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第四話:契約と社会貢献についての話。

「それに、法律によって私たちを裁くことはできませんよ。」

 ニコがそう言った時、二人の言い争いも止んだ。

 というよりも、止まったという感じだ。


「そう言えば、我々の組織のことを話していませんでしたね。」


 組織?

 なんだその厨二病的な響きは?

 いやむしろこのツッコミ何回目なのだろうか?


 確かにこれまでの流れから、魔法少女が組織的に動いていることは予想できていた。

 だが、確かに誰にもその説明をしてもらっていなかった。


「僕たちは、魔法少女派遣機構という名称で呼ばれています。国家に対しても影響力を持つような、有力な組織です。それゆえに、先ほどもニコさんが言っていたように、機構の構成員である魔法少女を法律では裁けません。

 あ、もちろん魔法少女とその契約者には、こちら側なりのモラルと掟があり、それを破ったものは罰せられます。好き勝手にできるわけでは当然ないです。ご安心ください。」


 おっとまた話が長くなりそうな予感だ。

 詳しくないのに興味があるフリをしてしまったせいで、わからない話を永遠とされるパターンだなこれは。


 というか、その魔法少女派遣機構とかいう名称まんまの存在っぽい組織のメンバーは話が長くなりがちですか?


 そんな私の心をよそに、チサトは話し続ける。

 まぁ向こうとしても話さなければならない内容なのだろう。

 甘んじて聞くとしよう。


「元々各地に点在していた、幻獣とその幻獣にゆかりの深い家系を統合して設立されたのが、この機構です。海外でも、日本の魔法少女派遣機構に近い組織が存在し、連携しているようですが、まぁその辺は僕の担当ではないのでなんともいいかねます。

 地域の守護者ペアとその補助をする役割の一般のペア複数組が連携して地域の魔術的問題の解決に着手しており、末端だけで解決が難しい場合に限り、さらに上層部から増援があります。まぁそんなこと滅多に起こらないですけど。

 第三種契約の角谷さんたちは、そういった仕事とは直接関わることは少ないと思います。そもそも事件解決のためのペアには、人間側にも超人的な能力が求められますからね。とはいえ、同じ地域の住人として、何か異変を感じたら僕らに伝えてくれると助かります。

 角谷さんとニコさんは、なるべく通常通りに生活するのがむしろ重要であるとも言えますかね。それを支えるのも僕たちの仕事です。何せ、収束点は、自覚はないかもしれませんが、他者の苦痛まで理不尽に背負いこむ体質ですから。

 我々の理念は、魔術的問題の被害を減らすこと、そしてそれらの存在を隠蔽すること。文明が発達し、忌地や呪物、鬼神が行き場を失い、人間と接触する機会も増えました。しかし本来人間とそれら魔術的存在は、一定の距離を保つべきなのです。それを維持するのが、我々の役目というわけです。」


 …。

 今までで一番意味のわかる説明だった。

 同時に一番厨二病っぽくてぶっ飛んでもいたが。

 つまり私も厨二病ということだ。しゃーない。


「ということで、困ったことがあったらなんでも言ってください。魔法少女は助け合いですから。」


 無駄なことを考えていたら、先に要約されてしまった。

 さっきの話、組織云々はともかくとして、私たちの今後に関わることはそれだけだ。

 つまり私は機構にとって要介護人物であり、それを介護するのもその機構の仕事の一つというわけ。


 若干馬鹿にされている気もするし、改めて考えると前提から結論まで全部ぶっ飛んでいるが、向こうがそういうならそうなのだろう。


 何せ向こうはまごうことなき本物である。

 これまでの彼らの言動から、組織的に動いていることも事実らしい。


 彼らは、人間かどうかも怪しい生活を送ってきた私とは、天と地ほどの差があるわけで。

 今更どーのこーのいうのもおかしな話だが。

 ただ一言いうことがあるとすれば。

 まだ若いのに苦労してるんだねとしか。


 そんな若くして苦労している彼らに介護されるのが、本当になんの苦労もなく生きてきた、体感的には心身ともに特になんの苦痛もない私でいいのだろうか?

 世の中の割に合わなさを実感する今日この頃である。

〜次回予告〜

カナコ:「堅苦しいタイトルで堅苦しい内容でしたね今日は!」

アカネ:「おかげで私は話に加われませんよ!」

カナコ:「それは大変ですね!」

二人:「わっはっはっは!」

カナコ:「ってええっ?この情報って魔法少女全体の共通認識なんじゃ…?」

アカネ:「そうかもしれないねん。」

カナコ:「えぇ…。」

アカネ:「まぁ、世間は広しってことさ!」

カナコ:「そう言えばニコもこういう話の時あんり入ってこないような…?でもニコの場合は私の考えていることを邪魔しないためにワザと…?」

アカネ:「アカネちゃんが気を使って黙ってる線は…?」

カナコ:「自分で違うこと言ってたじゃん。」

アカネ:「確かに!?」

カナコ:「…で、次回は第五話:『鶏が鳴くからお家に帰りましょう!』をお送りいたします。」

アカネ「カナコちゃん冷たくない!?」

カナコ:「ではでは〜。」

アカネ:「お楽しみに!」

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