生活の知恵的な部分が欠落しすぎていて、そんなこと、思いつきもしなかった。

 そして、おそらく灰になっていなければダンボールは腐るほどあるはずだった。

〜次回予告〜

ニコ:「やっとあの部屋が綺麗になりますよぅ。うぅ。」

アカネ:「そんな涙するほどの惨状だったのん!?」

ニコ:「それはもう…ケセランパサラン達がいなかったら、私はきっとカナコとは出会えてなかったでしょう…。」

アカネ:「それも死ぬほど!?カナコちんって案外不摂生ものなんだねん。」

ニコ:「カナコは自分を大切にしなすぎなんです!」

アカネ:「それはいけないねん!」

ニコ:「これからは私が守ります!」

アカネ:「それは業務外だねん!」

ニコ:「でもやるんです!」

アカネ:「というわけで次回『第十八話:世の中に無駄なものなんかないんだよ!』をお送りするよん。」

ニコ:「お楽しみに!」

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