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第五話:人間と魔法少女とカミと…。

「土地のカミの穢れはその土地の人間には影響を及ぼさない?」

「あぁ…いや、必ずしも及ぼさないわけではないけどある程度軽減はあるという感じかな。えぇ…逆に強烈に影響を受ける土地は、穢れが強すぎるということ。その場合は派遣機構が浄化を行ったりもするな。」

 むしろそんなになるまで浄化は行わないのか…。

 だからこの土地もこのまま放置されてきたのだろうか?


「さっきみたいに浄化、とかできないんですか?」

 あぁ、地雷踏んでるというかなんというか、「話が長くなるスイッチ」を連打してるみたいな気分だ。

 多分、さっきはあれだけなんの躊躇いもなく呪文ブッパだったのに、今回はそうしないということは、それなりの理由があるのだろう。

 そしてそれを説明するために更なる未知の概念が登場する。

 堂々巡りのイタチごっこである。

 とはいえ、それでも。


 とにかくやるっきゃない!

 よっしゃ!


 これは、これからこの世界で生きていくために必要なことなのだ。

 この新しく開かれた世界で…。


 とはいえ、この質問の答えはなんとなく予想がついていた。

 先ほどまでの説明でいくと、穢れにも格の違い、質の違いなのか種類の違いなのか、そんなようなものがあるのだろう。

 人間や幻獣の穢れや汚れは魔法で落とせても、神の穢れはそうはいかないということなのだろう…。


「人間と幻獣の穢れは魔法で落とせますが、神の穢れはそうはいかないのですよ。」

 ツムギちゃんも心が読めるんじゃないかと思うくらい私の思考と被ってるな説明が。

「というか、なんで派遣機構で浄化しないんですか?」

「えぇ…それは、土地のエネルギーの循環として、穢れが溜まっている場所が必要だからだな。」

「それはどういう…?」

「うぅん…低気圧と高気圧ってあるだろ?で、風は高い方から低い方に流れる。みたいな。それで流れができるわけ。

 結果、時には停滞したりもするけど、循環するのは、そういう穢れが溜まった部分と、ほとんどない部分があるから。正確には陰の気の集まる場所と、陽の気の集まってる場所があるからって感じかな。」

「穢れが溜まった場所も必要?」

「そういうこと。ある程度は土地のカミや精霊がその土地に住む人や縁のある人を穢れや災厄から守るから、問題はない…。」


 じゃあ、なんでサトミさんは私たちがここに住んでいるのを問題視していたのだろう?

 やはり、まぁ、住んでいる場所としてあまり良くないというのはあるのかもしれないが。

 それ以上に?だとすればやはり、私たちが特殊だから?

 穢れが溜まっている場所では、闇属性の敵が強くなり、光属性の味方が弱くなる的な感じなんだろうか…?


 シノブたちが影響を受けているのは、引っ越してきた手だから。

 ニコがいうには結構ヤバ目な穢れらしいし、シノブさんもあんまりいい顔はしていなかったが?

 やはり神とは、それほど強力なものなのか?


 というか納得しちゃってるけど神ってなんだよ!

 そう易々と神とかいうなよ!よくわからんけど誰かに怒られろ!

 もはやここまでくると、厨二病とかそういう話ですらなくなってきている。


 いやでも、神職さんが関わってるんだからいいのか?

 いや、明音稲荷がたまたまそうという可能性もあるぞ?


 と、いろいろ思い悩んでいる時だった。


 ピンポーン!

 と、気の抜けた音がした。

 宅配に頼って生活を送っている私にはわかる。

 それはこのアパートのチャイムの音だった。

〜次回予告〜

カナコ:「というか、神って結局なんなんですか?」

シノブ:「えぇ…幻獣よりもさらに抽象的なエネルギーの塊のようなもので、形がありません。」

カナコ:「精霊ってなんですか?」

シノブ:「あぁ…神と同じく抽象的なエネルギー体ですが、具体的な姿をとることも可能です。」

カナコ:「それって幻獣とどう違うんですか?」

シノブ:「格の違いです。そもそも動植物、人間、幻獣はほとんど格が変わらない具体的な存在、そこから格が上がるごとに抽象的になり、形や概念が曖昧になります。」

カナコ:「そういうの本文で説明してもらっていいですか?」

シノブ:「じゃあなんでここで聞いたんですか?」

カナコ:「というか幻獣の中でも格があるんですよね?ケセパサたちは、ニコや白黒とかツムギちゃんとは違うんでしょ?」

シノブ:「えぇ…そうですね。」

カナコ:「あれ?そういえばケセパサたちは?」

シノブ:「俺に聞かれても?」

カナコ:「ということで次回は『第六話:他人の運命を私に委ねるな!』をお送りします。」

シノブ:「お楽しみに?」

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