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第一話:綺麗になったって言っても限度があるよね?

「ミサキちゃんですか?あぁ…シブヤ町の?」

 考えてみればこの場合、どのミサキちゃんかわからないわけで、いくら元守護者とその後任とはいえ、シノブが挙げた名前が、あのミサキちゃんかはわからないのだが。

「あぁ、守護者のね。あれ?でも知り合いなんだ?」

「えぇ…まぁ色々…。」


 …。


 だめだ。会話に向いていなさすぎる。

 私たち二人ではらちが開かなすぎる。

 四人のうち誰かに助け舟を出してほしいところだが、白黒の喧嘩が治らないので、ツムギとニコはまだそちらに意識がいっているようだ。


「あなたが魔力を消費するせいで、こっちまでいざという時の出力が落ちるのよ。」

「でも今回は必要だっただろ!ここで暮らすんだぜ?あんな臭いじゃ半日で発狂するわ!」

「それはそれ、これはこれよ。」

 なんかひどい言われようである。


「ま、まぁまぁ。」

「二人とも、落ち着くのですよ!」

「「あ?」」

「「っ?」」

 なだめようとするも、白黒の一括で、二人とも竦み上がってしまう。

 何を見せられてるんだ何を。


 どうやら一度火のついた白黒はニコとツムギちゃんでは止められないようだ。

 まぁ確かにユニコーンは平和主義で草食系っぽいイメージだし、ネズミといえばよくキツネに食べられているイメージだから、勝てないのも無理はない気がしてくるけども。

 そこに、ため息をつきつつ、シノブが割ってはいる。

「まぁその辺で。また怒鳴られるぞー。」

「「シノブは黙ってろ!」」

 白黒が相変わらずのハモリをみせ、その上でハクアがシノブの横腹を蹴り飛ばす。

「うっ?」

 毎回白黒の喧嘩に入り込むたびに<管原シノブは特別な訓練を受けております。良いこは真似しないようにしましょう。>ってテロップが流れそうなワンシーン。


 哀れなような、それともこれが両手に花の代償なのか。

 現状も一応「魔法少女」というだけあって流石の女子率である。

 シノブ視点で見ると、なんだこのハーレムって感じだろうか。

 むしろずっとこの比率だし、あの扱いだしで、うんざりしている可能性の方が高そうだが。


「というか、浄化の魔法って、具体的に何が起こるの?んですか?」

 ニコに話しかけているつもりでいたが、考えてみれば他に現在四名も質問に答えてくれる可能性のある人物がいるのだ。

 途中から方向変換したせいでおかしな質問文になってしまった。


「異臭も汚れも広い意味では『穢れ』ではあるのよね。それを浄化したのよ。」

 シノブを蹴っ飛ばして一息ついたのだろう。冷静になったハクアが答えてくれた。

「ま、あの威力だと、家具から何から全部灰になってるかもしれないけどね。」

 え?

 コクウがさりげなく付け足した一言が、私の心の臓を凍らせた。


「なんですと!?」

「あ、いや…。」

 コクウが何か言いかけたのを無視して私は部屋の中に踵を踏んで履いていた靴を吹っ飛ばして転がり込んだ。


 家具から何から?

 ニコが先ほど言っていた通り、私の部屋は漫画本やアニメDVDやフィギュアこそないが、命より大事なパソコンちゃんが私の部屋にはあるのだ。


 はたしてそこには、ゴミ袋が床中に広がっていない以外は、特に変わりのない部屋があった。


 むしろ数段明るくなったような気がするくらいだった。

 それは単純に、いつも開けていないカーテンを開けているせいもある気がするが。


 そしてニコの部屋の入り口の横にある勉強机も、その上に無骨に置かれたパソコンちゃんも無事のようだった。

 マイディアパソコンちゃん!

 もう二度と離さない!


「流石に冗談なんだけど…。」

「あんたの冗談は分かりにくいのよ!」

 背後からそんな声が聞こえてきた。

 冗談かよ!

 冗談じゃないとはまさにこのことである。


 アナログなものが部屋にないということは、私の生活はそのほとんどがデジタルに依存しているということである。

 つまりスマホとパソコンは私の半身。

 特に普段から家にいる私にとってはスマホよりも、パソコンの方が比重が重いのだった。


 とはいえ、冗談だったのだからいいとしよう。

 私は綺麗で臭くない自分の部屋を見回す。

 すると、何か違和感があることに気づいた…。

〜次回予告〜

カナコ:「私のパソコンぢゃーん!」

コクウ:「ごめんなさいね?そんなに本気にするなんて思わなかったのよ。」

カナコ:「このやろう、クールぶりやがって!」

コクウ:「なっ!?…結構グイグイくるわね?」

カナコ:「慣れてきたからね!にしても、私の出会う人みんな冗談下手なんだけど。いっぺん笑いの本場に行って怒られてこい。」

コクウ:「あなた、その間に狙われたら助ける人誰もいないわよ?」

カナコ:「わかってますよ!」

コクウ:「なぜ敬語…。まぁ多分私の方が年上だけど?」

カナコ:「え!?」

コクウ:「私24だから。」

カナコ:「え!?16、7にしか見えねぇ。なんだその微妙な年齢詐称…。」

コクウ:「というよりも次回は、部屋の異変はなんだったのか、そしてあなたと私たちがどう関わっていくかの話…。」

カナコ:「それはもはや次回予告というより、次回のあらすじでは?」

コクウ:「次回は第三章『第二話:昨日の明日の明日は明日。』をお送りするわ。」

カナコ:「お楽しみに。」

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