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第五十五話:神隠しからの帰還。

「それじゃ、そろそろお暇しましょうか…。」

 場の空気も一段落したところで、望月さんが次の方向性を示すようにいう。


 まぁ確かに、ずっとここにいてもしかたないもんな…。

 というかさっきまで目まぐるしく変わっていく状況に追いつくのに必死で、特に違和感を覚えなかったけど、ここは時間がよくわからないな?


 大学を出た時にはすでにいい感じに夕方だったような気がするんだけど、この場所には昼間のように明るい光が差している。


 これは、アサ女の旧校舎のように「そういう空間」なのか?

 あるいはこの場所が、まだ日が暮れないような場所にあるのか…。

 ってでもそれは流石に、同じ国内だとしたら無理だよな…。


 アサ女旧校舎も結界関係の場所だったし、連れて来られる時の話ではこの場所もそうってことは、前者に近い気はする。

 今はもうそれを気軽に誰かに尋ねられる状況でもないけど…。


 それに私も、そうやって話をまた新しく始めて、この場にいるのを引き延ばすよりは、私もそろそろ家に帰りたかった。

 色々あったけど目的の杖を手にいれるっていうのは終わったわけだし。


 それに、普通に大学にも行った上でここまで来ているので、流石にちょっと疲れた。

 ヨナの前でそんなこと言ったらまた貧弱とか軟弱とか言われそうで悔しいから、口に出しては意地でも言わないけど…。


 でもほんと、人並み以下しか体力がないのはわかりきってはいたことだけど、改めてこの状況になると、ちょっとは体力つけないとだなぁ。

 まぁそれも、口に出すと今度はハクアにそれみたことかって言われそうで悔しいから言わないけど。


 …まぁこれに関しては、どれだけコソコソやったとしてもずっと私たちを監視もとい護衛しているハクアには筒抜けだから、実行に移したら口に出さなくてもいつかは言われるんだけどね。


「うむ、事情が特殊とはいえ、本来は魔法を使うことさえできないただの人間が、魔法を使い<武装化>にあと一歩のところまで辿り着いた…。

 疲労もあるだろう。ゆっくり休むことだ。」


 疲労しているのは、主にあなたの無茶振り課題のせいなんですけどね?

 というはそれこそ口が裂けてもいえないけれど。


「私はもうちょっとここに残るわ。今戻ると、学校に残ってるやつに見つかりそうだし…。」

「お前も帰れ!」

 コボクノセイの横なぎの尻尾で叩きつける攻撃は、相変わらずヨナにひらりとかわされた。


 攻撃をかわしたヨナは、そのまま地面を蹴って近くにあった木の枝に飛び乗った。

 …そういえばさっきも、その辺から落ちてきた…というか式神にけりを喰らわせてた…ような気がする。

 もしかしたら、その場所が彼女のお気に入りの場所なのかもしれない。


 なんか猫みたいだなぁ。

 鵺だけど。


「あはは…まぁ、忙しいのもわかるし、人間と契約しない鵺族のヨナちゃんが暇なのはわかるけど、あんまり『学校』の人たちを困らせないようにね…。」

「ふんっ。」

 望月さんの声に、ヨナは腹立たしそうに鼻を鳴らしただけだった。


 人間と契約しない?

 確かに、考えてみると、ニコと同じくらいの歳ってことは普通は契約している人間がいるはずだよな?

 置いて来られたのかと思ってたけど、そもそもそんな人はいなかったということか…。


 これまでもマホタツのホウちゃんとか、それこそツムギちゃんとか、契約をそもそもしないっていう魔法少女ともそれなりに出会ってきているので、違和感はないけど…。

 なんというか、仕事の時間以外は気ままに生活しようってことでこうしているのかと思っていたけど、案外ただ…。


「何よ。」

「え?いや…。しっかり第三シーズンも見るね。」

「んな!?うるさい!」

 パワーはともかく、少なくとも精神的には、彼女も一端の「少女」であることがわかって、ちょっと安心したというか、見守りたい気持ちになったというか…。


 というのをうまく話を逸らして誤魔化す。

 ヨナはヨナで、その逸らした話に見事食いついて自爆してくれる。


「それじゃ、行こうか。」

 望月さんの言葉で私たちは、改めてコボクノセイとヨナに別れを告げ、元来た森の中へ足を踏み入れた…。


「コツは、振り返らずにまっすぐ歩くことだ。」

 コボクノセイがそう言って尻尾を振って私たちを見送る。


 ヨナもこちらをみていたが、私と目が合うと勢いよく目を逸す。

 その勢いのせいで木の枝から落ちそうになっていたのは、まぁみなかったことにしてあげようかな…。

〜次回予告〜

カナコ:「こうして今日のメインイベントも終わりだけど、この章は全章の中で最長記録を達成したね。」

ニコ:「それはいいんでしょうか悪いんでしょうか…。」

カナコ:「今日もいろんな人に会ったなぁ…というか多分、ニコに会うまでに一言でも喋ったことのある人の数の合計より、ニコと出会ってから会った人たちの合計の方が圧倒的に多そうなんだけど…。」

ニコ:「そんなわけは流石に…。いや、カナコならあるのかな…?」

カナコ:「そこでフォローを入れないあたり、私のことをだいぶ理解してくれてきているようで嬉しいよ。」

ニコ:「相変わらず、なんでそんなに誇らしげなんですか…というわけで次回は『第五十六話:振り返らずにまっすぐ歩くこと。』をお送りします。」

カナコ:「ここからはCMの後のCパートみたいな感じですが、もうちょっとだけお付き合いください。お楽しみに。」

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