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第十二話:始まる時点からすでに契約は始まっていたんじゃよ!

 というわけで、私のヤバい部屋は鍵をかけ一旦封印して、近くのコンビニに向かうことにした。

 先ほどの神社とは逆方向に数分進んだ場所にある…はずだ。


「え、また道わからないんですか?」

「いや、流石に…。」

 流石にコンビニは間違えてないはずだった。

 多分。


 にしても、我ながら、こんな人間と契約して、一緒に暮らすことを強制されるとは、ニコも災難である…。

 先ほどは、そういえば覚悟はしていたと言っていたが…。


「私と会う前は、どんなの想像してたの?」

「え?そうですねぇ…。」

 ニコはしばらく考え込む。

 伝えるか悩んでいるのだろうか?

 それともお腹が痛いのだろうか?

「いや、どういう理屈ですか!?」


 難しく考えなくてはいけない質問だとは思わなかったので、ちゃかしてみたのだが。


「なるほど。でもそうですね…第三種契約って他の契約と違って、相手が誰だか、いつ契約になるかさえわからないんですよね。」


 確かに、システム上、未だ解明されていないメカニズムで移行する「収束点」と契約するのだから、仕方ない。


「そうなんです。一応、事前調査の資料は契約の数週間前にはもらえますし、そもそも収束点が危ない人物の場合とかは契約ではなく別の方法で問題を解決するらしいんですが…。

 それでもやっぱり、怖い人だったらどうしようとか、嫌われたらどうしようとか、思いましたね…。」


 二つ目は私が、というよりニコ自身の心配であるが。

 というか、美少女で性格もよく、相手の心を読めるために誰よりも気配りが得意であろうニコを嫌いになる要素がない。

 全人類に共通の正義はやはり可愛いなのだ。


「また!もう!…でも、心を読めるって、いいことばかりじゃないですよ。カナコがむしろ抵抗がなさすぎです!」

 そうだろうか?

 まぁ、心を読める側が苦労するだろうことは容易に想像できるが…。

 むしろ、その苦労が想像を絶しすぎていて、同じ側に立ってものを言うのが申し訳ないくらいだ。


「あはは、まぁカナコみたいな人ばっかりだったら、この能力も別に問題ないんですけどね…。」


 と、そんな身の上話をしているうちに、コンビニについた。

 考えてみれば今の時代、別に道を気にしなくとも、歩いていればいつかはコンビニにたどり着く。

 しかもここは、都心からもさして遠くないのだから尚更だろう。

 まさに近くて便利である。


 とはいえ正直、道に迷わなくてよかったと安堵したのは間違いない。

〜次回予告〜

ニコ:「やっと到着しましたね。思えば短くて長かったような?」

カナコ:「それは充実してるってことだね!」

ニコ:「そう…かもしれませんね?日常の中でこんなに難しい話をしたのは久しぶりな気がしますよぅ。」

カナコ:「私は話をしたのが久々だけどね!」(ドヤ)

ニコ:「もはや何が言いたいのかもよくわからないですよ!」

カナコ:「心が読めても、言葉の意図までは読めないってことだね。」

ニコ:「自虐は悲しいからやめてくださいって言ってるんですよぅ!」

カナコ:「どうやら、言葉の意図が読めてなかったのは私の方のようだね?ということで次回は、お買い物!お買い物!」

ニコ:「今誰かがるんるんで目の前を通過したような…?」

カナコ:「すっ残像だぜ!次回、第十三話:『あなたとコンビの中心で空腹を叫んだ獣。』をお送りします。」

ニコ:「いつもに増して意味がわからない…。」

カナコ:「次回も、サービスサービス!」

ニコ:「本当にわからない…。」

カナコ:「これ通じないのはジェネレーションギャップだ…。」

ニコ:「というか今日はテンション高いですね?」

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