第四十話:魔法の杖で全て解決!?
「それじゃあ、また明日かしらね…。」
ハクアがそう言って手を振ろうとしたのだが、コクウがそこに口を挟む。
「今日は私が泊まるから、準備する。それまでここで待ってて。」
「泊まる…ってそういえば今朝言ってたっけ…。」
死霊術師たちが使う幽界への転移?は範囲性の効果だと言っていた。
だからなるべく近くにコクウかハクアのどちらかはいるようにする、ということだった。
そしてどうやら今日はコクウの番らしい。
私たちがコクウの言葉通り立ち尽くしているうちに、彼女は一人で自分の部屋に戻っていく。
「でも、魔法の練習って何するの…というか、できるの?」
何というか、魔法って才能の問題で、使えない人はとことん使えないイメージが…。
というか、私も一応そろそろ二十歳だし、そういう歳になっていきなり使えるようになる物じゃないイメージがあるのだが…。
「まぁ、使えるようになりたい魔法の種類にもよるんだが…。」
「カナコの場合は人間だけど魔法を使う側だから、杖選びかしらね?」
「杖!!!?」
「「!?」」
唐突に熱のこもった私の声に、ニコとツムギちゃんが一瞬驚いた表情になる。
ハクアは呆れた表情をしている。
あーはいはい。
魔法が初めから使える人からしたら、杖は普通かもしれませんけどねー。
こちとら成人一歩手前までノーマジックでやってきたんじゃ。
そんな非魔法族の私からすると、杖は憧れのアイテム、魔法の象徴なんや…。
これに関しては、世間の幅広い層に同意が得られると思う。
「で、でも確かに、初めて自分の杖をもらった時は嬉しかったのですよ。」
「そうですね。私も、すごく嬉しかった記憶があります…。」
ツムギちゃんもニコも、遠い目で回想する。
そういえば、幻獣たちはいつ頃から杖を持って、魔法を使うようになるのだろう?
「幻獣は『学校』に入る八歳の時に杖を与えられるのが普通ですかね…。」
「じゃあ、人間で言うと小二、三くらいの時が入学?」
八歳で入学で十四歳で卒業とすると六年間、まぁ小学校の入学から卒業までと同じ年数…。
いや、その後に即就職だと考えると、どちらかというと中高一貫的な?
「それまでは各種族や家で教養や種族特有の能力や術なんかを学んだりするんですよ。」
「あ、でも私はずっと家でしたし、杖を持たせてもらえたのも十歳になってからで…。」
「へぇ…。」
人によって色々なのか…。
と言うよりはニコが普通でツムギちゃんが特殊なのかな?
「まぁ、杖使って魔法使うのなんてこの国古来のもんじゃないから、私はそんなの持つようになったの、シノブと契約してからだけどね…。」
「え?そうなんだ…。」
また確かに、杖とえいば異国の魔法なイメージだけど、アニメとかゲームだとそれが普通だから、逆に杖を使わない魔法がイメージしずらい…。
「そうだな。明日、もし二人の体調が回復してれば、杖を選ぶのもいいかもな…。訓練はその後…。訓練の詳しい説明はその時かな…。」
「ま、これこそやってみた方が早いってのもあるしね。」
またそれか…とは言いつつも、これに関しては何となく私もやってみないとわからない気がしている。
そもそも魔法が道具のように使うようなものなのか、感覚的な何かなのか、それすらわからないのでは多分言葉で説明されてもピンとこないだろう。
「杖を選ぶってどういうこと?」
映画の影響なのかゲームの影響なのか、杖を選ぶ、と言う行為自体には何の違和感もない。
だが、作品によっても杖の扱いや形状も違うので、本当はどうやって選ぶのか気になる。
「それは…。」
シノブが説明を始めようとしたところで、アパートの扉が開いてコクウが出てきた。
背中には小さなリュックを背負っており、言うなれば小学生のお泊まり会の準備みたいな感じ…って小学生の時点でぼっちだった私にはそんな実体験はないのだが、多分そうだ。
「何でそんな一つ一つの回想に悲しい感じがついて回るんですか…。」
「いや、だってそうなんだもん?」
そうとしか言いようがないので仕方がない…。
「準備できたけど…。」
そんな私たちに、コクウは怪訝そうな顔でそう告げるのだった。
〜次回予告〜
カナコ:「いやー魔法の杖とか出てきて、ついについに、魔法少女みを帯びてきましたね!」
ハクア:「魔法少女っていうと、杖っていうより、ステッキってイメージだけどね?」
カナコ:「じゃかーしゃー…。というか何でハクアがそんなこと知ってるの?」
ハクア:「雑誌で読んだからだけど?」
カナコ:「普通の人でもオタク知識とかオタク用語が通じちゃって怖い世の中だよね。」
ハクア:「怖い?…というか、自分で言うのも何だけど、普通の人ではないと思うけど…。」
カナコ:「それは、確かに。と言うことで次回は『第四十一話:友達の友達も友達ってほんとですか?』をお送りします。」
ハクア:「お楽しみに〜。」
幕




