第一話:魔法少女と生きるために必要なこと。
呼ばれているとはいえ、知らない家の襖を勝手に開けることに若干の抵抗を覚える。
もちろんそんなもの覚えたところで開けるしかないので、襖を開く。
襖ひらけば〜って感じである。
どういう感じだよ。
私とニコが襖を開き、入った先には、四人の人物がいた。
アカネちゃん、サトミさん、そして青年が二人。
その部屋は先ほどまでいたような薄暗い和室ではなく、明るい洋室だった。
中央には太い木の幹をそのまま使っている背の低いテーブル。
テーブルの側には四つの椅子。
そのうち三つにはアカネちゃん、サトミさんと青年の一人が座っている。
残りの一人は、座っている方の青年のそばに腕を組んで目を瞑り立っている。
ミサキと猫耳もいると思っていたが、考えてみれば今は午前五時。
女子学生が他人の家にいていい時間じゃない。
うっ!ブーメランが!
「おはようございます。」
座っている方の青年が声をかけてくる。
見た目からは自分よりも少し年下な印象を受ける。
というか、声からしても男子なのだが、見た目が中性的すぎる。
茶色みがかった黒の髪は肩まである。それに、長いまつ毛と細い目。
一瞬、見た目と声のギャップでフリーズしてしまった。
「おはようございます。」
「お、おはようございます…。」
フリーズが解けたところで、ニコと私もつられて挨拶をする。
初対面でおはようございますってなんかの業界みたいだな。
まぁ魔法少女も業界みたいなものかもしれないが…。
「ああ、カナコちゃんもニコちゃんも起きたんやね。まぁ座りや。」
「カナコっちはこっち座んなよ!」
アカネちゃんが席を譲ってくれ、私とニコも席に着く。
「じゃあ改めて。自分は現在このアカネ町B地区の守護者をやってます、音羽チサトと言います。こっちは契約している白狼族のミユキ。」
ミユキと呼ばれた青年は、片目を開けてこちらを一瞥すると、また目を閉じた。
ミユキは背が高く、整った顔立ち。
嫌味な雰囲気で、いかにもイケメン性悪キャラを絵に描いたようなキャラだ。
服装こそ、執事服などではなく、ただの白シャツだが。
しかしこの界隈は、チサトといい、ミユキと言い、猫耳のクロハといい、女子っぽい名前の男子ばかりだな。
魔法少女という名称からして、むしろ三人とも女子なのかもしれない。
「花崎さんとクロハに聞いたところだと、契約の種類の話は聞いてるよね?」
「は、はい。」
「ここらへんの説明はその地区の守護者と、契約する魔法少女がすることになってるんだけど、花咲さんが、角谷さんのこと、自分の地区の人だと勘違いしてたみたいでね。」
何だそのおっちょこちょいな…。
まぁファミレスから出る時の流れも不自然だったし、わかってたことだけど。
というか、ニコもそれがわかっていなかったのか…?
何にせよミサキちゃん、自分がいない場所でも設定を持ってくるなんて、恐ろしい子…。
「それで、おそらく説明をされてないと思うんだけど…。」
「うぅ…。」
ニコが何かを悟ったように、哀れそうな声を出した。
アカネちゃんは苦笑いしている。
「第三種の契約者と魔法少女は、同居してもらうことになります。」
「!!?」
うわぁびっくりした。
びっくりしすぎて本当かと思っちゃった。
「ごめんなさい…本当です。」
うわぁびっくりした。
びっくりしすぎてほんと…。
「ほんとなんですって!永久機関ですか!?」
まさかニコにそんな下手なツッコミされるとはおもはなかったな。
流石に反応するとして。
現状を理解するのに努めるとしますか…。
〜次回予告〜
カナコ:「さぁ、第二章が始まりましたね。」
チサト:「そうですね。」
カナコ:「こんにちは、本日はアカネ町B地区守護者のチサトさんをお呼びしております。」
チサト:「え?このコーナーそういうのありましたっけ?」
カナコ:「ない…です。」
チサト:「あ…そうですか…。」
カナコ:「驚くべき事実が今回は発覚しましたけども!」
チサト:「新任魔法少女のニコさんはともかく、花崎さんとねぇさん、アカネさんには後で文句言っとかなきゃ。」
カナコ:「ねぇさん?」
チサト:「はい。さて次回は、さらに詳しい話をしていきますよ。」
カナコ:「ふふん。私の華麗なら要約技術に酔いな!」
チサト:「というわけで、次回は第二話:『わかりにくいちょっとわかりやすいわかりにくい魔法少女の話。』をお送りします。」
カナコ:「言わない、私は言わないぞ!」
チサト:「えぇ…お楽しみに?」
カナコ:「やったぜ!」
幕




