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第十八話:狐×狐でコンコンの二乗!

 それと同時に、青年の体にくっついていた黒い尾と耳が光の粒となって弾け飛び、散乱したものがまた一つの塊となる。

 それはハクアとは、また別の少女だった。


 まるで対になっているのではないかと思うほど二人の少女は正反対だった。

 髪の長さは腰上くらいまでで同じなのだが、色はハクアの純白に対して、漆黒。

 白い髪は綺麗なストレートだが、黒い髪はクルクルと至る所で渦巻いている。


 ワンピースと靴も同じく。

 ニコといい、髪や耳、尾の色と服の色を統一するのが流行りなのだろうか?

 体格もハクア側が背が高くグラマラスなのに対して、もう片方の彼女は背も低くすらっとしていた。


 二人ともあれだけ似ているのだ、尾の形状耳の形状ハクアの発言から推測するに、彼女らは二人とも狐の魔法少女なのだろう。

 稲荷神社では狐耳美少女に会えなかった分、ここで一気にノルマ達成って感じである。

 ケモ耳オタクとしては、あとはウサギとウマと…蛇や鳥系もどうなっているのか気になるが…。


 少女たちの年齢は私と同じくらいだろうか?

 青年の方は、正面から見てもやはり私より少し上のような印象を受ける。

 チサトほどではないにせよ長めの髪は、黒くボサボサで、黒い方の少女と並ぶと、獣人要素以外はまるで兄弟のようだ。


 一方で服は白っぽい丈の長いヨレヨレのシャツ。

 私が言うのもなんだが、いかにも生活感がまるでない。

 いや、よくよく見ると、ハクアの方はピシッと…と言う言葉がワンピースに当てはまるかはわからないが、なんとなく気品のある感じで着こなせているのに対し、黒い方の少女は、ずぽらな感じ。


 そんな点もまた青年によく似ている。

 背中も心なしか曲がっている。


 正直この二人にはシンパシーを感じざるをえない。

 何せ私も長い髪はボサボサだし、化粧もロクにしていなければ、背が高めなせいか姿勢も悪い。

 おやおや?自分で言っていて情けなくなってきたぞ?

 目頭に込み上げてくるこの熱いものは一体なんだ?

 そうだそれが涙だ。


「なんで久々の憑依があたしじゃなくてコクウなんだよ!こんちくしょー!」

 …と、だいぶ観察していたような気がするが、時間としては、まだ窮地を脱してから1分も経っていないだろう。

 黒い少女が出てきてすぐに、ハクアと呼ばれた少女の方が他の二人に向き直り、黒い少女と青年にくってかかる。


「いや、ハクアじゃ間に合わなかっただろ?」

 青年がとりなすような口調で話しかけるが、コクウと呼ばれていた黒い方の少女は冷静な声で冷淡に言い放つ。

「脳筋バカは黙ってて。」

「脳筋だと!?あたしの方が格が五つも上だってこと忘れんなよ!?」

「契約なしじゃ妖術も使えない狐に格なんてないわ。」

「お前こそ…。」


 私たちをそっちのけで喧嘩をおっ始める白黒二人と、それを苦笑いして眺めている青年。


 え?私今何見せられてます?

 と言いたくはなるものの、初対面の人間にそれを言い出す勇気は当然私はない。

 仕方なく、所在のなくなった視線をニコの方に移すと、ニコも苦笑い気味の困った顔でこちらを見ている。

 どうやらニコからしても現状はだいぶ予想外なのだろう。


「出て行け!」

「あなたこそ、連携の邪魔だわ。」

「なんだと、今回のあいつを倒したのはあたしだろ!」

「そもそもことが起こる前に間に合ったのは…。」

「今はそんなこと言ってるよりも…。」

「「シノブは黙って!」」

 話をいなそうとした青年が二人から声を合わせてキレられた上、ハクアの蹴りが青年の腰の横側を的確に捉え、青年をひれ伏させる。


「ぐふっ。」

 今のところ何も悪いことはしていない青年だったが、どうやらこの三人の中でのカーストは、白黒が同率くらいとして、青年が圧倒的最下位らしいことがわかった。

 なんてかわいそうなんだ。

 まさに尻に敷かれるタイプである。


 いやそんな様子はむしろ、何かの物語の苦労人系主人公のようでもある。

 あるあるとはいえ、私はそう言うヘタれた男主人公はあまり好きではないが…。

〜次回予告〜

カナコ:「また、というかいつにも増して、と言うか、昨日よりキャラの濃い子がまた増えた。」

コクウ:「川柳?」

カナコ:「え?どこが?」

コクウ:「なんでもないわ。」

カナコ:「と言うか、私が今どうなっているのか、意味がわからないんですが?死ぬことを覚悟していたら、いきなり助けられて、なのになんの説明もないまま、意味不明なケンカ見せられて?」

コクウ:「助かったのならいいじゃない?」

カナコ:「まぁそうですけどね?こちとらさっきまで殺されかけてたんですよ?説明必要でしょうが!」

コクウ:「そんなに熱のこもった声を上げなくても、次回に説明してあげるわよ。」

カナコ:「こ…。」

コクウ:「なによ?」

カナコ:「これまでで一番綺麗な次回予告の流れだ!?」

コクウ:「これが?あなたたちは今まで何をしてきたのよ?」

カナコ:「いや…茶番?」

コクウ:「というわけで次回は十九話:『狐耳は説明が足りない。』をお送りします。」

カナコ:「…無視られた。拾わないなら聞かんでくれ〜。トラウマスイッチ刺激される〜。トラウマスイッチ君のはどこにあ…。」

コクウ:「次回もよろしく。」

カナコ:「聞いて!?………というかハクアはまだしも、コクウって名前的にどうなの?」

コクウ:「それをいうにゃぁあああぁ!」

カナコ:「にゃ!?」

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