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第三十五話:いつもと違ういつもと同じ道。(後編)

「じゃあ、私は電車だから、お疲れさま。って、マナは電車じゃないの?」

 駅まで辿り着いたところで、円谷先輩が尋ねる。


「そうなんですよ、あーまぁ、引っ越したので?」

「え!?聞いてないんだけど…というか突然?」

 円谷先輩も驚いているが、周囲のみんなも驚いている。


 ツキヨとキララを除いて。

 あーこれはつまりそういうことか…?

 シノブたちも話聞いてなさそうなのは意外だけど、まぁ話す時間もなかったのかな?

 私とハクアがいなかった間に何があったのかはわからないけれど、途中からはオカケンの人たちもいただろうし…。


 というか、そういえば甘原先輩っていつもあそこにいるんだろうか?

 案外、この前私たちが話していた時もあそこにいたり?

 いや、そうだったら流石に、誰かが誘うような気も…。しないか?


 それはそれとして。


「まぁそういう感じなので…。」

「あー…まぁそうなんだね。引っ越しとか大変だと思うけど、頑張ってね?」

「はーい。ありがとうございます。」


「…じゃあ、最後にすごいびっくりしたけど、またね。角谷さんたちも、これからもよろしくね。」

「はい、よろしくお願いします。」

「またー。」


 というわけでお別れを告げ、駅の構内に入っていく円谷先輩をみんなで見送る。

 そして…。


「で、何か言いたいことは?」

 円谷先輩がいなくなったのを見届けてから、私がマナに尋ねる。

「な、なんでそんなに怒りトーンなの…?」


 なんでも何も、なんでそうなってるのかわからないから聞いているだけなんだけど。

 別に起こっているつもりはないんだが…。

 私聞いてない!


「あー待って待って、カナコちゃん。とりあえず歩きながら話しましょう?」

「え?はい…。」


 というわけで、ゾロゾロと、ツキヨ、キララにマナで三人増えた状態で帰り道をゆく。

 流石に九人ともなると、やっぱり通行人の邪魔だろ、と思うのだが、案外人の多い駅前では気にならない。一応二列横隊で歩いているというのもあるかもしれないが。

 一方、道が狭くなる市街地はそんなに人通りもないのである程度人数が多くても問題なかったりするものだ。


 なんだか大人数で歩くのにも慣れてきてしまって、こちら側が他人の目をあまり気にしなくなってきたというのもあるのかもしれないが…。


「で、何がどうしてそうなったんだ…?」

 人通りが少なくなる住宅地まで来て、はじめに口を開いたのはシノブだった。

 やはりシノブたちも詳しい話は聞いていないらしい。


「あーまぁなんというか、マナちゃんも護衛対象になったじゃない?でもシノブたちはカナコちゃんで手一杯ってことで、私が抜擢されましたとさ?」

 「とさ」じゃないがってこれさっきも思ったな…。


「それで、せっかくなら護衛対象がまとまっていた方がいいということで、どうせマナちゃんも一人暮らしだし、じゃあ引っ越すか、ということになり…。」

「そんなに簡単に…?というかどこに…?」


 いやーなんかすごい嫌な予感するんだよなぁ。

 なんてったって、私のアパートって不自然に私の両隣だけ空き家だしさ?

 こういう登場人物がだんだん一つの場所に集合してくる感じって不自然によくある展開だし…。

〜次回予告〜

カナコ:「うーん。なんとなく知ってた。こうなることは。」

マナ:「でも、私住むの、アパートじゃないけどね。」

カナコ:「え?そんなネタバレ次回予告みたいなことやっていいと思ってるんですか?ここがなんのコーナーかわかってるんですか?」

マナ:「え…次回予告じゃないの…。」

カナコ:「違うよ、登場キャラが物語についてとやかくいうコーナーだよ!」

マナ:「何そのなんの生産性もないコーナー…というわけで次回は『第三十六話:みんなで一緒でいい時と悪い時があるよね?』をお送りします。」

カナコ:「お楽しみに。」

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