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第十一話:正しい道を選ぶこと自分の道を選ぶこと。

「だけど。」

 このままでも大団円なのかもしれないが。

 丸く収まりそうな場であったので、私の言葉に、みんなが、おそらくケセパサたちもが驚いたようだった。


「もしも不自由でも私の家にいたいのであれば、何か考えてみるよ。」

 ニコが眉を顰める。ミサキちゃんはニッと笑う。

 そしてケセパサたちは、先ほどよりも大きく跳ね始めた。

 その意思は明白。ニコに聞くまでもなく大賛成の様相である。


「はい、そのようです。でも、意外ですね。」

「そう?」

「いや、そうでもないのかな?あれ?」

 混乱しているニコを見て笑う。


「よいしょっ、と。」

 ミサキちゃんは立ち上がって、しゃがんでいる私に手を差し伸べてくれる。

 私はその手を取って立ち上がる。

「なんで、ケセランパサランたちをここで生活させる気になったんですか?」

「いや…私の都合でどうこうっていうのも違うかなって…。」


 そもそもは無自覚にしても、私に集まってきたエネルギーから生まれてしまったものだという。

 そう、確かに論理的には、ミサキちゃんに預けたほうが全員が幸せになれるのかもしれない。

 だが、それはやっぱり無責任な気もするし、何より彼らの感情を無視している気もした。


「しかし、自由な生活よりも角谷さんたちとの生活を選ぶなんて、よっぽど懐かれているんですね?」

「そうみたい。…というかなんか、ミサキちゃんもこっちの都合で呼んだのに、なんかごめんね?」

「いえいえ。呼んだのはシノブさんですし。それに、角谷さん、忘れているかもしれませんが、ケセランパサランたちとどう生活していくか考えなくてはいけませんよ?」

「うん…そうだよねぇ…そうだよね…。」

 そういって私は頭を抱える。


 かっこいいこと言ってみたはいいものの、私に本当にこの子達をなんとかすることができるのだろうか?

 責任感のある言葉は責任を結果的に取るから意味があるのであり、それができなかったら、ただのでまかせだ。


「まぁ、ここまできたら、私もお手伝いしますし。」

「ありがとう!」

「掃除の時は手伝ってもらうの嫌がってたのに…。」

 ニコからぼそっと痛いところ突かれた気がしたけれど、それはそれ、これはこれなのである。

「何が違うんですかもう。」

 どうやらニコは意外と根に持つタイプらしい。


 そんなところも可愛いぞ!

「もう!誤魔化されませんからね!」

「おーい。お二人ともー?」

 このやりとりも昨日ぶりである。

 今となっては全てが懐かしいってこのボケ何回やる羽目になるんだろうか?


「おい、幻獣を晒した状況で、何してんだ…。」

 そんな和やかな私たちに横槍をさすのは、当然猫耳クロハである。

 シノブの部屋からひょこっと顔だけを出して、こちらに声をかけ、そしてそれだけ言うとまた部屋に戻っていった。

 そういうとこやぞ。ハート。


 だが確かに、今の状況を見たら、それこそ普通の生活を送っている一般の以下略はなんと思うか?


 クロハの指摘が的確だったのは事実で、故に私たちはとりあえず元出てきたシノブたちの家へと戻るのであった。

 私が自身の部屋のドアを閉めている間、ケセパサたちは私を待っていた。


 そして今度は忘れずに、ケセパサたちがついてきていることを確認する。

 彼らが全員部屋に入ったことを確認した上で、一番後ろについていた私はドアを閉めた。

〜次回予告〜

カナコ:「なんか、結果的にすごい色んな人に迷惑かけてる気がするよ。」

ニコ:「そうですかね。でもカナコはこれまで、私たちが生きてきた世界について何も知らなかったんですから、しょうがないんじゃないでしょうか。」

カナコ:「そうか、これが社会で生きると言うことか…。」

ニコ:「あはは…まぁそうとも言えるかもですね。」

カナコ:「それよりも次回は?」

ニコ:「と、突然に新しいパターンですね?次回は『第十二話:それぞれの出会いと新しい始まり。』をお送りします。」

カナコ:「お楽しみに。」

ニコ:「あ、特に内容に関する言及とかないんですね…。」

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