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第三十六話:新キャラが隣に越してくるってあるあるだよね!

 他の七人も、それぞれなんともいえない表情で突っ立っている。

 何せだいの大人になって他人に叱られるなんて思わないから当然である。


「…とりあえず、部屋に入ってもいいか?」

 シノブが尋ねる。

 彼の意見は現状真っ当だった。

 部屋の目の前よりは部屋の方がまだ迷惑になりにくいだろう。

 それに、考えてみればこんな大所帯でアパートの目の前に陣取っていること自体邪魔以外のないものでもない。


 シノブは、大家さんから渡されたらしい鍵をポケットから取り出し、階段を登ろうとする。


「どこの部屋なんですか?」

 ここでやっと、ニコがシノブに声をかける。

「二階の角だったよな?」

「そうね。」

 答えたのは白と黒。ツムギちゃんも頷いている。

 それってさ!

 私たちの部屋の隣ぢゃん!


 それではみなさんご一緒に?

 そんなこったろうと思った!


 新キャラが隣に越してくるなんてのは、不自然によくある設定だからな。

 まぁまさか現実に起ころうとは?それも我が身に?

 流石にそれはヴァーチャルに脳内侵食された私でも想像しなかったが。

 だが、これまでの流れ的になんとなくそうなると思った!

 そうなると思ったんだ!

 だからなんだよ!?


「荒れてますね…。」

 わけわかんないからね!


 という私の心情を無視して話は進む。

「先ほどできなかった説明を、カナコさんにしなくてはいけないのですよ。」

 ツムギちゃんが至極真っ当なことを言っている。

「えぇ…。」

 ハクアはめんどくさそうだが。


「えぇってなんなのですよ!?元はと言えばあなた方が…。」

「いや、わかったわかった。さっきは悪かったよ。」

 ヒートアップしそうだったのをシノブが仲裁する。

 確かにこのままでは先ほどの二の舞である。

 今度こそ拳で物理されそうだ。


 いや、反抗しようとしたら、こちとら魔法少女五人も抱とんので負けないとは思いつつも。

 それもそれでなんらかの問題がありそうである。


 何より、穏便に済むのが一番である。

 これまで顔も存在すら知らなかったけど、一応ご近所さんなわけで。

 それは、今後このアパートで生活するとなればシノブたちにとってもそうなわけで。


「…はぁ…ウチはとりあえずチサトに報告してくるわ。」

「え?」

 私の口から、思わず疑問符が漏れる。

 それもそのはずだ。この流れでいきなりサトミさんがいなくなることは想像していなかった。

「そうだねん。とりあえず六人もまとまってれば、カナコっちたちは安全だろうし…。」

 アカネちゃんまでそんなことを言い始める。


 いや、まぁもはや誰がいて誰がいないとかどうでもいいような気もしてきたが。

 何せこちらは今八人。

 どこで何をするにも多すぎる人数ではある。

 サトミさんたちはその辺の空気を読んだということか?

 あるいはなんだかんだ言ってシノブたちを信用しているのだろうか?


「あぁ…そろそろチサトの方に連絡も言ってるだろ。えぇ…それにあのネクロマンサーのこともそろそろわかるか…?」

「そうだねん。」

 アカネちゃんが答える。

 すげー。なんか内容がプロの事務連絡みたいだ。

 なんのプロだなんの。


「はぁ。まぁウチらとしても、うえの決定で派遣されたもんを追い返すわけにもいかんし。でも、そうやとしたら余計に、カナコちゃんとニコちゃんに何かあったら許さへんからな!」

「わかってるよ。」

 そういうとサトミさんとアカネちゃんはそくさくと神社の方へと帰っていってしまった。

〜次回予告〜

カナコ:「というわけで、これからお隣さんになりましたとさ。」

シノブ:「いや…正直俺としてはやりすぎな気はするんだけど…。」

カナコ:「監視もされてるらしいし、そもそも契約者で異性二人と一緒とか、見方によってはプライベートも何もあったもんじゃないですね!済む場所も指定ですし!」

シノブ:「なんか楽しそうだね?」

カナコ:「いえ!全然!」

シノブ:「えぇ…。」

カナコ:「ところで今章も佳境に入ってまいりましたね。」

シノブ:「佳境?本当に?」

カナコ:「というかなんならもうあとはまとめです。」

シノブ:「え?ここから何がどうまとまるの?」

カナコ:「というわけで次回は、第三十七話:『新しいご近所事情とケセランパサランの行方。(前編)』をお送りします。」

シノブ:「お楽しみに…ってケセランパサラン?」

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