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第十二話:こんな非日常にいられるか私は家に帰らせてもらう!

「まぁ、でも確かに、ここでは場所がなんですね。」

「でも、さっさと報告行かなきゃじゃないか?」


 ミサキちゃんの気遣いの言葉を猫耳がまた無に帰していく。

 まるで無に帰すbotのような無慈悲さである。

 なんだその虚無いbotは。


「じゃあクロハは先に行って先輩のご機嫌取っといてください。」

「えぇ…俺死にたくないんだけど。」

「大丈夫ですよ。ちょっと死にたくなるような目に遭うだけですから。」

「死ぬより酷い目に遭うの間違いだろうが…まぁいいや。さっさと行かないとそれこそ酷い目に遭うからな…。」


 短い間の中で何やらの同意が取れたらしい。

 不穏な言葉もいくらか聞こえたが、合意が取れたならそれでいいんだろう。

 まぁ猫耳がわからせられる展開が待っていることをせいぜい期待していることにしよう。


「じゃ。」

 クロハと呼ばれた猫耳ショタは短い一言を残し、とうとう退場した。

 やっと自分の分をわきまえたに違いない。


 スッという軽い音だけを残して、次の瞬間には猫耳は消えていた。

 まるでそこには初めから誰もいなかったかのように…。

 若干怖い話風だが、そんなこと言ったら私の身にこれまでの数十分間で起こってきたことなどホラー以外の何ものでもない。


 内容はファンタジーだが。

 ファンタジーをファンタジーとして楽しめるのは、あくまで客観的な目線だからだということを思い知るには十分な出来事だった。


 異世界転生した主人公も、しょうもないはずの現実世界に帰りたくなるわけだ。

 一日に命の危機が何度もあるというのは、そんなに嬉しいことではない。


「報告も一旦よしっと。では場所を移しましょうか。ファミレスとかでいいですか?最近金欠で…。」

 ミサキちゃんが提案した。


「ファミ…レス…だと!?」

「え。なんかへんでしたか?それともお嫌ですか?」


「ファミレスって…なんですか?短縮呪文とか?」

「え。そっから!?」


 残念ながら私もニコも、ファミレスというリア充の巣窟にいくには日頃の善行ポイントが足りないらしい。

 むしろ悪行ポイントが足りてないのか?

 我ながらリア充は悪人という偏見よ。


「嘘ですよね?冗談ですよね?ニコちゃんはまだしも、貴方は普通に現代人ですよね?」

 現代人であることを遠回しに否定された。

 やっぱり死んだほうがいいのかな?


 やっぱり転生か?お?お?

 ってこの流れも流石に飽きてきたな。

〜次回予告〜

カナコ:「やっと落ち着いてお話しできそうなところで、本日は終わりですが。」

ミサキ:「ファミレスに行ったことがないんですか?」

カナコ:「ないんだなそれが。」

ミサキ:「謎の上から目線ですね?」

カナコ:「そういえば、よく私上から目線って言われるんですけど。」

ミサキ:「とても突然のカミングアウトですね。」

カナコ:「これはただネタで言ってるだけなんで。」

ミサキ:「それはわかってるんですが、なんのネタかわからないので、合わせ方がわからないんですよ。」

カナコ:「ぐはっ。」

作者:「ぐはっ!」

ミサキ:「あれ?」

カナコ:「また広範囲高威力技を…。しかも今回は遠距離なほど威力が高そうだ。」

ミサキ:「ンンン?まぁいいでしょう。次回は第十三話:『この世で一番肝心なのは素敵な平常心。』をお送りしま…。」

カナコ:「お楽しみに!いえた!」

ミサキ:「そんな急がなくても…。」

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