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第七話:魔法と少女と契約者。

 その人物は、ニコのようないわゆる整った顔立ちではないものの、愛嬌のある表情。

 茶色いショートの髪はしっかり整えられている。


 そして何よりそのスタイルの良さ。下ろされたままの姿勢でへたり込んでいる私の目の前にある膝上のスカートからすらっと伸びた足は健康的な肉付き。


 どうやら制服姿らしいが、高校生くらいか?なんとなく見覚えがあるような、どこにでもあるような制服である。

 大学生の私と変わらないくらいのしっかりとした印象だが、よく見ると確かにまだ未完成な印象も受けなくはない。


 どっちにしてもそのスカート丈はけしからんですな。私なんて万年校則準拠でしたが。なんならジャージでしたが?

 しかし足もだけれど、なんといっても、何がとは言わないが、下品でない程度の完璧な大きさだ。これぞまさに健全な肉体って感じがする。縫い目の見えるカーディガンが絶妙なラインを絶妙に絶妙している。

 プロポーションを擬音語で表すなら「ストーーーン」な私には羨ましい限りだ。


 きっとクラスで一番じゃないけど、二、三番目に人気の女子に違いない。

 メインヒロインの一番の友達で、初めは主人公と両思いなのに最終的にメインヒロインに主人公取られるタイプだ。


 と、卑屈の極みの私は一瞬でそこまで考察した。

 オタクとしての審美眼は我ながら確かである。

 毎度ながら、その確かさを確認できないのが残念でならない。


 そんな彼女に話しかけられる。


「先ほどのユニコーンの娘の契約者さんとお見受けしますが?」

「?」

「違うのですか?」

「?」


 おっとそういうことか。

 いや、わかってたけど?いや、分かってなかったけども?どっちだよ。

 つまり、あれだ。おそらくこの世界の魔法少女には、人間の相方が必要というパターンだな?


 あまりにもありそうな設定なので、この少ないやり取りで、すぐに察することはできる。

 さすがオタク。状況理解が異常に早い。

 さすが私。まるで流れる石のようだね。


 ただ、ニコの契約者さんが私かどうかは一考の余地がある。

 確かにニコは私を探していたようだが、それが何のためかは知らない。

 何より、その辺のことを聞くより前に、ドラゴンに襲われてしまった。


 わたしにわかることは、私の「心身の健康を守るために」とニコが言っていたことだけだが。

 当然それだけでは何もわからない。


 「契約=守ること」なのか、それとは別になにか魔法少女としてやるべきことの中に、私を守ることが含まれていたのか。


「ううむ、何もわかっていない顔ですなぁ。でも、関係者以外結界内には入れないはず…。」

 ちょっと厨二病っぽいと言うか、作りっぽい喋り方だ。正直こう言うキャラは好きだ。正統派メインヒロインと違って儚い感じがするからさ。伝われ。


 そこへ、ちょうどいいところにニコが安心した顔で駆け寄ってくる。

 どうやら無事らしくちょっとホッとする。おそらく向こうも同じような気持ちなの…だろうか?

 考えてみれば、そもそも私たちの関係性がわからないので、よく分からない。


 そうだったらいいのにな。

 …そうだったらいいのにな?


「まぁ、いいでしょういいでしょうそんな細かいことは。私は花崎ミサキと言います。この辺の守護者やってます。よろしくです。」

 ニカッと笑った彼女の様子には、憎めない可愛げがあった。


 …こうして、なんやかんやあってまた一つわからない固有名詞が増えたのだった。


 さらっと自己紹介までして、まだその辺にへたりこんでいた私に手を差し出す。

 その立ち居振る舞いはまさしくコミュ力の塊のようだ。


 ちょっち厨二病っぽいところが、またなんとも評価が高い。

 控えめにいって可愛い。おそらくアニメの登場キャラとかなら好きなタイプのヒロインだなぁ。


 ちなみに闇とコミュ障の具現化のような私がそんな輝くコミュ力に勝てるわけもなく、差し出された手をなんとなくの会釈で回避し、自力で立ち上がる。

 そんな私の態度に笑顔を崩さない、ミサキと名乗ったこの少女のメンタルはどうなっているのだろうか…?

〜次回予告〜

ミサキ:「いや、口に出されてないだけで、心中で褒めちぎられてるんですけど私!照れますよ!照れちゃいますよ!?でもだめだ、私普通に男の人が好きなので!」

ニコ:「…多分カナコさんの心中での『好き』はいわゆる『LOVE』じゃなくて『LIKE』の方だと…。」

ミサキ:「やだなぁ、わかってますよ!」

ニコ:「なんでそんな愛に飢えてるんですか。」

ミサキ:「女の子は誰だってラブ・ファイターなんですよ!」

ニコ:「理由になってません…。」

ミサキ:「それよりニコちゃん、接触した一般の人に何にも説明しないのダメじゃないですか?」

ニコ:「い、いや、説明する前にこの騒ぎが起きちゃったんですよう。」

ミサキ:「そりゃそーですが。今後気を付けてくださいね。守護者の私の仕事が増えちゃうんで。」

ニコ:「はい。」

ミサキ:「というわけで次回は、『第八話:リアルドジっ子はアリカナシカ?』です。無難なキャラの掘り下げ回ですね。誰のかはタイトルからお察しです。」

ニコ:「次回もお楽しみに!」

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