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第八話:リアルドジっ子はアリカナシカ?

「カナコさん。生きててくれてよかったですよぅ。」

 息を切らしながら、ニコが私たちが立っている瓦礫の山のそばまでやってくる。

 先ほど変な疑念がよぎっただけに、心配されていたようで若干嬉しくもありつつ…。


 ニコは私たちがいるところまで登ってこようとする。

「あっ痛っ。」

 登ってこようとする…。

「ちょ、ま、ま、崩れ…。」

 登ってこようと…。

「うわぁぁぁぁぁ。」

 ドンガラガッシャーン。


 その様子は蜘蛛の糸を切られたカンダタ、崖から突き落とされた獅子の子であった。

 だが、それらとの決定的な違いがある。

 それは、この場合、ニコを落とそうとしているものは何もないということ。

 つまりこれは完全なる自爆だ。


「あぃったぁ…。」

 まずまずの高さから落下し尻餅をついたニコは、正直、運動能力メーターがマイナス方面に振り切れた私ですら見るに耐えないものがあった。

 その運動神経の絶望的さ加減は、案外、水生のカメが陸上で進もうとする時のスピードと同等の速度しか出せない私ともいい勝負かもしれない。


 とはいえ、なんとなく気恥ずかしそうに頭をかく姿はやっぱり可愛いが?


 何か?


 ほらよく言うでしょう。ダメな子ほど可愛いって。ってやつである。

 やっぱりうちの子が一番です。


 ダメダメなニコの様子を見て、ミサキは何かを察したように苦笑いをした。


「なるほど、そういうことでしたか。」

 一体なんの身もないこの一連の状況から何を「なるほど」したと言うのだろうか。


 このミサキという少女、先ほどから全てのことに説明が足りなすぎる。

 一見して知的な印象の横顔だが、それでいて意外にあほの子だったりするのか?


 そのビジュアル、喋り方でさらにギャップ萌えまで装備しようというのか?

 どこまで非リア充の塊のような私を引き離すんだこの娘はっ。


 まぁそもそもこのタイプはニコちゃんとは別のベクトルで私とは別次元なので、戦っている土俵が最初から違うだけなような気もするが…。


 というわけで、何をなるほどしたのか聞こうと思ったわけですが。

 だが、私に初対面の相手に対して会話を巻き起こすだけのタクティクスは当然なく。


「ええっと…?」

 といって、苦笑いするのが限界である。

 そんな私のコミュ障全開の聞き返しにミサキが何かを言いかけた時。


 ズズドドドーン。


 またも瓦礫が炸裂する音がした。

 ニコがまたやらかしたかと、彼女の方を見る。

 だが、彼女もまた呆然として、彼女が先ほど走ってきた方向を見つめている。


「どうやら、任務完了のようですね。」

 ミサキがボソッと呟いた。

〜次回予告〜

カナコ:「ニコちゃん…。」

ニコ:「な、なんですか?なんなんですか!?」

カナコ:「これまで培ってきたオタクの勘でなんとなくわかってたけど、ニコちゃんって…。」

ニコ:「なんなんですか!もう!言わなくともわかってるんですから!」

カナコ:「まぁ言わないんですけど。」

ニコ:「なんなんですか、もおぉ…。」

カナコ:「次回はとうとうネコミミのあん畜生の登場ですね!」

ニコ:「相変わらず、かわいそうな言われようだ…。」

カナコ:「というか、あの猫耳もミサキも知り合いなんですね?」

ニコ:「知り合い…そうですね…。」

カナコ:「なんか含みがある…。とはいえ次回は、『第九話:耳は猫でも何を言っているかわからない。』をお送りいたします。」

ニコ:「お楽しみに!」

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