第十九話:エセ関西弁より契約がしたい!
「あんたが新人さん?」
その女性はニコに向かって問いかけた。
「はい。ユニコーン族のニコと言います。契約は第三種。こちらは契約予定の角谷カナコさんです。」
「はい…。角谷です。」
ニコが紹介してくれたおかげでだいぶ助かった。
正直初対面からこれしか時間が経っていない状況での自己紹介はだいぶ厳しかっただろう。
グッジョブニコちゃん!
言ってて情けなくなってきた。
口に出しては言ってないけど。
「まぁ話は聞いとるから。ウチはこの神社の娘で、この地区の元守護者。音羽サトミ言います。」
で?自己紹介って終わったら何言えばいいんだろう?
というか今どういう状況なんだろうか?
この人は元守護者。つまり魔法少女なりその契約者なりのはずだ。
まさかこんな身近にそんな非現実な存在が存在していたとは…。
というのは今は一旦おいておくとしても、今の状況が意味不明すぎる。
私は今何をいうことを期待されているのだろうか?
「契約をしたいんです。」
「わかっとるよ。」
なんで会話を終わらすんだこの人は!
せっかくのニコちゃんの発言もこれでは意味がない。
「えぇっと…?」
流石のニコもお手上げのようだ。
しばらくの沈黙。
その間もサトミさんはただ微笑んでいる。
その表情は何も考えていないようでもあり、こちらを品定めしているようでもあり。
ミサキちゃんが敬語になるのも頷ける威圧感だった。
「契約内容の説明はしたんやな?」
「はい。」
「カナコちゃんもそれでいいんやな?」
「は、はい。」
いきなりの名前呼びに若干ビビりつつ答える。
「ほな、うちが立ち会ったろか?守護者はチサトなんやけど、今はミサキちゃんとクロハちゃんに文句垂れるんで忙しいやろし。」
彼女はそういった。
契約には立会人が必要、思った以上にしっかりした契約である。
ミサキちゃんと猫耳がさらっと酷い目に遭っていたが、この際それどころではない。
「いいんですか。というか、守護者でなくとも立会人になれるんでしょうか?」
「なれるよ。というか正確にはウチが特殊なんやけど…。」
…正直何を言っているのかは相変わらずわからない。
だが、これまでのぶっ飛んでてわからないと違い、法律の話をしているみたいな感じだ。
こういうパターンはオタク知識で解決しにくいので勘弁して欲しい。
「あはは、まぁ確かに難しいですよね…。」
というか、契約ってどうやるんだろうか?
「それはですねぇ…。」
ニコが答えかけた時…。
「…それ、ユニコーン族の読心やね。」
「あ、そうです。気に障りましたか?」
ニコがちょっと怯えているような表情で答える。
私と同じくらい背の高いサトミさんと並ぶと、ニコからすれば身長差だけでも威圧感があるだろう。
さらには私やニコとは違う、ミサキちゃんをも遥かに上回る破壊力抜群のスタイル。
圧倒されて当たり前だ。
むしろこんな人が近場の神社にいるのを知らなかったなんて。
引きこもりの私とはいえ、この神社くらいまでは来たことがあると言うのに…。
「いや、二人は今日、初めてあったんやろ?」
「そうですが…。」
「カナコちゃんがそれを受け入れてるんが違和感あっただけや。ウチらは心を意図的に閉じられるからあれやけど。」
「あぁええっとそれは確かに…。」
心を閉じられるって、なんだその便利技は!?
そんなんあるなら初めから言うてくださいよ。
さっきから、なんとなく関西弁が移ってしまっている。
ミサキちゃんや猫耳の心中と会話している様子がなかったのは、心を閉じていたからか?
もしかして、私の心の声、漏れすぎ!?
「まぁカナコちゃんも嫌がってはないようやし、ややか。契約、始めよか?」
「はい、お願いします。」
「カナコちゃんも本当にいいんやな?第三種の契約は、そう簡単には破れんよ?」
「は…はい。」
なんか聞いてないことを言われた。
私聞いてない!
とはいえ、もうここまで来ては後には引けない…。
〜次回予告〜
アカネ:「やっほーみんな。こ〜んにちわ〜!」
かなこ:「誰!?」
アカネ:「アカネさんだぞ!」
カナコ:「…いや誰!?」
アカネ:「まぁまぁその辺はいいじゃあありませんか!」
カナコ:「まぁいつものパターンだからね。」
アカネ:「パターンいうな!そうやって悟ったフリしてると、アカネちゃんみたいに立派なお姉さんになれないよん!」
カナコ:「素敵な…?」
アカネ:「なんでそこが疑問系なのさ〜。」
カナコ:「というわけで、サトミさんの契約相手の魔法少女が登場。」
アカネ:「あれ!?何で知ってるの?」
カナコ:「今までの流れから推測しただけだったんだけど…。」
アカネ:「意外と策士!?まぁまぁとりあえず、次回は『第二十話:オタクがオタクに出会ったら?』をお届けしますよん!」
カナコ:「お楽しみに。」
幕




