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第七話:弟子は師匠に似るのか元気に育っていけるのか?

 あれ?

 そういえば?

 どこに行ったかケセランパサラン?


 そもそもいつから姿を見ていないのか?

 それすらも思い出せない。


 確か、浄化魔法で吹き飛ばされないようにガードしたんだけど、それから?

 ミサキちゃんの名前が思わぬところから出てきて、驚いて。

 パソコンが灰になってるかもって話で、驚いて。

 灰になってなくて安心して、おそらくその辺で忘れてしまっていた。

 彼らの存在を…。


 私はなんてことを?

 いや、彼らが今どうなっているのかわからない。

 ミサキちゃんが普通に入ってきたことを考えると、おそらく廊下にはいないのだろう。

 であれば私の部屋か?あるいは飛ばされて?


 とりあえず、確認しよう。

「そういえば…?」

 ニコもどうやら話の流れの中で、すっかりケセパサたちの存在が脳から閉め出されてしまっていたようだ。

 他の四人に顔を向けても、やはり首を横に振ったりして、「そういえばどこ行ったんだろう?」の意を表明するだけだった。

 なんだその意は。


「とにかく、部屋を確認しましょう!」

 ニコがそう言って部屋を出ようとするのに、私もついていく。

 そこにさらにミサキちゃんがついてくる。


 ニコはしっかりと、私はまた踵を踏んで靴を履き、部屋の前に立つ。

 私はせっかくだが先程閉めたばかりのドアの鍵を開け、恐る恐るその扉を開く。

 扉開けば、その風に煽られてか、ケセランパサランたちが、フワリと出てくる。


「あっ。」

 っと、風に乗ってそのままどこかに行ってしまいそうな彼らの行き場を塞ぐと、ケセパサたちがふわりとこちらにぶつかって、そのまま地面にゆっくりと落下していった。

 一番遠くまで飛んで行ったケセパサもニコの足に衝突して、そのまま地面に着地した。


 いや軽すぎんだろ。

 ドアを開けただけで吹き飛ぶとは…ケセパサは思ったよよりもはるかに軽いということが今判明した。


「はぁよかったです。」

「いちにーさんよん…なな引全部いるな…よかったよ…。私がどうにかしちゃったかと…。」

 と、とりあえず数え終えてしゃがみ込み、「ごめんね。」と挨拶をする。

 しかし、当のケセパサたちはただ飛び跳ねて、部屋から出て私たちと再開できたことが嬉しいだけのようだ。

 もしや彼らは、私がパソコンを探しに戻った時についてきて、そのまま部屋に閉じ込められたのか?

 そして私たちがいる…いやおそらく私がいるところまで行こうとドアの前に?


 健気か?

 だが、ドアの風で吹き飛ぶほどの距離にいたということは、その可能性は大いにある。

 なんだか、動物ものの感動映画を見ているかのような心の温かさがある…。

 いや、勘違いかもしれないけども。


「パサ?パサ?」

「パサ!」

「パサパサ!」

 何やら嬉しそうなケセパサたち。

 ニコも安心したようで、私と一緒にしゃがみこむ。だが、そんなニコに対しては、相変わらず若干の警戒を見せる…。


「ずいぶん懐いてますねぇ。」

「うん…なぜか?」

 そう答えつつ、ショックそうな顔を浮かべているニコを置いて、私は立ち上がる。

「理由がわからないんですか?」

「いつの間にか…?」

「そうなんですか…すごいですね…。」


 ミサキちゃんはうーむと相変わらずわざとらしい仕草で細い綺麗な指を顎あたりにあて、何かを考えているようだ。

 あまりにも仕草がわざとらしいので、あるいはむしろ何も考えていないような気もするが…。

 そこで、とりあえず何か話しかけてみることにした。


「あの猫耳の…クロハって子、置いてきてよかったの?」

「あはは。まぁ先輩たちとはクロハも長い付き合いですし、大丈夫ですよ!」

「というか、シノブとミサキちゃんって、どんな関係なの?」

 クロハの話はジャブであり、もちろんこれが本題である。

 再会早々抱きついているし、だいぶ深い中なのは間違いない。

 一方で、サトミさんと違ってあまり因縁的なものは感じない。


「いやぁ、先輩は学校で私たちに目をかけてくれたんですよ。」

「学校の先輩?」

「まぁ、私の入学時にはもう卒業して派遣機構の仕事をしてましたから、OBOG的な?師匠と弟子のようでもあり…先輩たちが守護者職を降りる時に後任にしまいしてくれたんですよ?」

「なるほど…?」


 そもそもやはり、魔法少女の学校の概念がよくわからない。

 おそらくニコとミサキちゃんペアも、サトミさんとシノブたちもそこで出会ったのではないかと思うのだが…。

 だがそれはいつでもニコに聞けること。

 今ミサキちゃんに聞くべきは別のこと…。


「というか、シノブたちって、何かの事件を起こしたって。サトミさんはすごい怒ってたけど?ミサキちゃんは?」

 これは聞きにくい質問だが、コミュ障の私の口からこれだけ聞きにくい質問がすらっと出てくるのだ。

 よっぽど私の中で気になっていることだったのだろう…。


 だって全てがおかしい。

 内容こそ私は知らないが、あれだけチサトもサトミさんも話すのを躊躇ったり怒ったり…おそらくよっぽどのことをやったに違いない…。

 そして除名処分。

 だがそれを今度はあっさりと撤回した?

 いや実際には手続き的にはあっさりとではなかったのかもしれないが…?


 だがシノブにはツムギちゃんという監視がついただけ。

 見た様子だとこれは相当自由が約束されている状態に見える。

 目的は私の護衛、これもよくわからないが、それは一旦さておくとしても。

 何やらあまりにもできすぎた話のような?

 まるで主人公補正である。


 まぁ実際に無害で哀れな将来は尻に敷かれる系男子にしか見えないのも事実だが…。


「先輩は、そんなことしませんよ!私は信じてますから…。」

 と、そういったミサキちゃんの表情は、昨日のファミレスで見たあの表情に勝るとも劣らない真剣そのものな顔だった。

〜次回予告〜

カナコ:「ケセパサたちが無事で本当に良かったよ…旅に出てしまったのかと思ったよ、本当に。」

クロハ:「注意散漫すぎるだろ。」

カナコ:「うっせぇコンニャロー!シノブのことはさん付けのくせに!」

クロハ:「先輩に対する敬意は当然だろ…。」

カナコ:「私も人生の先輩ですが?」

クロハ:「いや、あんたは…だって、引きこもりでコミュ障でオタクで?」

カナコ:「前二つはともかく、オタクを蔑称のように使うと、私の背後にいるネット民が黙ってないぜ?」

クロハ:「相変わらずのテンションとキャラブレととっつきづらさだな…?」

カナコ:「なんだとコンニャロー!シノブのことはさん付けのくせに!?」

クロハ:「それしか罵倒のバリエーションないんか?」

カナコ:「というわけで次回は『第八話:彼女が颯爽と駆けつける理由!』をお送りします。」

クロハ:「お楽しみに〜。」

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