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第十八話:頭蓋骨の軋む音を聞け!

「…ひどい目に遭いました。」

「…死ぬかと思った。今日一番死ぬかと思った。」


 シブヤ町の中心の繁華街からアカネ町の私が住んでいる駅までは電車で二、三駅の距離…。

 その距離をビルの屋上から屋上までの間を、ブランコなし空中ブランコしたのである。


 しかも自分よりも身長が低い華奢な体に抱えられながら。

 本当に死んだかと思った。


 なお、ブランコなし空中ブランコはただの落下である。

 良い子は真似しないでね?


「よし、守護者権限により、ハコニワシステム解除。」

 四つ這いになって、大地の感触を噛み締めている私たちをよそに、先ほどと同じモーションでミサキちゃんがいう。


<ハコニワシステム解除…。>

 ガシッ。


 ガシッ?

 先ほどは世界が元に戻る時に音がしなかった。

 ミサキちゃんの言葉で世界が入れ替わった時にも音はしなかった。

 この音は強いていえば、何かを掴む音…?


「よし、じゃないやんな?」

「すんません。まじすんません。許してください。勘弁してください。」


 聞き覚えのない声が聞こえて、頭を上げるとそこには、女性が立っていた。

 その女性はミサキちゃんの顔面を片手で掴んで微笑んでいた。

 こわっ。何が起こったん?


「めんどくさいからって、いちいちハコニワ起動さすなや。何度言うたらわかんねん。え?」

「はいわかってますごめんなさい。死にたくないです。もうやりません。」


「はぁまあ、うちはもう一線はのいた身やし、チサトに任せよか…。」

「うぅ先輩に言わないで…。」

「そうはいかへんな。」


 なんだそのエセ関西弁は!けしからんもっとやれ!

 しかしこれは可愛い…という言葉では違う。

 ニコともミサキちゃんとも違う妖艶な感じ?


 その女性はどうやらミサキちゃんよりも偉いらしい。

 さっき言っていた、猫耳をわからせている予定の「先輩」とやらも知り合いのようだ。


「チサトは社務所の奥やから。」

「はい、いってまいります。」

 ミサキちゃんはそくさくと、神社に建てられた「社務所」の看板がかかった建物に入って行った。


 取り残された私は立ち上がる。

 ニコも私の隣に立っている。


 そこは、見覚えのある風景だった。

 先ほど言っていた明音稲荷神社。うちの近くにある中規模くらいの神社だ。

 そして、ミサキちゃんの顔面を掴んでいた女性にも見覚えがある。

 確かこの神社の巫女さんか何か…。


 実際、私が改めてその女性を見ると、神社でよく見る上は白い着物で下は赤い袴というよく見る巫女装束である。

 長い黒髪は後ろで束ね、やはり微笑みながらこちらを見ている。

 改めて見ると、声もそうだが、見た目にしてもやはり「妖艶な」がしっくりくる。

 大人びた顔立ち。しっかりとした体つき。

 いかにも大人の色香である。

〜次回予告〜

ニコ:「えぇっと…?」

サトミ:「今回はまるっと私の回やったね?」

ニコ:「はい、そうですね。」

サトミ:「そないかしこまらんでもええよ〜。とって食ったりせぇへんから。」

ニコ:「ほ、ほんとですか?」

サトミ:「悪い子には厳しいけど、別に悪い子以外をシメたりせんよ?」

ニコ:「うぅまぁそうですね。清純こそユニコーン族の誇り。いい子であることには自信はありますが…。」

サトミ:「そうかそうか。ほいで、神社に何しにきたん?」

ニコ:「あ、そうでした。契約を結ぶために来たんですよ!次回は契約の準備段階みたいな感じですか。」

サトミ:「そうやね。『第十九話:エセ関西弁より契約がしたい!』って誰がエセや!」

ニコ:「ちなみに出身は?」

サトミ:「アカネ町。」

ニコ:「エセじゃないですか!ってあ!」

サトミ:「そんなにシメてほしい?」

ニコ:「違います違います。あ、そうだ終わらせちゃえばいいんだ!お楽しみに!」

サトミ:「そない怖がらんでも。悪いようにはせぇへんよ?」

ニコ:「幕が下がったら終わってください!カナコさん助けて〜!」

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